IDEA and Players

ベンチャー企業で働く変なエンジニアが勝手なことを書きまくるブログ

変なエンジニア、2013 Feb, Startup Weekend Tokyoに参加する! 最終日の巻

Startup Weekend Tokyo体験記、今回でいよいよ最後となりました。
最終日、それは各チームの成果が問われる審判の日。
苦しみながらも、ついには失敗共有サービス「残念.me」を生み出すことになった我らのチーム「Shippai on the go」。
あまりにも残念なサービスと、そこに関わった残念な男女たちが描く感動のフィナーレw

というわけで、SWTokyo最終日の模様を、最後まで元気よくお届けして参ります!

涙のカスタマー・バリデーション!(青春編)

さて、世の大人たちからエッチな失敗談を集めて、それらの購読には課金するという我々の禁断のアイデア。
しかしながら、本当にこんなものを月額100円払って欲しいと思うような人々がいるのでしょうか? 私たちはそれを証明しなければなりません。

この難題を買って出てくれたのは、HastlerのJunさん。なんと、友達や後輩などに片っ端から電話して、とてつもなくハードなインタビュー調査をしてくれたのでありました。

「なあ、お前、童貞やん。もし初めてする機会が訪れたとしたら怖いやろ? ・・・いや、男はみんな怖いはずなんやって! それでな、もし大人たちのそういう失敗談を月額100円で聞けたとしたら、欲しいと思う?」

ってなインタビューを次から次へと電話ごしに仕掛けるJunさん。"童貞"という言葉が聞こえてくる度に、肩を震わせながら笑いをこらえるチームメンバーたち。
まったく、なんという過酷な試練でしょう!

しかし、その努力の甲斐あって、約3割近い学生さんが毎月100円課金してもよい、という調査結果が! なかには、1000円払ってもいい、という声まで!

この、若者たちの、狂おしいまでの声! 魂の叫び!
そのすべて、きっちり私たちのサービスで受け止めさせていただきます!

戦闘準備

Junさんが最後のカスタマー・バリデーションに死力を尽くす中、他のメンバーも最後の努力を重ねていました。
HastlerのHiroさんとHackerのYuheiさんらは着々とプレゼン資料の作成。
本来なら、私がプレゼンすべきなのかもしれませんが、昨晩の徹夜がたたってすでにフラフラ。さらには、MVPのブラッシュアップ作業が若干残っていたため、Hiroさん/Yuheiさんの二人組にお願いしたのでした。しゃべりならまかせておけ、という風のHiroさん。じつに頼もしい!
そしてWebのデザインに妥協を許さないO女史が次々と指示する修正に、ヒーコラ言いながら手を動かし続ける私。

まあ、そんな感じでタイムアップまでの残り少ない時間、チーム5人が一丸となりながら、しかも終止笑いを絶やすことなく作業を続けたのでありました。

・・・まったく、おまえら最高だぜ!!


※最後の作業にいそしむチームの仲間たち。みんな若干疲れているものの、ずっと和気あいあいとしてました、ホント。

決戦のとき!

そして、とうとう最終プレゼンの時間になりました!
ルールはきわめて単純。5分のプレゼン、審査員による5分の質疑応答。
そして、最後に審査員による投票によって優勝チームが決まる、というわけです。
まあ、このとき熱い戦いの模様は、こちらのまとめを参照していただくとして・・・

じつは私、このプレゼンのずっと前から、自分でたった一人、密かに考え続けてきたことがありました。

なぜ我々は、自分たちのサービスにおいて、"学び"ではなく"共感"、しかも"笑い"を中心に据えたのか?

これは自分たちがもっとも悩んだ問題であり、そして、必ずこの点を審査員に突っ込まれるだろう、と踏んだのでした。
当然でしょう。この競争の激しい現代社会においては、ごく一般的には"学び"は"笑い"よりも崇高で、価値の高いものとされているのですから。
しかし、私たちが選んだのは別の答えでした。それはなぜか?

三日間の間、さんざん考え続けた末に、私が導きだした結論はこうです。

たとえ、私がSteve Jobsの失敗を学んだとして、
孫正義の失敗を学んだとして、
あるいはその他のあらゆる先駆者、偉人たちの失敗を学んだとしても、
だれも私の代わりには失敗をしてくれない。

この一点こそが、私たちのサービスの根拠でした。

もしも未来において必ず成功できるとわかっているのなら、誰にとっても決断し、行動することはたやすいでしょう。
でも、残念ながら世界は不確実で、未来はつねに予測不可能なものですよね? どんなに学んだところで、それは変わらないはずです。
だからこそ本当に尊ぶべきは、成功か失敗か定かならぬ未来に立ち向かう私たち個人の勇気ではないでしょうか?

勇気を作り上げるものは何か?
それは、たとえ失敗しようとも、それを受け入れ、笑い飛ばす、という心構え。
これが私がたどり着いた答えでした。

・・・ふっふっふっ、完璧ですね。どんな審査員もこの答えを聞いたら、ぐうの音も出ないでしょう。
私が心の中でひそかに勝利に酔いしれたとしても、無理からぬというもの。

そうこうするうちに、とうとう私たちのプレゼンの順番が回ってきました。

そして、このとき使用したYuheiさん作「残念.me」渾身のデモ・ムービーがこちら!!
その1 その2

Hiroさんのユーモア、というか自虐ネタ(笑)あふれる力の入った5分間のプレゼンが終わったところで、いよいよ審査員の方々から質問が浴びせられる段となりました。


※最終プレゼンを終え、審査員との質疑に応じるチーム「Shippai on the go」の面々。

なお審査員の錚々たる顔ぶれについては、こちら

早速、審査員の伊藤 健吾さんからは次のような鋭い質問が飛びました。

伊藤さん「失敗を共有するためサービスを、あらためてSNSとして作る必要性があるのか? それは2ちゃんねるNAVERまとめでも出来ることではないのか?」
思わず、Hiroさんの手からマイクを奪い取って言い返す私。
藤井「必要性はあります。ぼくたちが作り出したいのは共感の場であり、失敗を通じて自己承認が行える文化を作り出したいんです」
伊藤さん「2ちゃんねるNAVERまとめでも、読んだ人からレスポンスがもらえるし共感を示してもらえる。その結果として、投稿者の承認欲求が満たされているのは変わらないのでは? SNSにする理由にはならない」

・・・ぐぬぬ、手強い。
たしかにそこまで突っ込んだカスタマー・バリデーションは行っていませんでした。
もともと私は実名制の失敗共有サイトが作りたいと思っていたんですよね。自分の失敗を積極的にオープンにしていくことで、結果としてそれがセルフ・ブランディングにつながっていく、そんな価値が提供できれば、と考えていたわけです。

しかしながら、アンケート調査ではやはり匿名の要望が強かったので、実名制を全面に押し出す勇気がなかったのです。そして匿名であるならば、SNSよりも2ちゃんねるのようなサービスのほうがよっぽど親和性があるでしょう。
SNSである必要性があるのか? その点は検証できていない、と私は認めざるをえませんでした。

そして、次の審査員・Gengo CEOのロバートさんには第一声、こう言われました。
「Are you serious!?(君、マジなの?)」

この質問に思わず私もニヤリ。
そういう反応こそ、私が期待したものだったからです。

「Of course! I'm very serious!!」

そう言い返したらロバートさん、「O.K.」とだけ言ってマイクを置いちゃいましたよ。
なんという肩すかし。なんなの、この人のお茶目っぷりはw

次にスローガン代表取締役の伊藤 豊さんからの質問。

「失敗というと、ユーザがそこから何かを学んで成長していくサービス、という方向性もあると思うんですけど、どうしてそちらには行かなかったのでしょう?」

来た!
ついに来ました! とうとうこの質問がっ!!
自然とマイクを握る私の手に力が入ります。

「・・・その点は、まさに私たちがもっとも悩んだところでした。ですが、この三日間でぼくが出した結論はこうです・・・たとえ人がどれだけ学んだとしても・・・っ!!!
と、私が声を張り上げようとしたまさにそのとき。

「はい、5分終了〜〜〜〜〜〜」と、進行役の李さんの声。

NOOOOOOOOOOOOO!!!! なんという残念ミー!!!

・・・こうして私たちの戦いは終わりを迎えたのでありました。

戦いの後

というわけで私たちの「残念.me」、サービスの名前通り残念な結果となってしまいました。
審査の後でこっそり審査員の伊藤 健吾さんに「ぶっちゃけ、ぼくたちのサービスの反応ってどんな感じでした?」と聞いたところ、「正直、話にも上らなかったよ」と即答されました。がびーーーーんw


最後に皆で乾杯

それはさておき、優勝したチーム「COOK MATCH」の皆様、おめでとうございます!

「COOK MATCH」のメンバーからお話を聞いたところ、リーダーであり、エンジニアでもあるTaoさんのアイデア、およびビジョンからは一度もぶれる事なく、メンバーそれぞれがひたすら自分たちの作業に集中することができた、とのこと。元々のアイデアの完成度もさることながら、チームの結束力、まったく見事なものです。
おくればせながら心から祝福を申し上げます。

そして、私たちのチーム「Shippai on the go」の面々。
優勝できなくて残念だったかって? そりゃあもう。
でも、チームの仲間たちは晴れやかに笑っていました。それもそのはずです。
だって、私たちはこの三日間、ずっと笑い続け、そして楽しみまくっていたんですからね。

この程度の失敗、"残念.me"に投稿して笑い飛ばし、そしてまた次へと向かっていくだけのこと。
そういった心構えこそ、私たちの"残念.me"で作り上げたかった価値であり、私たちがStartup Weekendで学んだスピリットでした。

最後に

というわけで、たった54時間の、目が眩むほど忙しい、しかし夢のような時間が終わりました。
いや、正確には終わっていませんね。Startup Weekendで過ごした時間は、参加者が起業家になるための最初の数日間でしかないのですから。
ともあれ、ものすごく充実した時間に一区切りがついたのです。

ブログ上から恐縮ですが、この素晴らしい体験を提供してくれた関係者の皆様、つまり、オーガナイザー、メンター、審査員、それにイベントの参加者の皆様に心から感謝を捧げます。本当にありがとうございました。

そして、もちろん三日間、一緒に戦ってくれたチームの仲間たち。Hiroさん、Yuheiさん、Junさん、O女史。
世にもふざけたアイデアにも真剣に挑戦してくれる、そんな素晴らしいチームに出会えたことを私は誇りに思います。
ありがとよ、てめーら!!

さて、この体験記の最後は、その日の夜、私たちが交わした合図で締めくくることにしましょうか。
その夜、有志によって開かれた打ち上げ会で、私たちはこんな素敵な言葉で乾杯したんですよ。

HAPPY LOSER!!
ってね!

変なエンジニア、2013 Feb, Startup Weekend Tokyoに参加する! 二日目の巻(後編)

前編からの続き。
「失敗共有サービス」という未踏の地を目指しながらも、マネタイズに苦しむチーム「Shippai on the go」の仲間たち。
そして、禁断のビジネスモデル・「めぐみ」の隠された秘密とは!?
彼らの魂は希望への光を見出すことが出来るのか!? はたまたマネタイズの暗い誘惑に囚われ、暗黒面へと落ちてしまうのか!?


※チーム「Shippai on the go」たちの心の葛藤。(イメージ画像)

・・・とまあ、てきとーに盛り上がってきたところで、Startup Weekend Tokyo体験記、引き続き二日目の後編をお届けします。

恐怖のカスタマー・バリデーション!

「失敗共有サービス」の軸を、"学び"ではなく"共感"に大きく舵を切った私の決断に、チームの皆はわりとすんなり納得してくれました。
まあ、「『そんなビジネスモデルは人として間違ってる!』って最初に言ってたのだれ!?」みたいな声は少し上がりましたけどもw
しかし、進むべき道が定まったとすれば、次にやるべきことは自ずと明らかになっていくものです。

スケジュールのほぼ半分を使い切った今、いつまでも議論ばかりしていられません。そろそろ行動に移るべき時です。
すなわち顧客検証、カスタマー・バリデーションの時間です。

その前に、ここまでの状況をおさらいしましょう。

私たちのチームが見込んだ収益の柱は二つありました。

収益源1:書籍化ビジネス
収益源2:失敗に対する見舞金からの手数料徴収

このために検証すべき仮説は、大体、下記のようになるでしょう。

仮説1:ユーザは他人の共感を求めて、自分の失敗をインターネット上に公開してくれる。
仮説2:ユーザは他人の失敗に対して小額の寄付をしてくれる。
仮説3:ユーザから集めた失敗談を、出版社に持ち込めば本にできる。

これらを現実世界にぶち当たりながら、ひとつひとつ検証していかなければならないわけですが・・・さてさて、どんな答えが出ることやら。

仮説1・仮説2についてはインターネット上でのアンケート、および、通行人へのインタビューが有効でしょう。
通行人へのインタビューという、そこそこハートの強度を要求される役目は、ガチ関西人のHastler二人組、Hiroさん(40才独身)、Junさん(23才リア充)が買って出てくれました。なんという頼もしい男たちでしょう!
そんな勇敢な二人の背中を、私が最敬礼で街へと送り出したのは言うまでもありません。


※インタビューのため、街中へと突撃するHiroさん、Junさんの二人。(イメージ画像)

さらにインターネット上でのアンケート活動については、HackerらしくYuuheiさん(沖縄出身)が担当。そして私は仮説3の検証について手立てを尽くす、と決めました。
が、残るO女史がここでまさかの一時離脱。じつはイベント全体でDesignerの数が圧倒的に足りなかったため、他のチームのお手伝いを引き受けたO女史なのでした。
おおっ! マネタイズ、マネタイズと口うるさい割には、意外に情に厚いじゃないか! 心の中でひそかに守銭奴呼ばわりしてすまんかった!

VOWの編集者に突撃

Startup Weekend Tokyo開催時、世間一般は連休のど真ん中でありました。そのため、出版社に問い合わせようと思っても大抵の会社はお休みです。
事実、VOW出版元の宝島社に電話をかけても、自動録音のアナウンスが流れるばかり。
そこでWikipediaVOWの項を調べ、関係者について確認。その中に編集者の方のお名前があったので、それをググって、まずはブログを発見。さらにTwitter上でその方のアカウントを見つけることに成功しました。
うーん、こうやって書くと、明らかにストーカーですね。相手が年配の男性でなかったら誤解を受けてしまいそうです・・・。

そんなわけで、早速Twitter上でインタビューの申し込みを敢行!

待つこと数時間・・・、なんとTwitter上で返信が!

ごもっともです・・・。
すいませんでしたっ!!
 

街中インタービュー、その後

そうこうするうちに、インタビューに向かった二人が無事、生還しました。しかし、その表情はどこか暗い。
二人がしてくれたインタビュー結果についてまとめると、大体、こんな感じ。

・サラリーマン風のお兄さんに突撃!
 なんか二十代くらいの男性。明らかに迷惑そうな感じ。
 「SNS、使ってますか〜?」って聞いたら「使ってない」と言う。マジか!?
 「自分の失敗を他人に話したいと思いますか〜?」「思わない」
 「最近、友達とかから失敗談を聞いたことありますか〜?」「別に」
 「他人の失敗にお金を払ってあげてもいいと思いますか〜?」「思わない」
 ありがとうございました。

・女性二人組に突撃!
 なんだかお互いの関係がよく読めない感じの、女性の二人組。
 話しかけようとすると、「今、忙しいから!」と断られた。
 ありがとうございました。
 
・人当たりの良さそうなおばさんに突撃!
 北海道から娘さんのところに遊びにきたらしい。
 自分の失敗について他人に話してもいいと思いますか?と聞いたら、相手によるけど身近な人にならかまわない、とのこと。
 また、このおばさん、実際に最近あった自分の失敗談について話してくれました。なんという、いい人でしょう!
 「なんのために自分の失敗を人に話すんですか?」という質問には、「なんとなく共感とか、同情してもらえれば嬉しい程度」という返答。
 そして最後、「他人の失敗に対する同情の気持ちとして、お金を払ってもいいと思いますか?」という質問に対しては、こんな意見が。
 
「なんでもお金で解決しようとしてはいけない。人として、それは間違っている」

 真剣に叱られてしまいましたw でも、じつに真っ当なご意見ですね!
 ありがとうございました。

・中学生の女の子に突撃!
 なんか人待ち風中学生の女の子。
 ・・・というか、このご時世、この年頃の女の子に話しかけるなんて・・・。Hiroさん、Junさん、あんたら勇者だよ!
 「Facebookとかやっている〜?」という質問には、「やってます」との答え。中学生でも、Facebook!?
 さらに質問しようとしたところで、どこからともなく現れた、お出迎え用の黒塗りBMWが女の子の前に停止。 ・・・怖っ!!!
 Hiroさん、Junさんの二人は撤退を余儀なくされました。
 ありがとうございました。

アンケート調査結果

さらにインターネット上で募集したアンケート調査の結果がこの頃になると段々明らかに。
大体、調査結果をまとめると以下のような感じになりました。

・自分の失敗を公開しても良いか?
 半数以上の人が別にかまわない、と思っていました。まあ、内容によると思いますが。

・失敗を話すとき、相手にどういう反応を期待しているのか?
 共感してもらえれば嬉しい、という意見が多かった。一部、相手の学びになればいい、という意見も。
 
・他人の失敗にお金を払ってもいいと思うか?
 ほぼ全員が「思わない」。

調査結果を踏まえると、禁断の黒魔術「めぐみ」モデルはこれっぽちも機能しそうにありません。
うーむ、日本人の心は美しいなー(遠い目)

メンタリング

さて、Startup Weekendの二日目には、メンターの方々と面談する機会が各チームごとに与えられます。つまり、ビジネスアイデアについて直接、いろいろと意見がもらえるわけですね。
このメンターの方々がじつに錚々たる顔ぶれで、「失敗を共有して笑い飛ばす」というふざけたアイデアにどんな反応が返ってくるのか、いささか不安になりました。
これまでのカスタマー・バリデーションの結果を考えると、なおさら憂鬱な気分に。


※メンタリングを受けるチーム「Shippai on the go」の面々

ともあれ、自分たちのアイデアをメンターの皆様に説明してみましたよ。
すると・・・。

「そんなもの、FacebookTwitterでやればいい」
「そういうサービスは別にあってもいいけど、無くても困らない」
「学びのための失敗共有ならまだわかるけど、共感と言うとただ、おたがいの傷をなめ合っている感じしかしない」
「失敗に対する寄付というのは、日本の文化にそぐわない。いっそイスラム圏の20億をターゲットにするくらいじゃないと」

見事なまでにフルボッコw
メンターの皆様、貴重なご意見、本当にありがとうございました。

迷い、そしてピボットの誘惑

メンターとの面談、および、カスタマー・バリデーションの結果を受けてしょんぼりとするチーム一同。
だめだ、やはり「めぐみ」モデルは無理だったんです。となると、また一からビジネスモデルを考えなおさなくてはいけません。さようなら、「めぐみ」・・・。

「やっぱり"共感"の軸だとマネタイズは無理なんじゃ・・・」チームの中の誰かが、ぽつりと言いました。
すっかり弱気になっていた私も、その言葉に力なくうなずくしかありません。

「そうだな・・・。やっぱり、無理だ・・・」と、私。「ごめん、オレが悪かった・・・。すまないけど、もう一度最初から考え直してみよう。"学び"の軸でどんなビジネスが作れるのか、みんなで考えてみよう」

と、またまた方向転換を決める私。まったく無責任なヤツです。

「やっぱりターゲット層はしぼったほうがいい。就学生は必死だから情報を求めているはず」
「OBから就職活動の失敗談を聞けるならニーズが高いのでは?」
「面接時に、お互いに気をつけるべき情報を交換し合ったらどうだろう?」

その頃には再度、チームに再合流したO女史を含めて、みんなから次々と意見が出されました。そして、30分もしないうちに「就職活動している学生向けの情報交換サービス」というビジネスの青写真が完成。
じつに"ワークしそう"なビジネスモデル。さっきまで散々悩んでいた事がまるで嘘のように、あまりにもさくっと出来上がったので、チーム一同、呆気にとられたようにホワイトボードを見つめました。

「これ、上手くいきそうじゃない?」「うん、何の問題も感じられないな」などと、口々に言います。その点について、私も同意せざるをえませんでした。

私はチームのみんなの顔を見回すと、「じゃあ、みんな、このビジネスに賛成だな? だれも反対しないんだな!?」と聞きました。仲間たち全員が一様にうなずきます。
「よし、わかった、じゃあ、これで・・・いや、やっぱりダメだ」と、私。
その言葉に、は?という表情を浮かべる仲間たち。
私は思わずホワイトボードを殴りつけながら、言い放ちました。「このアイデアはクソだっ!!」
私にはどうしても受け入れられませんでした。さながら、テスト用紙に書き込まれたような模範解答のような、そのアイデアが。
誰も反対しようのないほど理路整然として、クレイジーさのかけらもないアイデア。

間違いなくこれだけはハッキリ言えます。
そんなもの、クソに決まってます。

覚悟、そして奥の手

そろそろ日が暮れ始め、あと数時間もすればSWTokyo二日目が終わります。そんな中、私たちのチームで決まっている物と言えば「残念.me」というサービス名だけ。
残り時間を考えると、もう後戻りは許されません。さんざんブレまくった私ですが、もう「共感」から照準を外す気はありませんでした。
マネタイズをどうすべきかはさておき、「共感」を軸とした場合のサービスがどのような形になるのか、おおよそイメージすることはできます。そこで見切り発車的に、MVP(Minimum Viable Product)の作成に着手することに。

ここでO女史がDesingerの本領を発揮。すさまじい早さでWebのデザインを組み始めます。
私とYuuheiさん、Hacker組はコーディング作業。
それらの作業と平行して、Hastlerのお二人、Hiroさん、Junさんには、とにかく共感ベースで収益を上げるアイデアがないか、ブレストして考え出す、という難題が与えられました。


※ブレスト中のHiroさん、Junさん

禁断のビジネスモデル(またか!?)

どんどん時間が過ぎ去って行く中、私たちの焦りが募っていきます。
しかしそんなときにこそ、道は開かれるというもの。やがて、Hastler二人によってひとつの画期的なアイデアが出されました。
それは人類が太古より恐れ、かつ求めてやまなかったもの。すなわち、18禁です。

要は、ちょっとエッチな体験談も集めて、それらは有料コンテンツにするというアイデアです。
しかもお値段は一ヶ月、たった100円ぽっきり。おこづかい制のお父さんにも朗報です!

これだ、間違いない!
世のチェリーボーイが、先人たちの失敗を聞きたくないはずがない!
「大丈夫、オレだってこんな失敗をしてきたんだぜ・・・」みたいな話が聞けるとしたら、どれほどの若者たちの心を救えるでしょうか?
ちなみに、私も26才まで童貞だったクチですが、その当時にこんなサービスがあれば絶対に課金していましたよ!(断言)
そして、昨今の日本の少子化問題、さらには、年々、男性の童貞人口が増加している社会情勢を鑑みれば、これほど成長が見込めるビジネスはちょっとないんじゃないか!
参考資料:未婚者、童貞36.2% 処女38.7%

しかし、当然ながら反対意見も出されました。「そんなサービス、恥ずかしいよ!」とね。
沖縄出身のYuuheiさんなんかは、前回参加したStartup Weekend Okinawaの結果に満足していなかったらしく、今度こそはという思いで今回参加されていたわけですが、そこで発表するのが「童貞のための失敗共有サービス(あはーん)」とあってはさすがに名折れと言うもの。いや、気持ちはわかります。

私はそんなチームの仲間を奮い立たせるために吼えました。
「てめーら、空を飛びたくねーのかよっ!! 一緒に飛ぼうっ!! このStartup Weekend Tokyoでっ!!!」

結論が出ました。
私たちの「残念.me」、その誕生の瞬間です。

「・・・いやあ、この結論にたどり着いちゃうこのチーム、すごくないですか?」
その日の夜、別れ際に残したJunさんの言葉が今でも忘れられません。

徹夜作業

アイデアは固まったものの、MVPであるWebサービスを明日のプレゼンまでに完成させなければなりません。
幸い、O女史がWebデザインをあらかた完成させてくれていました。他のチームのデザイン作業も手伝っているというのに、この仕事の速さ。さすが、マネタイズ女王!
あとはアプリケーションを実装するだけ。ここはHackerの腕の見せ所というものです。

「藤井さーん、後はよろしく頼んますねー。徹夜でやって下さいねー。私は、きっちり眠るんで!」と、O女史。
そして、HackerであるYuuheiさんも含め、他の仲間たちもあっさり帰宅することを決定。ちょっと待て、オレ一人で全部やれってか!?

でも、いいんです。自分で言い出したアイデア、最後は自分でケツを持つ。これこそケジメ、というものです。
エンジニアとして、まさに本望と言えるでしょう。
夜が更けていく中、愛用のMacbook Airと向かい合いながら、何度も自分にそう言い聞かせる私でありました。


※徹夜でコーディングする私の姿。(もちろんイメージ画像)

(最終日に続く)

変なエンジニア、2013 Feb, Startup Weekend Tokyoに参加する! 二日目の巻(前編)

前回のブログの続きです。
Startup Weekend Tokyo体験記、二日目の分をお届けします。
でもその前に、前回のブログを読んでいない方のために一応あらすじを。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ※BGM: ST●R W●RSのOP曲
脱・SW童貞のために立ち上がった一人の勇者・オレ。
そしてオレに導かれ、数奇な運命を経て集結した四人の男女(被害者)たち。
彼らに課せられた使命。それは「失敗を共有し、共感し、笑い飛ばす」という前代未聞のサービスを作り上げること。
待ち受ける幾多の困難を前にして、彼らの胸に去来する思いは、愛、友情、はたまた悔恨の涙か!?
さあ、彼らの運命や如何に!? どどーん

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

・・・調子に乗りました。ごめんなさい。

冗談はさておき。
SWTokyo二日目は、このイベントの全日程の中で私たちチームがもっとも悩み、苦しみ、迷い続けた一日でした。
そういう意味ではこの日、私たちはもっともStartup Weekendらしい時間を過ごしたと言えるかもしれません。
他のチームの方々がどのような思いで過ごしたのかは我々が知る由もありませんが、案外みんな同じような気分を味わったんじゃないでしょうか?

あまりに濃密な時間を過ごしたため、この体験記のブログも二日目だけは前編・後編に分ける必要がありました。あらかじめご了承ください。
ともあれ、我ら「Shippai on the go」チームの面々が初日の深夜から二日目に辿った軌跡をお届けしたいと思います。

最初の問題:「失敗共有のニーズはあるのか?」

初日のチーミング終了後、我らチーム一同は会場付近の居酒屋に移動。乾杯もそこそこに、さっそく作戦会議をすることに。
当然ながら、最初に私たちが立証しなければならない仮説はコレ。「ユーザは失敗を共有したいのか?」

「失敗は誰にとっても恥ずかしいもの。それをわざわざ人目に晒すヤツなんているのかよ!?」
もっともな疑問です。これまでの人生で失敗慣れしている私はだいぶ平気ですが、その感覚を人に押し付けるのは独りよがりというものでしょう。
そこで、まずはチーム内で決を取ってみることに。

「この中で自分の失敗を他人に話して平気なヤツはいるの?」と聞くと、私、そして関西系三人組のHiroさん、Junさん、O女史が迷うことなく挙手。ひとり、沖縄出身のiOSプログラマー、Yuuheiさんだけが手を挙げず。「え、だって恥ずかしいじゃんw」と常識的な反応です。

しかしながら、この通り、調査結果を踏まえると、80%の割合で失敗について許容的な人々がいることがわかりました・・・。
・・・って、ちがう!
このチームの面子は特異すぎる!

ほとんどが関西系! こいつらなら笑いを取るためならスカイツリーの上からだって飛び降りかねない!(偏見丸出し)

というわけでここは明日、街中に繰り出してみて、その辺の人にインタビューしてみようじゃないか、ということに相成りました。
ま、当然ですな。

第二の問題:「マネタイズはどうするか?」

さて、インタビューをするにしてもそれなりにしっかりとした質問を用意しておかないと、正しい回答が引き出せないだろう、と考えた私たちは質問のシナリオについてあれやこれやと話し合いました。
ところが、それまでオニオンリングをぱくついていたO女史が突如、怒ったように言い放つじゃありませんか。

「だ・か・ら〜、マネタイズはどうすんのよ? 言っとくけど、ちゃんとビジネスモデルを考えておかないと、ぜったいに優勝できないよ!? いいの、それで?」

さすがStartup Weekend Osaka前回優勝者のO女史。このイベントを知り尽くした者のならではの発言です。その言葉の重みに残りの一同は思わず頭を抱えました。そりゃあ、そうでしょう。あたかも鉛を黄金に変えるがごとく、失敗をお金に変える方法がそう簡単に思いつくようなら、誰も苦労なんかしませんて。

書籍化ビジネス

しかし、じつを言うと、ビジネスモデルのアイデアがまるでなかったわけではないんですよね。このほんの少し前、会場で知り合った親切なフランス人、Madjidことマジさんがこっそり教えてくれたのが、フランス発の類似サービス、
VDM(http://www.viedemerde.fr/)

VDMは失敗談をユーザから集めて、本として出版したり、アプリにしたりして儲けているとのこと。おおっ、ぴったりじゃないか!
この話を聞いて自然と思い出されたのが、日本は宝島社が出版している「VOW」という超有名な本。


※「VOW」についての詳しく知りたい方はこちら:http://portal.nifty.com/2010/06/09/d/

ユーザから愉快な失敗談を集め、こんな風に書籍化して儲ける、というのはどうだろうか?と、私たちも当然、考えたわけですよ。

しかし、このアイデア、どうにもインパクトが弱い。
本屋の売り上げがこれだけ低迷しているこのご時世、書籍化で儲けるってのはあまりにも心許ない商売です。
たとえアプリとして売るにしても、そんなに太い儲けになるとは到底思えません。

禁断の「めぐみ」モデル

やはりここは、何としてでも斬新かつ強力なビジネスモデルを考え出さなくてはなりません。
というわけで、誰ともなく発案した禁断のアイデア。それが「めぐみ」モデル、別名「投げ銭」モデルでした。


※「投げ銭」と言えばもちろんこの人w

他人の失敗に、人ならば誰でも少しくらいは同情するでしょう。いや、当然するはずです、人として!
ならば、そういった失敗に対して善意の寄付をしてくれる人だっているかもしれない!

いや、何も大きな金額じゃなくてもいいんです。百円とか、十円とか、小さな気持ちでいい。
それを投げ銭的に、失敗の持ち主の心を癒すために「めぐんで」あげる。
「めぐんだ」人には相手に対するちょっぴりの優越感。失敗を投稿した人には少しのお金。そして、運営側はそこから手数料をいただく、と。

やった、究極のビジネスモデルができたーーーーーーっ!!!

しかし、ちょっと待て! なんだかやっていることが賽銭泥棒みたいじゃないか?
善意の寄付金から一部をちょろまかす、そんな義援金詐欺みたいな行為が許されるのか? 人として!

そんな良心的な声がメンバーの間から自然と持ち上がったのは言うまでもありません。
産声を上げる間もなく、この黒魔術は封印されることになりました。

だめだ、やはりビジネスモデルが見つからない・・・。

とにもかくにも、多くの課題を残したまま、我々は翌日早朝の集結を約し、各自家路に着いたのでした・・・。

特捜指令!ビジネスモデルを探せ!!

二日目の早朝、SWTokyoの会場が開く前、少しでも多く作戦を練ろうと、都内某所に再び顔を揃えた「Shippai on the go」の仲間たち。
この日に行う予定だった通行人への突撃インタビュー、その質問内容などを一通り確認し終えた後、私たちの話題は自然と「ビジネスモデルはどうするか?」という問題に移って行きました。

「だから言ったでしょ! このアイデアはマネタイズがクソすぎやって!」と、相も変わらず念仏のように言い続けるO女史。えーい、まったくうるさいヤツだ。
「だから、なんとかなるって言ってるだろーが!」と虚勢を張って言い返す私。しかし、昨晩までの自信はとうに消え失せ、自分でもその言葉に説得力があるとは思えるはずもなく。
チームそろって会場に向かう電車の中でも、私の頭の中は、マネタイズ、マネタイズ、とただそればかりに。まったくこれまでの人生、これほどまでにお金儲けについて考えたことがあったでしょうか?

共感 vs 学び

二日目のイベント開始。早速、自分たちのチームの席を確保すると、引き続きビジネスモデルについて議論が続きます。
ここで「失敗共有サービス」というネタが私とかぶっていたという、Junさん(23才・リア充系男子)が口火を切りました。

「ぼくがやりたかった失敗共有って、なんか笑いとかそんなんじゃなくて、失敗を学びに変えて人を成長させる、とかそんなコンセプトだったんですが、そっちのほうがマネタイズしやすいんじゃないですか?」

・・・何という大人な発想。そして何という的確な意見。とても十才以上も年下の男とは思えません。

この発言を受けて、チームのみんなからは次々とアイデアが出されました。

・著名人の失敗談なら、みんな聞きたいだろうから課金してくれるんじゃないのか? たとえば孫正義とか、ホリエモンとか。
・就活とか婚活のようにニーズが高そうな領域の失敗談なら、ユーザが課金してくれるんじゃないのか?
・失敗のデータを大量に蓄積できたら、マーケティング会社とかに売れたりしないか?

などなど。

ビジョン vs マネタイズ

うーむ、たしかに"学び"を軸にした方が芽がありそうな感じがあります。
しかしながら、その分なんだかお固い感じにもなってきました。

サービスから「笑い」要素がなくなってしまえば、それは私が本来抱いていたビジョンとは少し違ったものになってしまいます。
私はこの世界を駆動させている根本原理は、人間の感情とか共感とか非言語的な何かだと思っているので、そこに踏み込むようなサービスを作りたいとつねづね思っていました。
しかし、そういった不確かなものを相手にすると、確実なマネタイズを考えるのがどんどん難しくなってしまうのも、また事実。
ここは背に腹は変えられない、と私は自分に言い聞かせましたよ。

さらなるアイデア出しをメンバーに任せ、私はひとまず、ユーザから集めた失敗データがマーケティング用の商材として売る事ができそうなのか、会場にいる人々に聞いて回ることに。
他のチームを順繰りに回って「すいませーん、マーケティングに詳しい人、いないっすかー?」と聞いていきました。こうやって書くと、なんだか酒屋が注文でも取っているみたいですね。傍目にも怪しいおっさんが、作業中の皆様を煩わせた事、この場を借りてお詫び致しますw

そうやって数人の意見を頂戴した後、さらにもう少し粘ってみようとして、最後にお話を聞いたのがSWTのオーガナイザー、グプタさんでした。
グプタさん、じつはピッチの時から私のアイデアを面白いと思っていたとのこと。なんとも嬉しい限り。

そしてこのときの会話は、私にとって非常に印象に残るものとなりました。グプタさんが私に話してくれたことをなるべく正確に書き起こしてみます。

「今の時代、情報がどんどん簡単に手に入れられるようになっているでしょう? だから、知識とかそういったものは、どんどん価値が下がっていると思います。
 失敗について言えば、すでに東大の先生が失敗学のデータベースを作って無料で公開してます。
 それに、失敗について学びたいなら人は伝記とかの本を読むことのほうが多いでしょう。そういったものが競合相手です。だから、サービスの方向性を"学び"に向けるのは私はオススメしません。
 ハードルを上げてしまうかもしれませんが、共感とか非言語的な価値を掘り起こしていったほうが可能性は膨らむと思いますよ」

自分がもやもやと考えていたことを、誰かがさらっと説明してくれたときの爽快感、経験したことがある人にならきっとわかってもらえるでしょう!
私はグプタさんに手短にお礼を言うと、急いでチームの元に戻り、自分の決意をみんなに伝えました。

「ごめん、やっぱ、笑いだ! 共感をベースにしたサービスでもう一度、考え直そう!」


※その時のチームの反応。しかも四人分。

「・・・で、マネタイズは?」と、呆れたような顔をしてO女史。まったく、お前の興味はそれだけか?

私は少し考えてから、口を開きました。
「・・・こうなったら奥の手だ。

黒魔術の封印を解く!

一同「エーーーーーッ!?」

(後編につづく)

変なエンジニア、2013 Feb, Startup Weekend Tokyoに参加する! 一日目の巻

とうとう、あこがれのイベント、Startup Weekend Tokyoに参加してきました!
いやね、ベンチャー企業に身を置いているくせに、このイベントに参加したことがないっていうのが、じつは前から密かにコンプレックスだったわけですよ。
なにしろスタートアップ界隈ではこのイベント、超有名ですからね。周囲には参加済みの方々も多いし、同僚の一人なぞこのイベントで優勝したことさえあるくらい。

ってな強迫観念に捉われて、悶々とすること数ヶ月。そんな折に、地元・東京で開催されるのを知った以上、もはや言い逃れはできません。
仕事も週末の予定もすべて投げ出して、脱・SW童貞を目指して突っ走ることを決意したわけです。
そしたら、同僚で前回のStartup Weekend Osaka優勝者のデザイナー・O女史が「じゃあ、私もまた参加するわー」などと言い出しやがる。

いきなりの強力なライバル登場に、動揺を隠し切れない自分。
「てめーは一度、優勝してんじゃねーか。今回は大人しく引っ込んでろ!」
などと一回りも年下の女性に食ってかかる私もそうとうアレですな。

一方、「また勝たせてもらいますわー。藤井さん、敵じゃないっすわー」と、まるで余裕のO女史。ぐぬぬ、となる自分。
そんなこんなでStartup Weekendへの初参戦、早くも暗雲立ちこめてまいったわけで。

戦いの始まり

金曜日の仕事を終えた後、O女史と「帰れ」「いや、お前が帰れ」などとイガミ合いながらも共に会場へ。
会場に着くと、まずは国際色の豊かさにびっくり。まあ、サイトがオール英語で、しかも場所が東京とくればある程度予想はしてましたけどもね。
しかも、皆さん超絶フレンドリーw


※方々に名刺を渡しまくるオレ。名刺通り魔の異名はダテではない。

「皆サーン、元気出シテイキマショー!」とかやたらに叫ぶ金髪の兄ちゃんもいるし、とにかくすごい熱気!
缶ビールですっかり良い気分になった私もテンションが上がりまくり、手当り次第にしゃべりまくり、O女史にドン引きされる始末。

「藤井さーん、エンジニアのくせに変にコミュ力高いっすわー、引きますわー、ホント」
えーい、ほっとけ。

ミニゲーム

その後、アイスブレイクを兼ねてやったミニゲームで、会場はかなりカオスな雰囲気になりました。
ミニゲームのルールは簡単。即席で8~9人のチームを作り、与えられたキーワードの組み合わせをもとに、会社のロゴ、ビジネスプラン、コンセプトをチーム内でブレストして作り上げるというもの。
キーワードはその会場内での公募。自分は「牛丼」とか割と無難(?)なキーワードを出したんですが、隣の金髪兄ちゃんはこともあろうに「かめはめ波!」とか言いやがるw
いやあ、ドラゴンボールのワールドワイドっぷり、マジぱねえっすw


※ミニゲーム中の会場

そうやって出された20個のキーワードのうち、各チームで二つを選ぶんですが、これが早い者勝ちという情け無用の過酷なルール。それを聞いた途端、みんながホワイトボード目がけて猛ダッシュ!
そりゃあ、「かめはめ波」とかが当たったらシャレにならないものw

ちなみに私たちのチームで選んだのは「夕焼け」+「Snow」。うーん、ポエミィ。
夕焼けに雪、とくればこれはもうロマンチックしかない!という独断と偏見により、恋人達のためのロマンチックコンサルタントというアイデアをみんなで考え出しました。なにしろ、ロマンチック、これほど今の日本に足りていないものはありませんから!(力説)


※ミニゲームの発表順番を決めるためにジャンケンするオレ。しかもこの後、負ける。


※ロマンチック・コンサルタントについて力説するオレ。

そして「かめはめ波」+「フンドシ」という禁断のキーワードを引き当てたチーム・・・私が思わず心の中で合掌したのは言うまでもありません。

エレベータピッチ

抱腹絶倒のミニゲームで否が応でも会場が盛り上がったところで、時計の針も進み、いよいよ希望者によるエレベータピッチ祭りへと突入。
つまり、自分が考えてきたビジネスアイデアをみんなの前で1分以内に説明するわけです。

もちろん私も挑みましたよ。ピッチ苦手だけども、せっかくならイベントの醍醐味を堪能しないとね。

そんな私が考えてきたのは「失敗を共有して、共感し、笑い飛ばすサービス」というもの。
いやあね、黒歴史の数では決して他人に劣らない私だからこそ考え出せるアイデア、と言っても過言ではないでしょう。
こういった黒歴史も人生のその時々では辛いものですが、過ぎてしまえば良い思い出、酒の席の笑い話ですからね。そういう世界観ってもっと広く作れないかなー、と思ったのがきっかけ。


※「失敗共有サービス」についてピッチするオレ。「いままでたくさんのビジネスアイディアが出てきましたね。でも、ほとんど失敗すると思いますよ。失敗したって良いんです!」と言ったら、会場のみんなが笑ってました。

ま、O女史には「そのアイデア、マネタイズがクソすぎやん!」とか言われましたけどもね。
いいんですよ、ビジョンさえドーンと高くぶち上げておけば、ビジネスモデルなんざ後でどうにでもなります!(多分)

投票


※投票のため壁に貼り出されたアイデアの数々

さて全員のピッチが終わったところで、いよいよ投票の時間になりました。
投票のルールはいたってシンプル。一人三票の付箋紙を持ち、その三票を好きなアイデアに貼りつけていくというもの。
自分で自分のアイデアに投票してもOK。
同じアイデアに三票全部を投票してもOK。
そして、最低でも七票取れなくては、そのアイデアは失格。

私はどうしたかって? 三票全部、自分に入れましたよ。当然! これで、残り四票!
その後、だれか自分のアイデアに投票してくれまいか、と首を長くしていましたが、これがなかなか投票されない。
もうとっくに七票以上獲得しているアイデアもあるのに、一体どうして!? 「失敗」というネガティブイメージはやはりヒットしないのか?
などとヤキモキしている間も無情にも時間は過ぎていきます。もはやこれまでか、と思われた矢先、ピッ、ピッ、ピッと付箋紙が貼られたじゃありませんか! これで、あと一票!
祈るような気持ちで待ち続けること数分、ようやく待ち望んでいた最後の一票が投じられました。そして投票終了。
結果として、ギリギリ合格ラインの七票をゲットすることができました!(しかも、そのうちの三票が自分票というw)

まあ、なんだ? 結果オーライ!?

一方で自信満々だったO女史はまさかの落選。
「しまったー。ビジネスモデルが高度すぎて上手くピッチできんかったー」とは彼女の言。
早々のライバル退場に、思わずほくそ笑む私。

チーミング


※落選を免れたので、意気揚々とチームメンバーを募集するオレ。心なしか周囲の人々の視線が冷たい気が・・・

しかし、投票で生き残ったとしても安心するのはまだ早かった!
なにしろ、次はアイデアを一緒に実現してくれる仲間を募集しなくてはならない。もしも、一定数のチームメンバーが集まらなかったら、これまた失格。うーむ、なんというイバラの道・・・。

「失敗」というネガティブ・イメージのせいか、やはり、どうしても引きが弱い。しかし、世の中にはいるんですよね、こんな馬鹿げたアイデアのために集まってくれる怖いモノ知らずがw

・Hiroさん(Hastler)・・・
 「40才、独身」をネタにたびたび会場の笑いを取っていたナイスガイ。繰り出すネタはネガティブなのに、人柄はめっぽう明るい東京在住の関西人。
 LOVE理論の伝道師として、怪しいDVDとか出会い系情報とかをこっそり教えてくれます。
 Hiroさん、あんたは男だよ!

・Junさん(Hastler)・・・
 関西出身のリア充系好青年。なんと彼とはアイデアがかぶってしまっていたらしい。こんなネガティブなアイデアをかぶせてくるとは見かけによらず、なんとも侮れない青年であります。しかも、急遽差し替えてピッチしたアイデアがゲイ専用SNSFacebookならず「Gay's book」w
 同じアイデアだったんなら一緒にやろう!とチームに誘ったんですが、今考えると何とも末恐ろしい男だわw

・Yuuheiさん(Hacker)・・・
 iOSプログラマー。ピッチでは「世界一ネガティブなCEOになりたい」と話してました。まさに我がチームにうってつけの逸材(私がチームに誘った時、少々迷惑そうな顔をしていましたが)。
 わざわざ沖縄からやってくるという見かけによらない行動力が素敵です。あと名刺入れとか、小物がきれいなオシャレさんです。

これで私を入れて四人。Hastler×2、Hacker×2。
しかし、足りない! この私の壮大な世界観を実現するためにはどうしてもデザイン、それもかなり高度なオバカ・デザインが必要なのです!
そんなオバカ・デザインができるヤツと言えば、思い当たる人材はただ一人。

私は所在なげに立っているO女史に近づくと、腕を引っ張りました。「おい、手伝ってくれよ!」
「はあ!?」と、O女史。「だって、そのアイデアは絶対負けるでしょ! マネタイズがクソすぎやし!」
「わかってねーな! デザインさえよけりゃ後は何とでもなるんだよ! 黙って力貸せ!」
といった押し問答をしばらく続けること数分、最後には「しゃーないなー、もー」と、O女史がとうとう折れてくれたのでした。ふっふっふっ。

こうして、Hastler×2、Hacker×2、Designer×1のドリームチーム「Shippai on the go」が発足したのでした。


※チームメンバーの定員を達成して、晴れて承認を受ける「Shippai on the go」


※ドリームチーム「Shippai on the go」の面々

それにしてもこのアイデアにして、5人のうち3人までが関西系ってのはいったいどういう因縁なんだ!? おかしいよ、関西w!

一日目を終えて

そんなこんなで一日目を終えたのですが、たったの数時間なのに、この濃密さはどうだ!
初日だけで本当に色々なことが起こり過ぎw こんなことが後二日も続くのか!?
ともあれ様々な危機を乗り越え、ようやく船出をした我がチームの行方はどうなるのか? まて、次回!

二日目(前編)はこちら
二日目(後編)はこちら
最終日はこちら

非モテ系エンジニアがデザインとかUI/UXについて勉強してみた

先日、非モテ系エンジニアの身でありながらヒカ☆ラボのUI/UX勉強会に参加してきました。
ちなみに、私にはデザイナーのようにイケてるセンスはありません。むしろ、服装のセンスなど嫁から「この金正日がっ!!」と罵倒されるほどです。
しかし、最近スタートアップに関わる中でデザインとかUI/UXについて色々と思うところが出てきたので、今回の勉強会について振り返りながらその辺りをまとめてみたいと思います。

つくるべきモノをつくる、という話。そして、エンジニアの役目について

株式会社ジェネシックスの藤井幹大さん、坂田晃一さんが自分たちのお仕事をどのように進めているのか、かいつまんで話してくれたんですが、これがじつに実践的な内容でものすごく参考になりました。

特にデザインの進め方として、リーンスタートアップから取り入れた仮説検証のプロセスをぐるぐる回す、という話は、スタートアップ界隈の人間としては「おおっ!」という感じ。
UXデザイン定義書なるものに、まずは具体的なペルソナを決めて書くところなんか、一見するとコレは何かのお芝居の台本なのか、という印象でしたね。
だって人物像の定義に「ITベンチャーで働く総合職。そろそろ情報の発信源となって周りを引っ張っていく必要あり」とか書いてあるんだものw 誰だそれ?w

逆に言えば、そこまで具体的にユーザをイメージして、ユーザ側の課題は何か、ゴールは何か、ということを明確にしてから作るのがデザインなんだ、KPIを計測して自分たちが設計したとおりに機能していなければそれはデザインとして失敗なんだ、というプロ意識の現れなんだろうと理解したわけです。
なんだか「推測するな、計測せよ」という技術者の大命題が思い出されて、思わぬ親近感。

あと、特にスマホアプリの場合、ちょっとした動きも含めてユーザ体験なので、たとえばPhotoshopとかで動かない絵を描いてもそれがデザインにはならないんだ、という話には大いに共感しました。これ、今後はUIについてもエンジニアの責任というのが段々スタンダードになっていく(というより、もうなってる)という話なので、今まで「デザインに興味がない」などと言っていた技術者はけっこう大変になっていくだろうなー、という予感。
いや、自分もセンスはないんですけどw

そういえば、懇親会でお話を聞いた方々のお一人が、アプリの情報設計も実装も自分がやるけど、見た目のお化粧だけはデザイナーさんにやってもらう、と言っていたなー。「私の仕事は実装だけです」なんて、もはや言ってられないよなー、と切実に感じましたよ。

UI/UXって言葉が使われすぎているんじゃね?という話

次に、千葉工業大学の安藤先生がUI/UXDについて講演してもらったのですが、これまた面白かった。*1

あと、すいません、副題は若干嘘が入っていますw でも話にも出たし、最近、わりと自分もそう思う。

真っ先に自分の心をとらえた話題が、UXとUXDをごっちゃにするなってこと。
UXはユーザの個人的な体験。
UXD(User Experiense Designing)はユーザの体験を計画し、それを量産する仕組みを作ること。
やばい、モヤモヤしていたことが言葉でくっきりきっかり説明されるのってやっぱ気持ちがいいわー。

UXDにはたとえば製品がもたらす一時的な体験はもちろん、広報とかで生み出すサービスのイメージなども含まれる、という話を聞いて思わずウンウンとうなずき続ける自分。
この話を聞いたときに今は亡きSteve Jobsが繰り広げた、伝説の「Think different」キャンペーンも、長期的かつ量産的にユーザの体験を計画した、という意味でUXDだったんだなー、と妙に感動・納得したんですよね。

あと、UI/UXという言葉が商業的に消費されていることについて、安藤先生は懸念を示されていました。
その時に引き合いに出された話が、こちらの記事「UIの改悪がUXを改善させる場合」

この記事を読んだとき、自分は単純に「へー、そういう発想もあるのかー」と感心したくらいなんですが、安藤先生はUXの本来の意味を見失っている、と指摘されたんですよね。
「歩く距離を増やしたら、苦情が減った? だからUXが向上した? じゃあ、お年寄りに長い距離を歩かせるのが良いユーザ体験なの? 馬鹿なの?」
と、まあ本当はもっとご丁寧な口調だったんですが、昨今の言葉だけで中身が空の「UI/UX」には憤懣やるかたないご様子で。
このお叱りの言葉は、かなり胸に突き刺さりましたね。もっとユーザについて想像しろよ、数字なんかじゃなくてさ、と言われたみたいで。

「良い体験が何かということを想像できない人間が、他人の良質なユーザ体験を計画できるはずがない」
この言葉が、深い。

この話、最近スタートアップ界隈で流行りのリーンスタートアップなどの、ちゃんとKPIを計っていこう、データドリブンで方向性を見出そう、というアプローチに対して、そういったプロセスはもちろん大事だけども、そもそも到達しようとしているビジョンとか体験とかが抜け落ちたら、人間不在の、ただのデータ至上主義になっちゃうよ、と釘を刺されたように感じられて、心の中で「うおおおっ!!」となりましたよ。

さらに、UXDに携わるものには高い倫理観が求められる、とも仰っていたのが印象的でしたね。
たとえば、某サービスの退会手続きが複雑怪奇でめんどくさいのは有名な話ですが、倫理観がないと「退会者が少ない」=「優れたUI/UX」みたいな、傍目には絶対にありえないような結論にたどり着いちゃったりするわけですから。

他にも「UI/UXは二項対立的に語られる物ではない」とか「デザインとは、ユーザの無意識の期待に報いること」とか、言葉がいろいろと刺さりまくりましたよ。
ごっつぁんです。

最後に

この他にも、パネルディスカッションとか、いろいろと面白い話があったんですが、さすがに全部は書き切れません。
あと、五十嵐悠紀さんの3D技術を使ってぬいぐるみを作る話とかかなりスゴい発表もあったんですが、自分の勉強目的とは微妙にマッチしなかったので、スルーさせていただきました。
この場を借りて、講演をして下さった皆様と主催して下さったレバレジーズの皆様にお礼を申し上げます。

今回、あらためて考えたのは「デザインって何だろう?」ってことですね。

私は自身がプログラマーであるせいか、この世界の最小構成要素は「情報」だと思ってます。「情報」って言っちゃうと味気ないけど、そこにはお金とか、人間の感情とかも全部含まれているので、むしろエネルギーと表現した方がよいかも。経済学なんて、人間社会のエネルギー学みたいな印象があるし。

で、最近はなんだか、デザインって結局、そういった「エネルギー」とか「情報」を的確に伝えることじゃないかって思えてきたんですよね。こう書くと、なんか配管工事みたいだけど、人間とか社会とかを含めたシステムに対する理解がなければ仕事ができない点で違う。*2

プログラムを書くこともコンピューターという特定のシステムへの理解に依存したデザインであることには変わりはないし、たとえば街中を歩いていると、そこら中に誰かによって計画され、実際にデザインされたもので満ちあふれているわけで、自分の手で何かを作り出したいと切望している人間の一人として、デザインというのは本当に心が躍るテーマだなー、と思います。*3

そして、今回あらためて学んだことはこれ。
私たちみんながデザインして、連結された配管はどこにつながっているのか?
私たち、人間に、だったんですね。

*1:なお、安藤先生が講演で使用したスライドは、[http://www.slideshare.net/masaya0730/uiux15uxd-16215263:title=こちら]から見れます。

*2:あるいは、配管工のシステムに対する理解度は、デザイナーのそれと近い可能性もあるけど。

*3:ちなみに私のお気に入りのデザイン成果物は「コンビニ」です。アイデアとか流通の仕組みを含めてですが。

公開バグ票:Rails3+HerokuでJavaScriptの挙動がdevelopment環境と異なる問題

技術者らしく、たまには技術ネタでブログを書こうw
というわけで、最近弊社サービスの開発中で実際に踏んだバグがなかなか面白かったので、分析と解決までの経緯を振り返りも兼ねてこちらにもまとめておきます。
バグの解析って、苦しいけどけっこう好きなんですよね。いろいろと仮説を立てて推理したりする過程がゲームみたいで楽しいというか。
まあ、ネタ的に技術者にしかわかってもらえないでしょうが、知ったことじゃありません、はい。
というわけでいってみよー。

事象:お問い合わせフォームが消える!?

弊社サービスのコラボ(http://www.collabo.in/)のWebページを見るとわかりますが、画面の右側にお問い合わせフォームの見出しタブが常に表示されていて、クリックされるとにゅにゅーっと伸びる仕組みになっています。

ω・`)チラ ←なんか、これに似ている気がする。

ところがあるとき、このお問い合わせフォームのタブが画面のロード完了と同時に、みるみるFadeOutしてついには消えてしまう、という問題が発生。

ω・`)
・`)
)彡サッ

↑こんな感じ。左右逆だけど。

開発環境ではそんな問題が出てなかったのに、本番環境(Heroku)ではそうなるってのは、一体、どういう了見だ!?
というか、こういうバグがあったときこそのお問い合わせフォームだろう!
お問い合わせフォームが消えてどうする! 恥ずかしがり屋さんか、君は!

※ちなみに、本来はステージング環境で摘出するべきだったんですが、バグがあまりに内向的な子だったんで気づくのが遅れました。ホントにすみません。

仮説1:Sprocketsが悪い?

コラボはRails3で実装しています。
で、開発環境(development)と本番環境(production)でJavaScriptの挙動が違う、となるとまずAssetsまわりの設定または処理に何らかの問題があるのでは、と最初は考えました。
特にdevelopmentではバラバラにJSファイルを読み込んでいたのを、productionではSprocketsがそれらをひとつのJSファイルに結合、かつ圧縮・難読化してくれるので、その過程で挙動が変わる何かが起こったのではないか、と疑ったわけです。

Chromeの開発者ツールで該当個所のHTMLを確認すると、属性として「style="display: none;"」が勝手に追加されているのがわかりました。これは、JQuery.hide()が呼び出された場合と同じです。

作戦1:Chrome開発者ツールでイベントを捕捉

探し出すべき犯人は、HTMLに勝手にstyle="display: none;"を追加した何らかのコードです。
そこで、DOMの属性が変更された際のイベント("DOMAttrModified")をキャプチャー、スタックトレースを遡ればそのコードにたどり着けると考えました。
これはChromeの開発者ツールを使えば簡単にできます。

ただ厄介なのが、事象発生のタイミングが画面のロード時の一回限りなので、あらかじめブレークポイントを仕込んでおくことが難しいということ。
そこでJSファイルの先頭に、

debugger;

の一文を仕込んでおくことにしました。
こうしておけばこのコードを読み込んだ時点で開発者ツールが起動するので、楽々とブレークポイントを仕込むことができます。
その後、コード実行を再開させれば見事、犯人が網にかかる、ってわけ。事件解決、めでたしめでたし。

この時点で、私の頭の中では西武警察のエンディングテーマが流れ始めていたんですが、世の中というもの、そう甘くはないようです。

実際にやってみたところ、どうも「debugger;」が読み込まれて開発者ツールが起動し、JavaScriptのコード実行が停止されるまでに若干のタイムラグがあるらしく、その間にある程度のコードは実行されてしまうようなんですよね。
なので、開発者ツールがようやく起動したと思ってDOM属性を確認しても、あわれ、すでに「style="display: none;"」が追加された後。
このバグ、言うなれば、すさまじいスピードで壁に落書きをして、人が来る前に逃げ去るような奴です。
どんなに急いで駆けつけても、残されているのはただ落書きだけ、犯人の姿は影も見えず。えーい、おのれ。

仮説2:他のJavaScriptが悪い?

それにしても「debugger;」を仕込んでいるのに、それより先のコードが実行されてしまう、などということがあってよいのかしらん。
それより他に読み込んでいるFacebookTwitterとかのJSが悪さをしている可能性が高いかも、などと考え始めたのがこの辺りから。
※しかし・・・思考経路を振り変えてみると、自分以外の誰かが悪いはず、という思い込みがアリアリだな、自分w。

この仮説を検証するのは簡単で、HTMLから自社開発のJSファイルの読み込みを削除し、かつ、他のJSファイルはそのままの状態で、同じ問題が発生するかどうかを確かめればいいわけです。

で、やってみました。・・・すると、バグ事象も消えた!

つまり、TwitterFacebookも悪くないんです。疑ったりして、ホントごめんなさい。
ともあれこれで、バグは自社開発のソースの中に潜んでいる、ということだけはハッキリしたわけです。
まずは一歩前進。

作戦2:開発環境で条件を揃えてみる

さて、Chromeの開発者ツールでのデバッグが頓挫したため、次の作戦を考える必要が出てきました。
で、考えたのは「開発環境でバグを再現してみよう」作戦。まさに王道。

バグを再現しようとする過程で原因がわかることも多いですからね。
そこで、
${RAILS_ROOT}/config/environments/development.rb
を次のように修正して、development環境でもproduction環境と同じJSファイルをSprocketsに生成してもらおうと考えました。
諸事情により、"rails server -e production"だとローカルでは起動しないので。

    • [修正前]
  # Do not compress assets
  config.assets.compress = false

  # Expands the lines which load the assets
  config.assets.debug = true
    • [修正後]
  # Disable Rails's static asset server (Apache or nginx will already do this)
  #config.serve_static_assets = false
  config.serve_static_assets = true

  # Compress JavaScripts and CSS
  config.assets.compress = true

  # Don't fallback to assets pipeline if a precompiled asset is missed
  config.assets.compile = false

  # Generate digests for assets URLs
  config.assets.digest = true

基本的にproductionの設定ファイルから該当する個所をコピペしただけですが、serve_static_assetsだけはtrueにしておかないと、RailsがJSファイルを返却してくれなくなるので注意が必要です。
あと、あらかじめ"rake assets:precompile"を叩いて、JSファイルを結合しておくことも忘れずに。

これで、本番環境と同じJSファイルが生成されて、開発環境でも同じバグ事象が発生するはず・・・と思ってやってみると、バグ再現せず。
なぜ!?

仮説3:生成されるJSファイルが開発環境と本番環境でちがう?

ここで、そもそも開発環境と本番環境で、Sprocketsがまるで異なったJSファイルを生成しているのでは、という疑惑が急浮上してきました。
そこで本番環境のJSファイルと、作戦2で生成した開発環境のJSファイルを比較したところ、ありましたよ、犯人の姿が。

$ diff application-96518f0f.js application-994c381a.js | head
2c2
<  * jQuery JavaScript Library v1.9.0
---
>  * jQuery JavaScript Library v1.8.3
8c8
<  * Copyright 2005, 2012 jQuery Foundation, Inc. and other contributors
---
>  * Copyright 2012 jQuery Foundation and other contributors
12c12
<  * Date: 2013-1-14

application-96518f0f.jsが本番環境のもの、application-994c381a.jsが開発環境のものです。
見ればわかる通り、JQueryのバージョンが1.8.3から1.9.0へと変更されています。

見つけた、犯人!
=> 直接原因:JQueryのバージョン違い

なぜなぜ分析1:なぜJQueryのバージョンが違うのか?

しかし、捜査はここで終わりではありません。
なぜなら、JQueryのバージョンがどうして違っているのか、まだ理由がわかっていないからです。

Railsの場合、JQueryのバージョンはjquery-railsというgemのバージョンに紐づいているので、JQueryのバージョンが違うということはこのgemバージョンが開発環境と本番環境で違う、ということになります。
実際にHerokuにデプロイした時のログと、開発環境のGemfile.lockに記述されているjquery-railsのバージョンを比べると次のように違っていました。

開発環境:v2.1.4
本番環境:v2.2.0

しかし、これはおかしな話なんです。
そもそも、こういったgemのバージョンを含めた管理のために、Rails3ではbunlderというものを使っているのですから。
各gemのバージョンをFixするためにbundlerが自動で生成してくれるのが、Gemfile.lockというファイル。
こいつさえgitのリポジトリに含めておきさえすれば、Heroku側で"bundle install"された時にもbundlerがGemfile.lockを読み取って、本番環境でも開発環境と同じバージョンのgemが使用されるはずでした。
しかし、実際にはバージョンが違っているわけです。つまり、さらなる原因追跡が必要です。

=>第二の問題:Gemfile.lockによるgemのバージョン指定が無効になっている

なぜなぜ分析2:なぜGemfile.lockで指定されたバージョンのgemがHerokuで使用されないのか?

なんでだよ、Heroku。
ちゃんとGemfile.lockをリポジトリに入れて、pushしているよ。なのに、なんで無視するのさ!
などと、思わず心の中で突っ込みを入れながらも、Herokuのドキュメントをあたってみたところ、見つけたのがこちら

すぐに目を引いたのが、この文章。

This ensures that all gems specified in Gemfile, together with their dependencies, are available for your application. Running bundle install also generates a Gemfile.lock file, which should be added to your git repository. Gemfile.lock ensures that your deployed versions of gems on Heroku match the version installed locally on your development machine.

ふむふむ、そうだよね。そのはずだ。
しかし、そのすぐ下に書いてある文章で思わず硬直。

If the platforms section of your Gemfile contains Windows entries, such as mswin or mingw, then the Gemfile.lock file will be ignored.

な、なんだってー!!

そして実際にコミットされたGemfile.lockを確認したところ、まさにドンピシャ。

 PLATFORMS
   ruby
   x86-mingw32

"x86-mingw32"ってあるじゃん、おい!

あー、思い出したわー。
弊社サービスの開発当初は私、自宅のWindowsで作業しとったんですよ。その頃は事務所も無かったので・・・。
でー、VirtualBoxとかで動作確認するのが遅くて嫌だったので、RubyInstallerでWindows側にRubyを入れて動かしていたんですよね。
でも、そのうちgemの一部がWindows非対応だったり、いろいろ面倒くさいことが多くなってきたのでVirtualBox上で開発したり、現在愛用のMac Book Airで開発したりするようになったわけです。
この時の負の遺産が、まさかこんなところで現れるとはねー。

つまりは
「開発環境はデプロイ先の環境と合わせろや、このボケがっ!!」
ってことですねー。
まー、基本ですよねー・・・。

スンマセンしたっ!!。

まとめ

というわけで、今回のバグについてまとめてみます。

まず、バグの真の原因は、次の通り。
・Gemfile.lockのPLATFORMセクションにWindows指定のエントリが記載されていたため、バージョン不整合を引き起こしていた。

対して、得た教訓は次の通り。
・開発環境はデプロイ環境と極力、合わせること。
 ※当たり前。本当は開発環境もLinuxにするべきかも知れないけど、Macも一応FreeBSD系ということで許容範囲かな、と思ってる。
  それくらいのさじ加減はあってもいい。

・Herokuのデプロイした時のログをちゃんと確認すること。
 ※といっても、いちいち目視確認なんかやってられないので、bundle installの時のログとGemfile.lockとの突き合わせ確認を自動化したいところ。

とまあ、サービス的にはあんまりヤバくないけど、解析したらばそれなりに奥深い、という技術者のブログにはお誂え向きのバグでしたねー。
もちろん本当にやばいバグだったら、こんなとこに書きませんけどねw

ココまで読んだ物好きなあなたも、きっと様々なバグと出会ってきたのでしょうw
何かしらご参考のなったとしたら、嬉しい限りです。

プログラムの数だけ、バグとの出会いがある。さて、次はどんな出会いが待っているのでしょう・・・

そんな出会い、全然うれしくないけどなっ!!

ド底辺エンジニアが今日を生き抜くための3つの作法

私もエンジニア、という職についてから今年で十年目になりました。
高校卒業後、二十代も半ば過ぎまでいろいろな職業を転々としていた身*1としては、よくまあ十年も続けることができたなー、と感慨もひとしお。
振り返ってみると、大卒でも専門卒でもない、技術が一流なわけでもない私がこの業界で生き延びるには、やっぱりそれなりに工夫というか、考え方というか、戦い方が必要だったなー、と思う訳で、そのあたりについて、ここらでまとめてみようかと思います。
記事の目的としては、これからIT業界で働こう、と思っている学生さんとかの参考になったらいいなー、というくらい。
でもま、これは私が自分の置かれた状況に合わせて決めた処方箋なので、他の人の役に立つかどうかは一切保証いたしませんがw

1.火中の栗を拾う

開発にはトラブルがつきもの。というか、バグのないプログラムが存在しないのと同様に、問題のないプロジェクトなんてこの世には存在しないでしょう。
でも自分の考えだとすでに顕在化している問題って、じつはあまり重要じゃないと思うんですよ。問題として認識できているのならば、それはただ対処すべきタスクにすぎないわけですから。
今まで関わったプロジェクトの経験で言うと、バグを含めて問題を次々に見つけて、早い段階で叩き潰していけてるなーという実感があるときは大抵上手くいっているとき。そういう場合は、発生しうる問題を先読みして、あらかじめ手を打っておくという余裕すら生まれるので、正のループが生じやすいんですよ。

逆に怖いのは、なんか「シーン・・・」とした雰囲気のあるプロジェクト。
まず末端まで落ちてくる情報が極端に少ない、さらには大抵はメンバー間のコミュニケーションも少ない、上からの指示とかに誰もダメ出ししない(できない)、それなのになぜか打ち合わせとかが無駄に長くなったりするw
よくわからないけど何か良くないことが起こり始めている、という感じ。そして、開発メンバーの一部は薄々それに気がつき始めているのだけど、誰も声を上げようとしない、という雰囲気。そんなとき、開発者の本能が声を限りに叫び始めるわけです。「ヤバい!これはヤバい!」ってww

それでも、この世にはスケジュールという物があるので、それとなく開発を進めていくことになるわけですが、当然ながらそのまま平穏無事に終わることはまずありません。大抵は開発も後半に差し掛かったころに、それまで何となくキナ臭いなー、と感じていたことが次々と顕在化して、一気に炎上。
開発者の体制とかリソースとかの許容量を超えるほどの仕事量となって、怒濤のごとくふりかかってくるわけです。はい、めでたくデスマーチ発生。

そんな不毛な状況で過重労働に耐え、うつになったり、病気になったりするなんて誰だってイヤですよね。
だからそうなる前に、たとえ一作業者の立場であったとしても「何かがおかしい」と感じたら、一度立ち止まってじっくり考えてみるべきです。今、自分のまわりで何が起こっているんだろう、何が問題になっているんだろう、と。
そして問題の原因がわかってきたら、周囲の雰囲気なんぞに飲まれたりせず、まずは自分自身がその問題に向かって行動を始めないといけないんですよ。
もちろん、それは自分の手に負えるような問題じゃないかもしれません。でも、何かできることがあるはずです。

何だっていいんです。
たとえばそれは、冗談を言って周囲の人を笑わせることもかも知れませんし、上司に嫌な顔をされても気にせず、直談判することかも知れません。あるいは勝手にパッチのプログラムを書いたりすることかも知れません。

自分から真っ先に行動すれば周囲の仲間も勇気づけられて行動し始めるでしょう。そうすればプロジェクトが少しずつ良い方向へと向かって行くはずです。
他人の指示ではなく、自分自身がプロジェクトを救うんです。強い心で火中の栗を拾いに行きましょう。

2.「知らない」「やったことがない」を恐れない

自分から問題にぶつかっていく覚悟ができたとしても、やっぱり自分にはできないこと、知らないことがこの世にはゴマンとあるわけです。
私なんてほぼ未経験でこの業界に入ってきたもんですから、それはもう、その手の壁なんて日常茶飯事ですよ。いやー、まいったまいったw
だから逆の発想をすることにしたんです。知らないこと、やったことがないことが目の前に立ちふさがった時は、それはちょうど今、学ぶべき機会がやってきたんだ、とね。

それこそ、はぐれメタルがあらわれた、って感じです。
逃がすものかよ、経験値。

すでに誰かが上手にやっていることを、初心者としてレベル1からやっていくというのは、いろいろと心理的な抵抗がありますよね。
恥ずかしかったり、失敗してかっこ悪い思いをしたり。
自分のように恥の多い人生を送ってきて、そういった感覚が他人様よりだいぶ麻痺しているような奴でも、たまに穴があったら入りたくなるわけですからね。わかります。

でも、別に何かの専門家になれとか、世界でトップクラスの人間になれってわけじゃないんですから。
ただ解決したい問題が目の前にあって、そのために不足している知識やら経験やらを埋めることができればいいってだけなので、もっと気楽に、かつドライに考えればいいんです。

それに新しいことを学ぶ、というのは本当に楽しい経験です。
新しく学んだことが、今まで自分がやってきたことや考えてきたことに、また違った「気づき」を与えてくれて、それが楽しいんです。
今までの視点で見えていた世界とは、まったく違う形で世界を見ることができた時の興奮って、経験がある人にならきっとわかってもらえるでしょう。

だから、私はこう言いたい。
まだ、知らないこと。まだ、やったことのないこと。
かかってきやがれ。

3.一歩、前に出る

日本人は長年の間、和を重んじてきたせいか、やっぱり大人しい人が多いな、とよく思います。日本人の礼儀正しさや奥ゆかしさ、そういった気質・美質はものすごく好きだし、自分も日本人の一人として誇りに思ってもいます。
でもIT業界に身を置くなら、いっそ野蛮人になったほうが仕事がしやすいのでは、と思えてくるんですよね、これがww

とくに私のようにキャリアとか技術力にこれといったアピールがない人間が一番やってはいけないこと、それは横並びの列に加わることです。
自分の力に自信がない人ほど本能的に集団の中に身を潜めて安全を図ろうとするわけですが、この戦略にはどうしようもない欠陥があります。
それは、ただでさえ少ないチャンスにますますありつけなくなることです。

仕事は、すでに実績のある人に優先的に回されるものです。その仕事をこなせば、それがまた実績となってその人の信用値が高まります。
その結果、その人にはどんどん重要な仕事が与えられて、その人自身も成長するし信用もますます高まるという正のループになるわけです。

では最初に実績のない奴はどうしたらいいんでしょう。集団の中で息を潜めて待っていればいいんですか? そのまま死ぬ気ですか。

答えはひとつだけ。集団を抜け出し、前に出ましょう。
「自分にならできる!」と強気に言いましょう。実績なんかなくたって。

最初はドブさらいのような仕事しかもらえないかも知れません。それでも文句を言わず、誠実にこなしましょう。
そして、その実績を武器に、また次の機会を狙っていくんです。もしも段々と重要な仕事がもらえるようになってきたら、もうこっちのもの。
その頃になると信用力とか、組織内の政治力みたいなものが徐々に身についてくると思うので、それらもすべて駆使してどんどん上を狙って行きましょう。
もともと武器はそう多くはないんです。使えるものはすべて使いましょう。

戦い方は人それぞれでいいんです。戦う、という決意さえあれば。
勇気を出して、前に向かいましょう。

最後に

日頃、仕事をしながら考えていることを文章にするだけ、と思っていたのに、いざ書いてみると思い入れが強くて、めちゃくちゃ時間がかかってしまいました。
しかも長いww

あえて技術的なスキルがどうこうという話は書きませんでしたが、最後にひとつだけ。
当然ですがエンジニアをやる以上、プログラミングスキルや技術に対する知識は必要です。それもけっこう高いレベルで。
したがって、そういったスキルがなくてもこうすれば食うには困りませんよ、という話じゃないのでそこだけはお間違えのないよう。
エンジニアに技術スキルがあるのは当たり前のことです。

でも技術だけで勝負するってのは、たとえばF1レーサーになるとか、プロボクサーで王者になるとか、そういったことと同じくらい厳しい道のりだと自分は感じているので、プラスαの領域で自分の伸びしろがあるなら、そこをどんどん開拓して勝負していこうというマインドに私はなりましたね。
自分よりも優秀な人々がひしめき合うこの世界で、自分の価値をどう作り出し、社会に届けていくのか。
そういったことを考えるのも、エンジニアの仕事じゃないだろうか・・・などと書いてきれいにまとめてみる。

It is not the strongest of the species that survives, nor the most intelligent that survives.
It is the one that is the most adaptable to change.
━━ Charles Darwin

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*1:私の経歴とか生い立ちとかについては、ちょっと黒歴史が多すぎてここにはイチイチ書き切れません。飲み会の席とかでよくネタにするので知っている人は知っているでしょうけどw