IDEA and Players

ベンチャー企業で働く変なエンジニアが勝手なことを書きまくるブログ

ド底辺エンジニアが今日を生き抜くための3つの作法

私もエンジニア、という職についてから今年で十年目になりました。
高校卒業後、二十代も半ば過ぎまでいろいろな職業を転々としていた身*1としては、よくまあ十年も続けることができたなー、と感慨もひとしお。
振り返ってみると、大卒でも専門卒でもない、技術が一流なわけでもない私がこの業界で生き延びるには、やっぱりそれなりに工夫というか、考え方というか、戦い方が必要だったなー、と思う訳で、そのあたりについて、ここらでまとめてみようかと思います。
記事の目的としては、これからIT業界で働こう、と思っている学生さんとかの参考になったらいいなー、というくらい。
でもま、これは私が自分の置かれた状況に合わせて決めた処方箋なので、他の人の役に立つかどうかは一切保証いたしませんがw

1.火中の栗を拾う

開発にはトラブルがつきもの。というか、バグのないプログラムが存在しないのと同様に、問題のないプロジェクトなんてこの世には存在しないでしょう。
でも自分の考えだとすでに顕在化している問題って、じつはあまり重要じゃないと思うんですよ。問題として認識できているのならば、それはただ対処すべきタスクにすぎないわけですから。
今まで関わったプロジェクトの経験で言うと、バグを含めて問題を次々に見つけて、早い段階で叩き潰していけてるなーという実感があるときは大抵上手くいっているとき。そういう場合は、発生しうる問題を先読みして、あらかじめ手を打っておくという余裕すら生まれるので、正のループが生じやすいんですよ。

逆に怖いのは、なんか「シーン・・・」とした雰囲気のあるプロジェクト。
まず末端まで落ちてくる情報が極端に少ない、さらには大抵はメンバー間のコミュニケーションも少ない、上からの指示とかに誰もダメ出ししない(できない)、それなのになぜか打ち合わせとかが無駄に長くなったりするw
よくわからないけど何か良くないことが起こり始めている、という感じ。そして、開発メンバーの一部は薄々それに気がつき始めているのだけど、誰も声を上げようとしない、という雰囲気。そんなとき、開発者の本能が声を限りに叫び始めるわけです。「ヤバい!これはヤバい!」ってww

それでも、この世にはスケジュールという物があるので、それとなく開発を進めていくことになるわけですが、当然ながらそのまま平穏無事に終わることはまずありません。大抵は開発も後半に差し掛かったころに、それまで何となくキナ臭いなー、と感じていたことが次々と顕在化して、一気に炎上。
開発者の体制とかリソースとかの許容量を超えるほどの仕事量となって、怒濤のごとくふりかかってくるわけです。はい、めでたくデスマーチ発生。

そんな不毛な状況で過重労働に耐え、うつになったり、病気になったりするなんて誰だってイヤですよね。
だからそうなる前に、たとえ一作業者の立場であったとしても「何かがおかしい」と感じたら、一度立ち止まってじっくり考えてみるべきです。今、自分のまわりで何が起こっているんだろう、何が問題になっているんだろう、と。
そして問題の原因がわかってきたら、周囲の雰囲気なんぞに飲まれたりせず、まずは自分自身がその問題に向かって行動を始めないといけないんですよ。
もちろん、それは自分の手に負えるような問題じゃないかもしれません。でも、何かできることがあるはずです。

何だっていいんです。
たとえばそれは、冗談を言って周囲の人を笑わせることもかも知れませんし、上司に嫌な顔をされても気にせず、直談判することかも知れません。あるいは勝手にパッチのプログラムを書いたりすることかも知れません。

自分から真っ先に行動すれば周囲の仲間も勇気づけられて行動し始めるでしょう。そうすればプロジェクトが少しずつ良い方向へと向かって行くはずです。
他人の指示ではなく、自分自身がプロジェクトを救うんです。強い心で火中の栗を拾いに行きましょう。

2.「知らない」「やったことがない」を恐れない

自分から問題にぶつかっていく覚悟ができたとしても、やっぱり自分にはできないこと、知らないことがこの世にはゴマンとあるわけです。
私なんてほぼ未経験でこの業界に入ってきたもんですから、それはもう、その手の壁なんて日常茶飯事ですよ。いやー、まいったまいったw
だから逆の発想をすることにしたんです。知らないこと、やったことがないことが目の前に立ちふさがった時は、それはちょうど今、学ぶべき機会がやってきたんだ、とね。

それこそ、はぐれメタルがあらわれた、って感じです。
逃がすものかよ、経験値。

すでに誰かが上手にやっていることを、初心者としてレベル1からやっていくというのは、いろいろと心理的な抵抗がありますよね。
恥ずかしかったり、失敗してかっこ悪い思いをしたり。
自分のように恥の多い人生を送ってきて、そういった感覚が他人様よりだいぶ麻痺しているような奴でも、たまに穴があったら入りたくなるわけですからね。わかります。

でも、別に何かの専門家になれとか、世界でトップクラスの人間になれってわけじゃないんですから。
ただ解決したい問題が目の前にあって、そのために不足している知識やら経験やらを埋めることができればいいってだけなので、もっと気楽に、かつドライに考えればいいんです。

それに新しいことを学ぶ、というのは本当に楽しい経験です。
新しく学んだことが、今まで自分がやってきたことや考えてきたことに、また違った「気づき」を与えてくれて、それが楽しいんです。
今までの視点で見えていた世界とは、まったく違う形で世界を見ることができた時の興奮って、経験がある人にならきっとわかってもらえるでしょう。

だから、私はこう言いたい。
まだ、知らないこと。まだ、やったことのないこと。
かかってきやがれ。

3.一歩、前に出る

日本人は長年の間、和を重んじてきたせいか、やっぱり大人しい人が多いな、とよく思います。日本人の礼儀正しさや奥ゆかしさ、そういった気質・美質はものすごく好きだし、自分も日本人の一人として誇りに思ってもいます。
でもIT業界に身を置くなら、いっそ野蛮人になったほうが仕事がしやすいのでは、と思えてくるんですよね、これがww

とくに私のようにキャリアとか技術力にこれといったアピールがない人間が一番やってはいけないこと、それは横並びの列に加わることです。
自分の力に自信がない人ほど本能的に集団の中に身を潜めて安全を図ろうとするわけですが、この戦略にはどうしようもない欠陥があります。
それは、ただでさえ少ないチャンスにますますありつけなくなることです。

仕事は、すでに実績のある人に優先的に回されるものです。その仕事をこなせば、それがまた実績となってその人の信用値が高まります。
その結果、その人にはどんどん重要な仕事が与えられて、その人自身も成長するし信用もますます高まるという正のループになるわけです。

では最初に実績のない奴はどうしたらいいんでしょう。集団の中で息を潜めて待っていればいいんですか? そのまま死ぬ気ですか。

答えはひとつだけ。集団を抜け出し、前に出ましょう。
「自分にならできる!」と強気に言いましょう。実績なんかなくたって。

最初はドブさらいのような仕事しかもらえないかも知れません。それでも文句を言わず、誠実にこなしましょう。
そして、その実績を武器に、また次の機会を狙っていくんです。もしも段々と重要な仕事がもらえるようになってきたら、もうこっちのもの。
その頃になると信用力とか、組織内の政治力みたいなものが徐々に身についてくると思うので、それらもすべて駆使してどんどん上を狙って行きましょう。
もともと武器はそう多くはないんです。使えるものはすべて使いましょう。

戦い方は人それぞれでいいんです。戦う、という決意さえあれば。
勇気を出して、前に向かいましょう。

最後に

日頃、仕事をしながら考えていることを文章にするだけ、と思っていたのに、いざ書いてみると思い入れが強くて、めちゃくちゃ時間がかかってしまいました。
しかも長いww

あえて技術的なスキルがどうこうという話は書きませんでしたが、最後にひとつだけ。
当然ですがエンジニアをやる以上、プログラミングスキルや技術に対する知識は必要です。それもけっこう高いレベルで。
したがって、そういったスキルがなくてもこうすれば食うには困りませんよ、という話じゃないのでそこだけはお間違えのないよう。
エンジニアに技術スキルがあるのは当たり前のことです。

でも技術だけで勝負するってのは、たとえばF1レーサーになるとか、プロボクサーで王者になるとか、そういったことと同じくらい厳しい道のりだと自分は感じているので、プラスαの領域で自分の伸びしろがあるなら、そこをどんどん開拓して勝負していこうというマインドに私はなりましたね。
自分よりも優秀な人々がひしめき合うこの世界で、自分の価値をどう作り出し、社会に届けていくのか。
そういったことを考えるのも、エンジニアの仕事じゃないだろうか・・・などと書いてきれいにまとめてみる。

It is not the strongest of the species that survives, nor the most intelligent that survives.
It is the one that is the most adaptable to change.
━━ Charles Darwin

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*1:私の経歴とか生い立ちとかについては、ちょっと黒歴史が多すぎてここにはイチイチ書き切れません。飲み会の席とかでよくネタにするので知っている人は知っているでしょうけどw