IDEA and Players

ベンチャー企業で働く変なエンジニアが勝手なことを書きまくるブログ

残念なベイジアンフィルタと感情モデルと"人間讃歌"の素晴らしさについて

失敗談というか、残念な話を世間から集めたいと思い、方法を模索していた今日この頃。

  1. 身の回りの人に聞いて回る。
  2. WishScopeなどの既存のサービスを活用して募集する。
  3. 絨毯爆撃的にテレアポして聞き回る。
  4. どっか別のサイトからパク借りてくる。

といくつか案を練ってみたのですが、1などは集められる数に限りがあるし、2もやってはみたものの、そして予想以上に収穫はあるものの、それでも絶対量が足りていないと感じている次第です。
3などは都内某区のハローページを入手したものの、何の脈絡もないのにテレアポしても成果が上がるとは思えません。そして、他人様に迷惑をかけることへの良心の呵責と浴びるであろう罵詈雑言による精神的ダメージへの不安のためボツ。

で、残る4についてです。
当初は、2ちゃんねるTwitterから良さげな投稿を持って来れないかなー、とも思ったわけですが、そもそもそれって著作権の侵害に当たるじゃない、とツッコミをいただき(いや、最初から気づけって話ですが)、ちょっとその辺りについて調べてみたのですよ。

これを見る限り、2ちゃんねるからの転載は完全にNGですよね。やっているところは多数あるようですが、まあ、まとめ系サイトをもう一個作るようなことをしても仕方がないし、それは本来の目的とも違うので除外。

Twitterの方はと言うと、こちらの記事によればツイートの投稿内容は本人に帰属するものの、「しかし、他ユーザーが、コピー、複製、処理、改変、修正、公表、送信することを無償で許可したものとします」とあるので、各ユーザさんに対し節度と誠実を心がければ、まあ大丈夫だろうと思ったわけですよ。

とりあえずは、専用のアカウントを用意して、残念話に類するツイートを日々Retweetして回るだけでもいいかなー、と考えたのですが、では大量のツイートの中からどうやって失敗談を見つけるか、と来ればそれはもうベイジアンフィルタだろう、と、まあプログラマという獣が世界の中心で叫んだのですよ。ベイジアンフィルタ、つまりスパムメールを振り分けるために使われるプログラムのことです。

かじった程度の知識しかないんですが、じつは前々から書いてみたかったのですよ。ベイジアンフィルタ
というわけで実際にやってみたのが下記。

  • Twitterから日本語のツイートだけを集めてきてDBに保存。

TwitterAPIを使えば楽々とできますね。 

  • ツイートを失敗談とそうでないものを振り分ける。

この振り分けたツイート群がそのまま学習データとなるので頑張り所。
ここは手作業だし、大量にこなす必要なのでけっこう大変。
なので、専用のWeb画面を作ってチャキチャキとこなしました。
※今思うとCIにしても良かったな・・・。

ちなみに今のところ、3000件以上は振り分けましたが、心が折れかけた・・・。

  • 振り分けたツイートを形態素解析して、単語ごとにどちらに振り分けられたかの回数を記録する。

形態素解析MeCabを使いました。いつもお世話になってます。

  • 学習データを元に、残りのツイートに対して失敗談である確率を計算してみる。

お手軽ナイーブベイズで。ナイーブベイズの実装についてはいくつも記事があるので、言及しません。
とりあえず、ゼロ頻度問題を回避するためのスムージングをどうするかがポイントかな、と。

一番手っ取り早いのが「加算法」ですが、精度が悪くなるし、この記事「単純グッド・チューリング推定法 (Simple Good-Turing Estimation) とは何ぞや?」を読んだら「単純グッド・チューリング推定法」を使ってみたくなったので、私はこちらで。
記事で説明されている数式は読んだけど、一部がよくわかっていない。数学、もっとやっときゃよかった・・・orz
ともあれ、上記の記事に掲載されているR言語Rubyに書き換えて使いました。一部、R言語っぽい処理をするためにStatSampleというGemを使ってます。

# encoding: utf-8
# See: http://d.hatena.ne.jp/Fivestar/20080702/1214965996
module Bayesian
  module Discounting 
    class Base
      attr_reader :r, :nr, :n
      
      def initialize(r, nr)
        @r  = as_float_scale(r)
        @nr = as_float_scale(nr)
        @n  = (@r * @nr).sum
      end
      
      def discount_frequency(numerator,denominator)
        [numerator.to_f,denominator.to_f]
      end
    
      private
      
      def as_float_scale(v)
        case v
        when Array, Statsample::Vector
          v.map{|v1| v1.to_f }.to_scale
        else
          raise
        end
      end
    end

    class SimpleTuring < Base
      
      def discount_frequency(numerator, denominator)
        [map_of_term_frequencies[numerator.to_f],denominator.to_f]
      end
      
      def term_frequencies
        @tf ||= begin
          dcr  = renormalized_discount_coefficients
          r * dcr
        end
      end
      alias :tf :term_frequencies
      
      protected
    
      def map_of_term_frequencies
        @map_of_term_frequencies ||= begin
          map = {}
          map[0.0] = nr[0] / n
          r.to_a.each_with_index do |r1,i|
            map[r1] = tf[i]
          end
          map
        end
      end
      
      def renormalized_discount_coefficients
        dc    = switched_turing_estimate
        nr0   = nr[0]
        
        # summation of probabilities
        sump  = (dc * r * nr).sum / n
        dc.map{|dc1|
          (1 - nr0 / n) * dc1 / sump
        }.to_scale
      end
      
      def switched_turing_estimate
        dct   = turing_estimate
        dc    = dct
        dclgt = liner_good_turing_estimate
        rsd   = standard_deviation_of_term_frequencies
        for i in (0..r.size-1)
          dct1    = dct[i]
          dclgt1  = dclgt[i]
          r1      = r[i]
          rsd1    = rsd[i]
          v       = ((dct1 - dclgt1).abs * r1 / rsd1)
          if v <= 1.65
            dc1 = dct.to_a.slice(0,i)
            dc2 = dclgt.to_a.slice(i..-1)
            dc = (dc1 + dc2).to_scale
            break
          end
        end
        dc
      end
      
      def standard_deviation_of_term_frequencies
        rsd = []
        seqs = (2..nr.size+1).to_a
        nr.each_with_index do |nr1,i|
          nr2 = nr[i+1]
          break unless nr2
          seq = seqs[i]
          rsd << seq / nr1 * Math::sqrt( nr2 * (1+nr2/nr1))
        end
        rsd << 1
        rsd
      end
      
      def liner_good_turing_estimate
        @liner_good_turing_estimator ||= begin
          rc  = corrected_term_frequency
          lgt = rc._vector_ari('/', r)
          lgt
        end
      end
    
      def turing_estimate
        @turing_estimator ||= begin
          nrb = [ nr.to_a[1..-1], 0 ].flatten.to_scale
          t1  = (r+1)._vector_ari('/', r)
          t2  = nrb._vector_ari('/', nr)
          ret = t1 * t2
          ret
        end
      end
      
      def diff_each_frequencies
        @diff_each_frequencies ||= begin
          d = []
          r.each_cons(2) do |v1,v2|
            d << v2 - v1
          end
          d
        end
      end
      
      def corrected_diff_of_frequencies
        d = diff_each_frequencies
        if d.size > 2
          t = d[1..-1]
          q = d[0..-2]
          da = [t,q].transpose.map do |ti,qi|
            (ti + qi) * 0.5
          end
          [1, da, d.last].flatten
        else
          [1, d].flatten
        end
      end
      
      def zipf_of_frequencies
        df = corrected_diff_of_frequencies
        ret = nr._vector_ari("/", df )
        ret
      end
      
      def regression_coefficient_of_frequency
        zr      = zipf_of_frequencies
        log_r   = r.map{|v| Math::log(v) }.to_scale
        log_zr  = zr.map{|v| Math::log(v) }.to_scale
     
        ds      = {'x'=>log_r, 'y'=>log_zr}.to_dataset
        mlr     = Statsample::Regression.multiple(ds,'y')
        ret     = mlr.coeffs['x']
        ret
      end
    
      def corrected_term_frequency
        coef_x = regression_coefficient_of_frequency
        ret = r.map{|v|
          v * ((1 + 1/v) ** (1 + coef_x))
        }.to_scale
        ret
      end
    end
  end
end

R言語、今回はじめて触ったんですが、さすが統計解析用らしく配列処理がクールですね。
Rubyだと、eachやらmapやらとループ処理が多くなりがち。

まあ、ともあれこのような手順を踏んでツイートを自動抽出してみようとしたんですが、どうもイマイチよくない。
なぜか?

  • 「吐きそうやし」とか「眠い・・・」とか端的なツイートが引っかかる。

短いツイートの方が必然的に分類しやすいので、こういったツイートが多くひっかかるんですよね。
あと単語の繰り返し系とかもそう。

まあ、これは単語とは別に語彙数のカウントを取っておいて、語彙数でも確率を計算する、ということで回避しました。

  • ネガティブなツイートが引っかかる。

あと、当然と言えば当然ですが、あまりにネガティブなツイートが引っかかってしまうんですよね。
・・・というか、Twitter、死にたいヤツが多すぎるだろ・・・!(笑)

誰かに養われながら少しずつ衰えて孤独死するなら、少しでもマシな状態で若くて、友達に悲しまれる間に死にたい。

とかね、あまりに後ろ向きなツイートを集めても、面白くも何ともないのですよ。
とは言え、同じ「死にたい」ネタでも中にはこんな秀逸なやつもあるのでなかなか侮れない・・・。

母親「すーぱーそに子の添い寝シーツが届いたよ。ダンボール開けたよ」
19歳男性「死にたい」

ちなみに理想とする残念ツイートは下記のようなヤツ。

旦那が橋で丸いきれいな石拾ってじっと見つめてた。
しばらくして携帯を出して時間確認すると携帯を川に投げ捨てて 石をポケットにしまった後に膝から崩れ落ちてて思わず笑った

今日日本橋行ってたまたまBLコーナーあったから友達に「ちょっと聖闘士星矢Ωあったら教えてね」って言ったら「こんなところに男と居ったら腐女子に妄想されそうで怖いからいやや」って言われたけどぶっちゃけ俺みたいなブサイクとお前みたいなフツメンで掛け算するぐらいなら床と天井でやるわと

舅さんが、引きこもり、と言う言葉をなかなか覚えられないらしく、メールの度に「また閉じこもりか?」とか「立てこもってないで〜」とか書いて来る。
色々勘違いしているようだが概ね正しいので放ってある。

あなたたちの命の輝きに、ぼくは思わず胸が熱くなりますよ。
いや、マジで。

さて、この問題はどうやって解決すべきかなー、アレコレ考えた挙げ句に思いついたのが感情モデルを導入することでした。
感情モデルとは、人間の感情をわかりやすく表現した体系のことで、心理学の用語。
自分が調べた感情モデルの中でも特に魅了されたのは、Plutchikの感情モデルでした。
これは感情=色と見立てた色相環のようなもので、その発想といい、図形といい、じつに美しい。

Plutchikの感情モデルでは、

[喜び(joy) - 悲しみ(sadness)]
[受容(trust) - 嫌悪(disgust)]
[恐れ(fear) - 怒り(anger)]
[驚き(surprise) - 期待(anticipation)]

という対となる感情の組み合わせと、それぞれの感情の強度で人間の心を理解しようとしています。
これをツイートの判定に適用できないか、と。

参考URL: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%84%9F%E6%83%85%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7

で、ぱっと思いつくやり方は次の通り。

・まず、サンプルのツイートを上記の感情軸それぞれに対してどちらに分類されるかを判定する。
 => これが感情モデルの学習データになる。例によって手作業。ぐったり。

・このツイートを形態素解析して、単語ごとに分類回数を計上すると、単語ごとに感情の重み付けができる。
 => 感情辞書の作成。

・感情辞書に従って残念ツイートの学習データの感情分布を計測する。

で、語彙数、単語の種類、感情の分布によってツイートの合否判定を行う、と。

でもまあ、この程度のことならすでにダレかが研究しているんじゃないかと思ったところ、やはりちょっと調べたらゴロゴロとそんな事例があるんですよ。
たとえばこちらのようにすでに感情辞書を作って公開している人もいたりするくらい。

プロの研究者が思いっきり専門的で高度なことをやっているのを見て、そんな領域まで足を突っ込むべきかと正直、二の足を踏みました。
つまり、この方向性で精度を出そうとすれば、かなり専門知識や時間のコストがかかりそうだ、という予感ですね。で、どうしようかなー、と。

あと、もうひとつ。
自分の中でもしっかりと定義が固まっていなかったんですが、自分が抽出したいツイートって、ネガティブだけどポジティブ、といった矛盾をはらんだものだと気がついたわけです。つまり、ある一つだけの感情に寄ってない。

今日の英語の勉強全くしてないんだよね(´・ω・`)
うちくらいだろうなぁ(´・ω・`)
まぁ、最初っから1番下って決まってるし、そこで頑張るのみ!!!!!(`_´)

上記のようなツイートってネガティブ=>ポジティブという心の動きがあって、だからこそ読む側からすると好感が持てるんだけど、こういったツイートを、単語の出現頻度ではもちろん、それが感情の出現頻度に置き換わったとしてもたぶん捉えきれないよね、と今更ながらに気がついたわけです。
人間ってそんなに単純じゃないよね、もっと複雑で、でもそれが自然なことなんだ、と。

ま、当たり前の話なんですが、プログラムに没頭しているとその作業が楽しくて、たまに忘れてしまうんですよね。世の中のごくフツーのことがプログラムでは一番むずかしい、という事実に。
投稿している人の年代も境遇も様々で、かつ「残念だけど面白い」といういかにも人間的なツイートを抽出っのはちょっと無理難題すぎた。反省。
ま、玉石混交でよければ、ざっくりとしたものは作れはしますけどね。

考えてみると、スパムメールとか

『ネットビジネス初心者が何をやるべきなのか!?』これを見れば初心者だって確実に稼げます!

とか

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というようなツイートを見ると、どこか昆虫的なんですよ。
定型的で、感情の動きが少ない。だからこそプログラムでわりと簡単に識別できるんですが、人間が感じる面白さっていうのは、そのパターンが崩れたときが現れるんですよね。

つまりは・・・

人間讃歌は「勇気」の讃歌ッ!!
人間のすばらしさは勇気のすばらしさ!!
いくら強くてもこいつらスパムは「勇気」を知らん!
ノミと同類よォーーーーーッ!!

──────────『ジョジョの奇妙な冒険』より

ってことですね。
ちょっと遠回りだったけども、そういう気づきが得られたことで良しとしますか。

リバース・ブランディングとUI/UXと伝書鳩とおじさんの話

どうも風邪をひいたらしく頭がぼーっとするわ、体の節々が痛むわ、という春の嵐的な季節感を体中で感じていた今日この頃。
仕方がないので、ヤンミ・ムンの「ビジネスで一番、大切なこと」を読みながらゴロゴロしていたら、IKEAの話が出てくるじゃありませんか。

IKEAと言えば、お客がバカでかい家具を自力で組み立てなければならない、というアレです。
我が家でも何度か家具を買いましたが、壁いっぱいの巨大な本棚を私一人で汗水垂らしながら組み立て、その夜、全身を襲った筋肉痛と言ったら何とも格別な味わいでございました。

さて、IKEAみたいな企業をリバース・ブランドと呼ぶそうですが、これをココ最近、チマタをにぎわすUXD(ユーザエクスペリエンス・デザイニング)と関連して考えるとなんとも面白い。何しろUXDの基本は「おもてなしの心」と言われているんですからね。おもてなし、という発想から言うと、お客に家具を組み立てさせて筋肉痛にさせるIKEAってどうなのよ、と直感的には思う訳ですが、でもIKEAを支持しているお客さんがゴマンといらっしゃる。

やはり一部には強烈な不満を覚える客もいるようですが、それでもIKEAには独自のブランド価値があり、かつ熱心な支持者を獲得することに成功しているのは間違いない訳で。

UI/UXと言うと、本当はいろいろなレイヤーを分けて議論しなければならないはずで、深いレイヤーでは「ユーザにどんなサービスイメージを伝えるのか」「どんな体験を提供するのか」みたいな割と本質的な問いになるので、ブランディングとかマーケティング抜きでは語れないところがあるわけですよ。
一方で、浅いレイヤーだと製品の「見映え」「使い勝手」という風に、デザインとかUI設計といった領域になり、どっちかというとUI/UXって言うと、ここら辺にフォーカスされがち。

でも、それだけだと表面的な付加価値でしかなくて、サービスの本質的な価値とはなりえないんですよね。
そりゃあ、もてなし上手の仲居さんさえいれば、旅館も料理も温泉もいらない、とはならんのですから。

サービスの本質的な価値できっちり競合との差別化ができていないと、ただUI/UXを頑張ります、と言っても仕方がないわけですよ。むしろ皆で頑張れば頑張るほど、業界全体が過剰適応して、結局はコモディティ化の泥沼に突っ込んでいくことになりかねない。

当ホテルのベッドはカールトンよりフカフカです。
いやいや、こちらはオーシャンビューが楽しめます。

コモディティ化の悲しいところは、企業側がどれだけ血のにじむような努力して、熾烈な競争を勝ち抜こうとしても、むしろ結果的には業界全体に対する顧客側の感動がどんどん薄まってしまう、という点に尽きると思うんですよね。そして顧客は、個々の企業とかサービスとかに注意を払わなくなり、サービスのカテゴリ全体に対して自分のポジションを決めてしまう。そうなると、サービスの作り手がどれだけ声高に自分たちの価値を主張しても、顧客は目もくれない。
アルプスの水に、六甲の水。天然水です、深海の水です、酸素入りです、ミネラルが多いです云々。

さて、ここまで考えて、自分の専門分野であるWebやアプリ領域を振り返ってみると、どうしても気づいてしまうことがあるんですな。
つまりは、当然ながら我々は自分たちのサービスの"形"として、Webアプリやらスマホアプリやらを考えるわけですが、その時点ですでにコモディティの沼に片足突っ込んでいるわけですよ。
もうね、この世にどれだけのWebサービス、あるいは、アプリがあるのか、と。
ぼくたちのアプリ、あっちのアプリより使い勝手がいいんです!ってのはもうその時点で勝負の仕方を間違えている気がしてなりません。

そこで、伝書鳩ですよ。
これから新しいサービスを発想する場合、まずサービスの形は伝書鳩にすると決めておくといいんじゃないかと。インターネット不要、電気代、および通信料不要。くるっくー。
たまーに鳩が道に迷ったり、豆を要求したりと、多少は不便な点もあるかもしれませんが、それでもユーザが使ってくれるほどのサービスをまずは考える。

もちろん伝書鳩ってのはモノのたとえ。
たとえば発想の仕方として、鳩の代わりにおじさんをユーザの元に派遣するという形でもいいのですよ。
そのおじさんがユーザの要求に応じて、調べ物をしたり、質問に答えてくれる、とかそんな感じ。まあ、たまーにおじさんが道に迷ったり、豆を要求したりと、多少は不便な点も(以下略)

そうやってサービスの価値を考えてから、その価値の伝送路を、Webアプリにするか、スマホアプリにするか、伝書鳩にするか、おじさんにするか、もう一度考え直すと。

スマホ、スマホと言われているけども、今そこらにあふれている製品の"形"から出発していたら、新しいモノなんて生まれませんよねー。
まずは自分の中で時計の針をいったん戻し、ほとんど何もないところから発想しなおすと、画期的なモノが生まれるんじゃなかろうか、とつらつら考えた春の夕べでありました。
どっとはらい

ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業

ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業

勝手ながらとあるベンチャー企業を退職しました

最近、個人的な心境の変化がありまして、とあるベンチャー企業(Collabo.co)の取締役を退任しました。

個人同士の活動としては丸二年、ベンチャー企業という形になって一年四ヶ月。
この期間の経験を経て、私の仕事観、および人生観がだいぶ変わりました。

より具体的に言うと、物事の変化とか、未来の不確実性とか、あるいは偶発的な出来事に対して、以前よりずっとポジティブに受け止められるようになりましたね。
まあ、よりいいかげんなヤツになった、と言い換えることもできますが・・・。

もともとは臆病な性分も相まって、リスクとか、不確実な未来とかを厭う傾向が強かったのですが、ここ最近は何かをやりたいと思い始めたら、心の中ではもうどうしても止まれない自分がいるんですよ。そして、ずっと耳元で叫び続けている。
「さあ、走り出せ! いま動かなけりゃ何もかも失うんだ!」ってね。

じつは私、十年に一回くらい、そんな風にちょっとヤバめの精神状態になることがあるんですよね。
ぶっちゃけると、遺伝的にも躁鬱病の気があるらしい。これは私が結婚するときに、母親が「じつはね・・・」と教えてくれたことでもあるんですが。

人生で一度目のときは「オレは大学になんぞいかない。職業を転々としながら小説家になる!」って言い出して家族や友人を困らせました。
当時通っていた高校はわりと進学校だったんですが、突如進学しない、と宣言した息子に両親は呆れ果ててましたっけね。
ウチの母親が「プータローの専門大学があればいいですねー」などと同級生の母親に皮肉を言われ、物陰で悔し涙を流した、って聞いた時は不肖の息子ながらさすがに胸が痛んだものでした。

二度目は嫁と結婚すると決めたとき。このときもさんざん大騒ぎして周囲に迷惑をかけました。市役所の前で二の足を踏み、「やばい、なんだか結婚するのが怖くなってきた。やめていい?・・・」などと抜かす嫁の手をムリヤリに引っ張って、婚姻届を出したのも今となって良い思い出。
人の目も気にせず、銀座のど真ん中で号泣し、その結果、全身の痙攣発作を引き起こして身動きが取れなくなったり・・・、どうもこう書くと、交感神経に何かしらの異常が疑われても仕方がないな、私。

で、今年です。

たしかに今年はなんかヤバかった。年明けの頃から心が、魂の何処かがずっとざわついておったのですよ。
何かを変えないといけない。まさに「ガンガン行こうぜ」状態ですよ。でも何を?

今年に入ってから今までやったことのないことに次々とチャレンジしていこうと決めたのも、多分その盛り上がりの一環だったんじゃないかしらん、と今更ながら納得気味。
前職では技術者としての役目を期待されていた訳ですが、プログラミングすることで解決できる問題って、まあ当然そのベンチャーが目指している領域にもよるんですが、特に今回のビジネス領域ではごくわずかじゃないか、と感じ始めていたことも要因のひとつでしょう。

ビジネスが提供するサービスは必ずしも製品そのものとイコールではないし、企画やらマーケティングやら営業やらその他諸々が機能して初めて、プログラミングの結果としての製品が意味をもってくるわけですよ、当然ながら。
プログラミング、というかIT技術がもたらす純粋な価値ってなんだろうと考えてみると、高速・大量・正確に尽きるんじゃないか、と。ゲームとか違うじゃんとか言われそうだけど、あれはユーザの「体験」を大量に生み出す仕組み、と考えるとそう間違いでもない。

ビジネスがもたらす何かしらの"価値"に正しく照準が合ってさえいれば、IT技術はそれにさらなるスケールメリットを与えることができる。
でも照準を合わせるべき価値を見つけ出すことは本当に難しいことだし、逆に見つけさえすれば後はただスケールすればいいって話でもある。
いや、そのスケールメリットを作り出す過程だって相当な苦労が必要なので、こういう言い方は乱暴すぎなんですけど。

ともあれ、コーディングをする以前にやらなけりゃならないことが現実世界にはゴマンとあるってことと、ベンチャーで働いていると、そのあたりにも自然と問題意識を持つようになるってことが言いたい訳ですよ。たとえ、プログラマーであってもね。

で、そういう意識を持っていればいろいろ考えるし、学びもする。そして、技術以外のこともやってみたくなる。というか否が応でも必要性に目覚める。
そんな風に自分の中の様々なウェイトが変わってきた結果、次に変えるべきは自分自身の行動や仕事の仕方であり、または自分の身の置き場所であろうと、そう結論づけた次第です。
とは言え、べつにプログラマーをやめるわけじゃないし、何がどう変わるのかって確たることは何も言えない有様ではあるんですが。

さて例にもれず、今回もまた多方面にご迷惑をかけることになりました。また、家族にも心配をかけました。
この場を借りて伏してお詫びするものです。

あと、次の就職先の心配をして下さった皆様、本当にありがとうございます。
折角ではありますが、いろいろ考えがあり、少なくとも一ヶ月は個人的な活動に費やすつもりです。
・・・嫁よ、許せ。

そんなわけで・・・

(嫁が)落ち込んだりもするけれど、私は元気です。

ビジネスコンテント・ジギョつく@福岡に応募する!「残念.me」敗戦記

思い立ったが吉日、とはよく言ったもので。
2013 Feb, Startup Weekend TokyoのFBグループ上で告知がされていた流れで、サイバーエージェント様主催のジギョツク@福岡に自分たちのビジネスアイデア「残念.me」を応募してみたのですよ。
いや、だってね、SWTの審査で最も笑いを取っていたアイデア、その名も"ウンコでつながるSNS「UNCONNECT」"も応募するって聞きまして。
「UNCONNECT」が応募するんなら、「残念.me」だって応募して悪いはずがない!と、対抗意識を妙に刺激されてしまったわけです。
この「UNCONNECT」について私、SWTの審査時にはびみょーに"笑い"で競り負けていたこと、根に持っていたりなんかして。

ところで「UNCONNECT応募!」の報が届いたのが、なんとその締め切りの前日のこと。
なにくそ遅れを取ってなるものか、と、慌ててエントリーシートを作成、なんとか応募に漕ぎ着けたまではよかったんですが、こともあろうに我らのエントリーのことが社内(つっても私を含め、三人しかいないんですが)に知れ渡るというアクシデントが発生。
つまりは、うちの社長と、デザイナーなんですが、この二人、なんとそれぞれ自分たちも応募する、と言い出しやがる。

おい、ちょっとまて、仕事はどうすんだ? 社長!
それに、デザイナーのO女史・・・貴様はSWTでオレと同じチームだったじゃねーか! ここはオレと一緒に「残念.me」を応援するのが筋じゃねーのかYO!
・・・などと言っても、この二人が素直に聞くはずもありません。

「いやー、今度こそは私のアイデアで勝ってみせますわー」と余裕のO女史。
「いやー、企画でぼくが負けるなんて絶対ありえんわー」と自信の社長。

そんな大阪弁二人組に、ぐぬぬ、となる自分。

なんなのだ、こいつらの厚かましさときたらっ・・・!!!
思わず、この二人の頭の中に「遠慮」とか「控えめ」といった美しい日本語を叩き込んでやりたい衝動に駆られましたが、ガチ標準語の心優しい私めにそのような蛮行、当然ながら及ぶべくもありません。

えーい、くそ、勝手にしやがれってんだ!!

第一次選考

そんなこんなでいちおー応募をしたものの、正直あまり期待はしていなかったんですよね。
だって、「残念.me」ですよ? あなた?
言うなれば、これは就活している学生がですね、会社の面接に↓な格好をして出向くようなものです。

まともなビジコンなら、こんなアイデア、真っ先に落としにかかるに決まってます! それが世間ってもんでしょーがっ!
そんなわけで、「もしかしたら今度、福岡に出張するかもしれんけどー、まあ、まず審査に通らないと思うけどねー」と嫁にも軽ーい感じで伝えておくにとどめ、特にスケジュールの調整もしていなかったわけであります。

と・こ・ろ・が

大変お世話になっております。
ジギョつく@福岡運営事務局の渡邊と申します。

運営事務局にて厳正な審査を行った結果、
一次審査を【通過】とさせて頂きましたので
ご連絡させて頂きます。

なんですと? 通過!?
おいおいおいおい! マジかよ!? 大丈夫なのか、サイバーエージェント!!(失礼なヤツ)

ともあれ想定外の事態に、思わず動揺、そして興奮する私たちチーム一同。
ふと見ると、一人で暗い顔をしているO女史の姿が。

「おかしい・・・私のアイデアが一次審査を通らないなんておかしい・・・きっと審査で握りつぶしておいて、サイバーエージェントでパクる気に違いない・・・そうにちがいない・・・」

あらまー、落ちていたんですかー。それはお気の毒でしたねー(棒読み)。
「私のアイデアが通らないのはどう考えてもお前らが悪い」状態のO女史の一方で、うちの社長はどうなったのかというと・・・

通りやがった。あっさりと。
マジか、こいつ!?

というわけで、三人しかいない我が社において、二人の案が一次審査を突破するという異例の事態が発生。
さらに言えば、残りの一人は、私のチームの一員でもある訳で・・・いわば全員が当事者という有様。
こんなぼくらで本当にいいんですか、サイバーさん! こんなぼくらを呼び寄せて、大丈夫なのか、福岡!?

あ、ちなみに、「UNCONNECT」は落ちました。
その結果に、サイバーエージェントの良心を見たの私だけではないはず。ぬははははは。

出発準備

そんなわけで、ビジコン開催当日の3/15(金)は、我が社の休業が決定した次第であります。・・・いや、違った。これも我々の重要な仕事なんです。我が社の存在を日本中に知らしめる、その重要な一歩を福岡に刻むのです。
そう、これが仕事でなくて何でありましょうか!・・・べ、別に福岡のもつ鍋が食べたいわけじゃないんだからね!

さて私、本当はその翌日3/16(土)は楽しみにしていた大江戸Ruby会議に参加する予定だったんですが、断腸の思いでキャンセル申請。
そしてSWTで行動を共にした仲間たち、チーム「Shippai on the go」の面々と共に、プレゼンの準備に取りかかったのでした。

さらには福岡へ向かうための航空チケットの確保。
と、ここで飛行機のチケット代と、福岡に飛来したPM2.5のニュースによって、福岡行きを断念したのがO女史。

「優勝賞金が50万円で、たとえ優勝しても5人チームなら一人当たり10万円。あかん、交通費を取り戻すには期待値が低すぎるわー」
・・・なんという現実的、かつ冷徹なそろばん勘定。君の体には、ロマンという血は流れていないのか!?

そして、もう一人、なぜか東京にやってきて、ちゃっかり我が社の事務所で寝泊まりしている大阪出身の大学生、ジュンさんもまた脱落。
理由は、すでに内定している会社の講座があったのを忘れていた、とのこと。しかも飛行機チケットを買った後に気がついたらしい。そして、LCCなので払い戻しもできず・・・。
なんという見事な失敗! 君こそ我が「残念.me」チームのホープだ!!w

というわけで結局、福岡入りするのは、私、ヒロさん、ユーヘーさんの3人に。

一方、うちの社長は特にプレゼンの準備をするわけでもなく、徒に日々を過ごすばかり。
挙げ句には「いやー、いかん、応募したアイデアでは勝てん気がしてきた・・・」などと弱気なことを言う始末。
ふっふっふ、この勝負、もはや戦わずして勝ったも同然。待ってろ、オレたちの50万!

そして、とうとう当日に。
朝の福岡空港に降り立った我々を出迎えたのは、東京よりもだいぶ春めいた風景、そして吹きすさぶスギ花粉とPM2.5。
はーっくしょい。

戦いの火ぶた!

というわけで、いよいよビジネスコンテスト、ジギョつく@福岡の決戦の火ぶたが切られたのでした。
最終選考に残ったのは、全部で6チーム。さてさて、栄光の賞金50万円は一体、誰の手に!?


※イベントについて説明するサイバーエージェントの渡邊さん


※6チームの発表内容とその順番。4番目の「ボーケンたん」がうちの社長のアイデア。5番目が我らの「残念.me」という順番。

さて、トントン拍子に各チームの発表が終わり、やがてウチの社長の出番となりました。
どうやらこの男、元々応募した自分のアイデアに見切りをつけたらしく、自社で開発中のサービス「ボーケンたん」についてプレゼンすることに決めた模様。まあ、社長としてはむしろ当然と言える決断ですが、え、でも、ちょっと待てよ。ねえ社長、そのアイデア、我が社の秘蔵っ子じゃありませんかっ!!!
「ボーケンたん」ってサービス名の案だって、もともと私が出したんですよ! ねえ、ちょっと!


※自社で開発中のサービス「ボーケンたん」についてプレゼンするうちの社長

社長の手慣れたプレゼンもあって、審査員からの反応は上々の様子。
そりゃ、この一年ほどの間、我が社で念入りに練ったアイデアだけあって、ビジョン、実現性、収益性の絵がしっかりと描けているわけですよ。まさにビジネスコンテントにお誂え向きのプレゼン内容。

ヤバい、こいつはヤバい。
以前ブログにも書きましたが、ぶっちゃけ「残念.me」には、これは、と言えるような収益モデルは確立できていないんです。その点、ビジネスコンテストでは致命的に不利といえるでしょう。

しかし、戦いとは、すなわち最後まであきらめないこと。
それこそ「残念.me」のモットーですから。


※残念.meについてプレゼンするヒロさんとユーヘーさん

飛行機の中も、会場に着くまでも、ずっとずーっとプレゼンの練習をしていたヒロさん。そしてユーヘーさんを舞台に送り出し、私は写真撮影係へ。
なんで、お前がプレゼンしないのかって? そりゃあ、私よりずっと上手にできる人がいるからです、当然!

狙い通りに笑いを取りながらも、つつがなくプレゼンは終了。やったぜ、ヒロさん!
そして、次に審査員からの質疑応答の段となりました。
まず最初に、九州大学の五十嵐さんから一言。

「うーん、このサービス、あってもいいけど別になくてもいいよね」

あー、またか。この言葉。SWTでも言われたなー。

そりゃ、「残念.me」がなくても生きていけます。ぶっちゃけ、誰も困りはしません。

でも、今の現代社会って、見渡せばそんなものばかりじゃないですか?
そのブランド品、必要ですか? 笑いって必要ですか? 音楽はどうですか?

でも文化って、もともとそういうムダなものから始まると思うんですよね。
音楽も、マンガも、映画も、小説も、Webも、ゲームも。
生存に必要な条件が労せずして満たされる現代社会じゃ、そういったムダがないと人間は生きていけないと思うんです。
私たちが作り出そうとしているのは、そういった文化のひとつ、人々を幸せにできればいい、と願って作るムダなんですよ。

・・・とまあ、同じ質問に出会うたびに頭の中ではいつも同じことを考えるんですよね。
でもなかなか、その場でスパっと答えられないのが問題ですな、自分。

そして、次に株式会社サイバーエージェントベンチャーズ代表取締役の田島さんから次のような質問が。

「普通の人は、SNSでわざわざ自分のネガティブなことを出したくないんじゃないか。少なくとも自分はセーブしてしまう」
一様にうなずく審査員一同。

私の考えでは、たとえばFacebookTwitterのような代表的なSNSはいわば街中の大通りのようなものなんですよ。
そこをパジャマで闊歩するような人は皆無とは言いませんが、まあ稀でしょう。つまり、ユーザは多かれ少なかれ、各SNSの中で設計され、醸成された雰囲気、その文脈(コンテキスト)に合わせて行動するはずなんです。
つまり、SNS上でネガティブな自分をさらしたくない、というのはこの原則によって知らず知らず自分の行動を束縛していることの現れだと思う訳です。

私たちがこれから作り出すべきサービスは、そういった大通りにとってかわるものではなく、その大通りから伸びる枝道、裏通りとなるはずです。そして、その枝道の中にそれぞれの文脈を与えてやれば、ユーザはまた違った行動をするはず、というのが「残念.me」の根本にある仮説です。

つまり、FacebookTwitterではやらないことも「残念.me」の中ならユーザはやってくれるはずなんですよ。サービスをそういう風に設計しさえすれば。

そして何より、功なり名を遂げた大人たちが積極的に自分たちの失敗をさらすことが、若い人たちに勇気を与え、行動を引き起こすはずだ、という価値。
堂々と自分の失敗について語ることができるのは、ちんけなプライドではない、本当の自信を持った人間だけだという証明。
そういった積極的な行動文化を生み出すことが「残念.me」の究極的な目標なんですよ、皆さん!
だから、ネガティブなんて言ってないで、ぱーっと自分の失敗、さらけ出しちゃってくださいよ!

「『残念』というキーワードを武器に、世界をめった斬りにしてやりたいんです!
 『カワイイ』、『ヘンタイ』の次に、国際社会で認知される日本文化は『ザンネン』ですよ!
 『残念.me』の次は『残念.jp』を作って、残念な日本について世界中に向けて勝手に発信してやります。そうして、日本が中途半端に引きずっている成功体験を片っ端からぶっ壊してやりたいんです!」

・・・などと鼻息荒く説明したら、皆様、笑っておりました。いや、ぼくはマジだったんですけどね。

そういった力説の甲斐もあってかどうかは分かりませんが、田島さんからは「メディアとしては面白い。十分にバズる可能性がある!」とのお言葉が。
うおお、うれしいぜっ!!

まあ、そんなこんなで私たちのプレゼンタイムも無事(?)終了したのでありました。

審査発表!

すべてのチームのプレゼンが終了して、いよいよ審査発表となりました。


※いよいよ審査発表!

優勝したアイデア、それはやはり「ボーケンたん」でした。
あー、やっぱりねー。悔しいやら、嬉しいやら、なんだか複雑な気分・・・。

「彼女と福岡に遊びに来たついでにコンテストに出たので、まさか優勝できるとは思っていませんでした(てへぺろ)」
とは、うちの社長の言。

このとき、私を含め、他の出場者全員が心の中で、ぐぬぬ、となったのは間違いないでしょう。
まったく、こんなことなら福岡に来れないよう、社長を東京の事務所に縛り付けておくべきだった、と悔やんでも後の祭り。

まあ、最終的にうちの会社が勝ったわけだから別にいいんですけどね・・・。

戦いの後

今回、優勝以外の賞はないんですが、私たち「残念.me」は自分たちで勝手に第二位だと決め込みましたよ。
・・・というか、もしも残念賞があれば絶対、それウチらのだし!(断言)

ともあれ熱き戦いの後、ぼくらのチームは夜の街に繰り出し、残念会を開いたのは言うまでもありません。
名高い歓楽街の中州をほっつき歩き、怪しいお兄ちゃんたちに声をかけられ、怪しいお店の看板に後ろ髪引かれながらも、優勝賞金を逃したぼくたちにできるのはせいぜい屋台のラーメンをすすることくらい。
いや、ちゃんと名物のもつ鍋も食べましたけどもね。

福岡のまだ肌寒い夜空の下、しかしぼくらの心は折れるどころか、むしろ未来への確かな手応えを感じておったのです。
自分たちの熱量の高まり、がむしゃらに走り出してやりたいという衝動を。

なにしろ、我らの「残念.me」。
たとえ負けたとしても、その時点でネタ的にはすでに勝っているという、黒魔術的なアイデア。
誰も我々を打ち負かすことなどできはしないのです。少なくとも、自分たちがあきらめてしまう以外には。

何度でも失敗し、何度でも立ち上がり、そうしてまた明日に向かって歩き始める。
また、もう一度、それをやるだけのことですから。

今回のジギョつく@福岡、そういった自分たちの気持ちを確かめる、良い機会になったと言えるでしょう。
関係者の皆様にあらためてお礼を申し上げます。

そして、最後にこれだけは言っておきたい。

チキショーーーーーーーッ!!!(心の叫び)

英語ができないエンジニア、人生初のエレベータ・ピッチ in English! そして、英語学習に関するアレやコレ

私、GTIC(Global Techno Innovation Cafe)というイベントで、やっちまいましたよ。
前回のブログでも書いた失敗共有サービス"残念.me"についての、エレベータ・ピッチ。しかも英語で。

GTIC主宰の秋山 智紀さんとMy Eyes Tokyoの徳橋 功さんが、英語でエレベータ・ピッチをしてみよう!という素敵な企画を立ち上げられたものですから、英語力が貧困なくせに、なんか気の迷いで手を挙げちゃいましたよ。
まあ、今年は今までやったことがないことをどんどんやってやろう、と決めているので、完全にノリだけで決めちまったんですな、これが。

自慢じゃありませんが、私、英語が苦手なんですよねー。中学の時も国語・数学・英語の主要三教科のうち、英語だけが苦手だったし。
じつは私、これでも一応は帰国子女なんでござーますのよ。そんなわけで、私どもの両親は二人とも英語ペラペラ。なのに、不肖の息子たちときたらゲームに表示される英文くらいにしか興味を引かれませんでしたの。HP、MP、YOU WIN、CONTINUE、GAME OVER。大変ですわ、お母様。

しかしまー、あれですな。"帰国子女"って響きはどうも、日本人的イメージでは極端に欧米に偏っている印象が否めません。つまりは、アメリカ、イギリス、おフランス。
ところが、これが例えばパプアニューギニア帰り、となった日には"帰国子女"というより一気に"異邦人(Stranger)"、つまりは、どこか珍しいところからやってきた、一風変わったヤツ扱いになるわけですよ、なぜか。
そんなわけで、小学生当時ナイジェリア帰りだった私も、いわゆる"帰国子女"としてカテゴライズされにくい気がするんですよねー。大体、アフリカから帰ってきたってだけで「どうして腰ミノつけてないの?」とか「どうして鼻の下に骨を刺してないの?」みたいな質問を平気でしてくる日本人のガキどもは何なの・・・。おかしいよ、日本人!

話が少しそれましたが、そんなわけで私が英語を話せないとしてもある意味当然。これは仕方がないことなのであります(力説)。
あーでも、私、英語はダメですがヨルバ語でなら「大きな古時計」が歌えるという妙な特技があります。だからどーした、と言われると返す言葉もないですが。

まあ、それはともかく。

そんな私が、オール英語でエレベータ・ピッチなんかできるんだろうか。
苦手な英語を、すべて口頭で、という条件はいくらなんでもハードル高すぎ!と多少怖じ気づいたものですから、「あのー、スライドとか用意したらダメでしょうか?」とかるーく打診してみたのですよ。
すると、すぐに主宰の秋山さんから「エレベータの中にスライドを持ち込むヤツはいないよねー。それってエレベータ・ピッチじゃないよねー」という、じつにもっともなご指摘が。
ですよねー。

原稿作り

そんなこんなで、とにかくもうやるしかない!と覚悟を決めた私でした。
さて、じつは私、以前スピーチの学校に通っていた時期がありまして、その関係でコンクールにも出たことがあるので、人前で話すことには特に抵抗はありません。スピーチのノウハウは英語でも日本語でも大して変わらんだろうと思うので、後は英語さえなんとかすればいいわけです。

で、まずは原稿を作成。辞書を引いたり、ググってみたりしながら、拙い英語で文章を組み立てるわけです。
幸い、翻訳で稼いでいるフリーランサーな嫁さんがいろいろと指導をしてくれるので、ブレーンには困りません。「こういった表現、ネイティブの人は使わないねー。むしろ、こういう言い回しのほうが自然だと思うー」と、私の原稿をこと細かく添削してくれるので大助かり。そして、ますます嫁に頭が上がらなくなる、という罠。
それにしても、英語偏差値がやたら高い人々に囲まれているくせに、この私の英語力の乏しさと言ったら・・・あれ、おかしいな、涙で前がよく見えないや。

英語についてのあれこれ

嫁さんが英語について話してくれたトピックで、個人的に面白いと思ったことをいくつか。

日本人が書く英文は直訳単語が多くなりがち

たとえば「匿名で」という表現をしようとした場合、日本人は辞書で調べて「anoniumusly」という直訳的な単語を使おうとする傾向がある。
でも、ネイティブは何かしらのイディオムを使ったり、単に「without giving your name」と平素な言葉を組み合わせるのが一般的。

日本人は「There are 〜」が苦手

日本人はとにかく「There are 〜」で始まる英文が書けない。というか、日本語の文法から遠いので、そういった英文を発想しにくい。
「人がたくさんいます」という文章、日本人なら「Many people are 〜」と思わず訳したくなるところ。
※もちろん正しくは「There are many people」。

そして、ネイティブは「There are 〜」が大好き。ゼアラ、ゼアラとしょっちゅう言うらしい。まあ、個人差もあるのでしょうが。

発音(pronunciation)より強勢(accent)

発音は大して重要じゃない。
もちろん、ネイティブのような発音でしゃべれたほうが良いに決まっているけど、非ネイティブが重視すべきはむしろアクセントだとか。
とくに日本人の英語は一本調子になりやすいので、タテノリ感覚(笑)でリズムをつけながらしゃべるとよい。
正しいところにアクセントが置かれていれば、発音が多少アレでも十分、相手に通じる。

よく日本人は"L"と"R"の発音を区別できない、と言われているけど、そんなの気にする必要はない。
たとえば、「米(=rice)」と言いたいところを、「複数のシラミ(=lice)」と間違って発音してしまったとして、それをネイティブが笑ったとしたら自信をもってこう言い返せばいい。

 Actually, I'm not a native speaker.
 I don't think my pronunciation is perfect, but so what?
 Are you an idiot?
 No Japanese eats lice for breakfast and it's common sense, right?
 If you really think I eat lice, you don't have any understanding.
 You must use your head, OK?

「たしかに私はネイティブじゃないから発音は良くない。
 でも、常識で考えて、シラミを食べるわけないじゃない?
 それくらいのことがわからないなら、あなたの頭に問題があるのよ!
 わかった!?」

この点に関しては「英語に限らず、外国語の勉強にはそれくらいのふてぶてしさが必要! 日本人の謙虚さは、むしろ勉強の邪魔になる!」と断言する嫁であります。とあるド田舎の農家で生まれ育った嫁は、上京してから英語の勉強をはじめ、コツコツと努力を積み重ねた結果、プロの翻訳家となった経歴の持ち主。
その言葉には並々ならぬ説得力があります。・・・おーこわ。

ひたすら練習

まあ、そういった指導を受けながらもようやく原稿の第一稿が完成。
後は練習あるのみです。

学校に通って教わったスピーチのコツは、とにかく練習すること。3分のスピーチであれば、最低でも30回、できれば100回は練習しろ、と言われてました。
3分のスピーチを30回練習すれば、大体1時間半で終了。100回でも、5時間。1日1時間ずつの練習を、5日間やればいいだけです。

スピーチで重要なのは、文章を一字一句、間違えずに読み上げることではないんですよね、当然ながら。
何度も練習するのは、本番のときに緊張して頭が真っ白になっても、自然と口から言葉が出てくる状態を作り上げるため。

まず頭に文章を叩き込み、ストップウォッチで時間を計りながら、実際に話してみる。
予定時間の3分を過ぎたり、短すぎたりしたら原稿を調整。そして、また練習。
文章が頭に十分に入ったら、次は言葉の合間に時間を取ってみたり、言葉に強弱をつけたりする練習。
そうすると、また時間がずれてくるから原稿を再度修正して、ちょうどいい長さに持ってくる。

最終的な原稿が固まったら、あとはひたすら、とちったりしなくなるまで練習。
とまあ、そういったことを100回はやりました。正確な回数は覚えていないので、多分ですけど。

それにしても英語でのスピーチを練習していると、アゴの周りの筋肉がやたらと痛くなる。
たぶん日本語を話すだけでは絶対に使わないような筋肉を動かしている結果なのでしょう。どうして欧米人の顔立ちがああも立体的なのか、わかるというものです。

そうして作り上げた私のピッチ内容は、下記の通り。
簡単な内容なのでわざわざ訳文を載せたりしませんが、なんとなーく私がしたかったピッチが伝われば嬉しいです。

Hi, My name is Takuya.
Today, I'd like to explain about my funny idea.

At first, I think Facebook is great service. As you know, many people post to Facebook about their daily lives everyday.
There are full of wonderful stories! You know, having nice meal, having a party, dating with girlfriend or something like that.
It's very nice, I know. but ... to be honest, sometimes it make me tired!
You too, right?

Why nobody post an idiot sroty, like "Oops, I drank too much last night, ... and I wetted my pants"?
... Don't get me wrong, it's NOT my story. I have not wetted my pants
... at least since I was 20.

My idea solves this problem. My service is called "残念(Zan-nen).me". "残念" means unfortunate or disappointed in Japanese.
If you make a mistake, of cause you don't want post it to Facebook. ... especially if you have friended your BOSS!
At that time, you can post to "残念.me" about your mistake or accident without giving your name.
And any other users will probably cheer you up by commenting, ... or clicking "Oops!" button.

I think most japanese people are afraid of making mistake and feeling embarrassed too much.
So "残念.me" will change the mind of such people, and their worries turn into fun with laughing.
Then it should help them to stand against to the future without being afraid of failure.
That is what I aim to.

Finally, please let me know, if you think my elevator pitch is failure.
... I will post it to "残念.me"!

Thank you!

本番

そんなわけで当日、エレベータ・ピッチをやってきたわけであります。
ちょっと緊張してしまって、練習の時ほど上手くやれませんでしたが、まあ、スピーチなんて大体そんなものかな、と。

それより、笑ってもらおう、と狙っていたところで、誰も笑い声が上げなかったときの気分と言ったら・・・思わずウヒャーって叫び出したくなりましたね。いやー、もう逃げ出そうかな、と。
でもまあ、何食わぬ顔でスピーチを進めるうちに、少しずつくすくす笑いが聞こえてきたので、安心したわけですけども。

あと、持ち時間の3分間のうち15秒くらい余してしまったので、もう少し間を長くすれば良かったなー、と反省。
緊張すると、どうしても少し早口になってしまうんですよね。
そして当然ですが、話し言葉では"間"がめちゃくちゃ大事です。"間"をどう使うかで話の印象がガラリと変わりますからね。
そのためにはとにかく場数を踏んで、慣れることが大切かなー、と思いました。
これは今後の課題ですね。

残念ながら優勝はできなかったんですけども、皆から「面白い!」って言ってもらえたので、私としては大満足です!
そんなわけで、"残念.me"に投稿せず、自分のブログに書いたわけでした。

最後に

というわけで、人生初となる貴重な経験を提供して下さった秋山さん、徳橋さん、GTICの皆様、そして、私の拙いスピーチにつきあって下さった皆様に感謝を申し上げます。ありがとうございました!
めちゃくちゃ楽しかったです! うひゃあ、またやりてー!!

変なエンジニア、2013 Feb, Startup Weekend Tokyoに参加する! 最終日の巻

Startup Weekend Tokyo体験記、今回でいよいよ最後となりました。
最終日、それは各チームの成果が問われる審判の日。
苦しみながらも、ついには失敗共有サービス「残念.me」を生み出すことになった我らのチーム「Shippai on the go」。
あまりにも残念なサービスと、そこに関わった残念な男女たちが描く感動のフィナーレw

というわけで、SWTokyo最終日の模様を、最後まで元気よくお届けして参ります!

涙のカスタマー・バリデーション!(青春編)

さて、世の大人たちからエッチな失敗談を集めて、それらの購読には課金するという我々の禁断のアイデア。
しかしながら、本当にこんなものを月額100円払って欲しいと思うような人々がいるのでしょうか? 私たちはそれを証明しなければなりません。

この難題を買って出てくれたのは、HastlerのJunさん。なんと、友達や後輩などに片っ端から電話して、とてつもなくハードなインタビュー調査をしてくれたのでありました。

「なあ、お前、童貞やん。もし初めてする機会が訪れたとしたら怖いやろ? ・・・いや、男はみんな怖いはずなんやって! それでな、もし大人たちのそういう失敗談を月額100円で聞けたとしたら、欲しいと思う?」

ってなインタビューを次から次へと電話ごしに仕掛けるJunさん。"童貞"という言葉が聞こえてくる度に、肩を震わせながら笑いをこらえるチームメンバーたち。
まったく、なんという過酷な試練でしょう!

しかし、その努力の甲斐あって、約3割近い学生さんが毎月100円課金してもよい、という調査結果が! なかには、1000円払ってもいい、という声まで!

この、若者たちの、狂おしいまでの声! 魂の叫び!
そのすべて、きっちり私たちのサービスで受け止めさせていただきます!

戦闘準備

Junさんが最後のカスタマー・バリデーションに死力を尽くす中、他のメンバーも最後の努力を重ねていました。
HastlerのHiroさんとHackerのYuheiさんらは着々とプレゼン資料の作成。
本来なら、私がプレゼンすべきなのかもしれませんが、昨晩の徹夜がたたってすでにフラフラ。さらには、MVPのブラッシュアップ作業が若干残っていたため、Hiroさん/Yuheiさんの二人組にお願いしたのでした。しゃべりならまかせておけ、という風のHiroさん。じつに頼もしい!
そしてWebのデザインに妥協を許さないO女史が次々と指示する修正に、ヒーコラ言いながら手を動かし続ける私。

まあ、そんな感じでタイムアップまでの残り少ない時間、チーム5人が一丸となりながら、しかも終止笑いを絶やすことなく作業を続けたのでありました。

・・・まったく、おまえら最高だぜ!!


※最後の作業にいそしむチームの仲間たち。みんな若干疲れているものの、ずっと和気あいあいとしてました、ホント。

決戦のとき!

そして、とうとう最終プレゼンの時間になりました!
ルールはきわめて単純。5分のプレゼン、審査員による5分の質疑応答。
そして、最後に審査員による投票によって優勝チームが決まる、というわけです。
まあ、このとき熱い戦いの模様は、こちらのまとめを参照していただくとして・・・

じつは私、このプレゼンのずっと前から、自分でたった一人、密かに考え続けてきたことがありました。

なぜ我々は、自分たちのサービスにおいて、"学び"ではなく"共感"、しかも"笑い"を中心に据えたのか?

これは自分たちがもっとも悩んだ問題であり、そして、必ずこの点を審査員に突っ込まれるだろう、と踏んだのでした。
当然でしょう。この競争の激しい現代社会においては、ごく一般的には"学び"は"笑い"よりも崇高で、価値の高いものとされているのですから。
しかし、私たちが選んだのは別の答えでした。それはなぜか?

三日間の間、さんざん考え続けた末に、私が導きだした結論はこうです。

たとえ、私がSteve Jobsの失敗を学んだとして、
孫正義の失敗を学んだとして、
あるいはその他のあらゆる先駆者、偉人たちの失敗を学んだとしても、
だれも私の代わりには失敗をしてくれない。

この一点こそが、私たちのサービスの根拠でした。

もしも未来において必ず成功できるとわかっているのなら、誰にとっても決断し、行動することはたやすいでしょう。
でも、残念ながら世界は不確実で、未来はつねに予測不可能なものですよね? どんなに学んだところで、それは変わらないはずです。
だからこそ本当に尊ぶべきは、成功か失敗か定かならぬ未来に立ち向かう私たち個人の勇気ではないでしょうか?

勇気を作り上げるものは何か?
それは、たとえ失敗しようとも、それを受け入れ、笑い飛ばす、という心構え。
これが私がたどり着いた答えでした。

・・・ふっふっふっ、完璧ですね。どんな審査員もこの答えを聞いたら、ぐうの音も出ないでしょう。
私が心の中でひそかに勝利に酔いしれたとしても、無理からぬというもの。

そうこうするうちに、とうとう私たちのプレゼンの順番が回ってきました。

そして、このとき使用したYuheiさん作「残念.me」渾身のデモ・ムービーがこちら!!
その1 その2

Hiroさんのユーモア、というか自虐ネタ(笑)あふれる力の入った5分間のプレゼンが終わったところで、いよいよ審査員の方々から質問が浴びせられる段となりました。


※最終プレゼンを終え、審査員との質疑に応じるチーム「Shippai on the go」の面々。

なお審査員の錚々たる顔ぶれについては、こちら

早速、審査員の伊藤 健吾さんからは次のような鋭い質問が飛びました。

伊藤さん「失敗を共有するためサービスを、あらためてSNSとして作る必要性があるのか? それは2ちゃんねるNAVERまとめでも出来ることではないのか?」
思わず、Hiroさんの手からマイクを奪い取って言い返す私。
藤井「必要性はあります。ぼくたちが作り出したいのは共感の場であり、失敗を通じて自己承認が行える文化を作り出したいんです」
伊藤さん「2ちゃんねるNAVERまとめでも、読んだ人からレスポンスがもらえるし共感を示してもらえる。その結果として、投稿者の承認欲求が満たされているのは変わらないのでは? SNSにする理由にはならない」

・・・ぐぬぬ、手強い。
たしかにそこまで突っ込んだカスタマー・バリデーションは行っていませんでした。
もともと私は実名制の失敗共有サイトが作りたいと思っていたんですよね。自分の失敗を積極的にオープンにしていくことで、結果としてそれがセルフ・ブランディングにつながっていく、そんな価値が提供できれば、と考えていたわけです。

しかしながら、アンケート調査ではやはり匿名の要望が強かったので、実名制を全面に押し出す勇気がなかったのです。そして匿名であるならば、SNSよりも2ちゃんねるのようなサービスのほうがよっぽど親和性があるでしょう。
SNSである必要性があるのか? その点は検証できていない、と私は認めざるをえませんでした。

そして、次の審査員・Gengo CEOのロバートさんには第一声、こう言われました。
「Are you serious!?(君、マジなの?)」

この質問に思わず私もニヤリ。
そういう反応こそ、私が期待したものだったからです。

「Of course! I'm very serious!!」

そう言い返したらロバートさん、「O.K.」とだけ言ってマイクを置いちゃいましたよ。
なんという肩すかし。なんなの、この人のお茶目っぷりはw

次にスローガン代表取締役の伊藤 豊さんからの質問。

「失敗というと、ユーザがそこから何かを学んで成長していくサービス、という方向性もあると思うんですけど、どうしてそちらには行かなかったのでしょう?」

来た!
ついに来ました! とうとうこの質問がっ!!
自然とマイクを握る私の手に力が入ります。

「・・・その点は、まさに私たちがもっとも悩んだところでした。ですが、この三日間でぼくが出した結論はこうです・・・たとえ人がどれだけ学んだとしても・・・っ!!!
と、私が声を張り上げようとしたまさにそのとき。

「はい、5分終了〜〜〜〜〜〜」と、進行役の李さんの声。

NOOOOOOOOOOOOO!!!! なんという残念ミー!!!

・・・こうして私たちの戦いは終わりを迎えたのでありました。

戦いの後

というわけで私たちの「残念.me」、サービスの名前通り残念な結果となってしまいました。
審査の後でこっそり審査員の伊藤 健吾さんに「ぶっちゃけ、ぼくたちのサービスの反応ってどんな感じでした?」と聞いたところ、「正直、話にも上らなかったよ」と即答されました。がびーーーーんw


最後に皆で乾杯

それはさておき、優勝したチーム「COOK MATCH」の皆様、おめでとうございます!

「COOK MATCH」のメンバーからお話を聞いたところ、リーダーであり、エンジニアでもあるTaoさんのアイデア、およびビジョンからは一度もぶれる事なく、メンバーそれぞれがひたすら自分たちの作業に集中することができた、とのこと。元々のアイデアの完成度もさることながら、チームの結束力、まったく見事なものです。
おくればせながら心から祝福を申し上げます。

そして、私たちのチーム「Shippai on the go」の面々。
優勝できなくて残念だったかって? そりゃあもう。
でも、チームの仲間たちは晴れやかに笑っていました。それもそのはずです。
だって、私たちはこの三日間、ずっと笑い続け、そして楽しみまくっていたんですからね。

この程度の失敗、"残念.me"に投稿して笑い飛ばし、そしてまた次へと向かっていくだけのこと。
そういった心構えこそ、私たちの"残念.me"で作り上げたかった価値であり、私たちがStartup Weekendで学んだスピリットでした。

最後に

というわけで、たった54時間の、目が眩むほど忙しい、しかし夢のような時間が終わりました。
いや、正確には終わっていませんね。Startup Weekendで過ごした時間は、参加者が起業家になるための最初の数日間でしかないのですから。
ともあれ、ものすごく充実した時間に一区切りがついたのです。

ブログ上から恐縮ですが、この素晴らしい体験を提供してくれた関係者の皆様、つまり、オーガナイザー、メンター、審査員、それにイベントの参加者の皆様に心から感謝を捧げます。本当にありがとうございました。

そして、もちろん三日間、一緒に戦ってくれたチームの仲間たち。Hiroさん、Yuheiさん、Junさん、O女史。
世にもふざけたアイデアにも真剣に挑戦してくれる、そんな素晴らしいチームに出会えたことを私は誇りに思います。
ありがとよ、てめーら!!

さて、この体験記の最後は、その日の夜、私たちが交わした合図で締めくくることにしましょうか。
その夜、有志によって開かれた打ち上げ会で、私たちはこんな素敵な言葉で乾杯したんですよ。

HAPPY LOSER!!
ってね!

変なエンジニア、2013 Feb, Startup Weekend Tokyoに参加する! 二日目の巻(後編)

前編からの続き。
「失敗共有サービス」という未踏の地を目指しながらも、マネタイズに苦しむチーム「Shippai on the go」の仲間たち。
そして、禁断のビジネスモデル・「めぐみ」の隠された秘密とは!?
彼らの魂は希望への光を見出すことが出来るのか!? はたまたマネタイズの暗い誘惑に囚われ、暗黒面へと落ちてしまうのか!?


※チーム「Shippai on the go」たちの心の葛藤。(イメージ画像)

・・・とまあ、てきとーに盛り上がってきたところで、Startup Weekend Tokyo体験記、引き続き二日目の後編をお届けします。

恐怖のカスタマー・バリデーション!

「失敗共有サービス」の軸を、"学び"ではなく"共感"に大きく舵を切った私の決断に、チームの皆はわりとすんなり納得してくれました。
まあ、「『そんなビジネスモデルは人として間違ってる!』って最初に言ってたのだれ!?」みたいな声は少し上がりましたけどもw
しかし、進むべき道が定まったとすれば、次にやるべきことは自ずと明らかになっていくものです。

スケジュールのほぼ半分を使い切った今、いつまでも議論ばかりしていられません。そろそろ行動に移るべき時です。
すなわち顧客検証、カスタマー・バリデーションの時間です。

その前に、ここまでの状況をおさらいしましょう。

私たちのチームが見込んだ収益の柱は二つありました。

収益源1:書籍化ビジネス
収益源2:失敗に対する見舞金からの手数料徴収

このために検証すべき仮説は、大体、下記のようになるでしょう。

仮説1:ユーザは他人の共感を求めて、自分の失敗をインターネット上に公開してくれる。
仮説2:ユーザは他人の失敗に対して小額の寄付をしてくれる。
仮説3:ユーザから集めた失敗談を、出版社に持ち込めば本にできる。

これらを現実世界にぶち当たりながら、ひとつひとつ検証していかなければならないわけですが・・・さてさて、どんな答えが出ることやら。

仮説1・仮説2についてはインターネット上でのアンケート、および、通行人へのインタビューが有効でしょう。
通行人へのインタビューという、そこそこハートの強度を要求される役目は、ガチ関西人のHastler二人組、Hiroさん(40才独身)、Junさん(23才リア充)が買って出てくれました。なんという頼もしい男たちでしょう!
そんな勇敢な二人の背中を、私が最敬礼で街へと送り出したのは言うまでもありません。


※インタビューのため、街中へと突撃するHiroさん、Junさんの二人。(イメージ画像)

さらにインターネット上でのアンケート活動については、HackerらしくYuuheiさん(沖縄出身)が担当。そして私は仮説3の検証について手立てを尽くす、と決めました。
が、残るO女史がここでまさかの一時離脱。じつはイベント全体でDesignerの数が圧倒的に足りなかったため、他のチームのお手伝いを引き受けたO女史なのでした。
おおっ! マネタイズ、マネタイズと口うるさい割には、意外に情に厚いじゃないか! 心の中でひそかに守銭奴呼ばわりしてすまんかった!

VOWの編集者に突撃

Startup Weekend Tokyo開催時、世間一般は連休のど真ん中でありました。そのため、出版社に問い合わせようと思っても大抵の会社はお休みです。
事実、VOW出版元の宝島社に電話をかけても、自動録音のアナウンスが流れるばかり。
そこでWikipediaVOWの項を調べ、関係者について確認。その中に編集者の方のお名前があったので、それをググって、まずはブログを発見。さらにTwitter上でその方のアカウントを見つけることに成功しました。
うーん、こうやって書くと、明らかにストーカーですね。相手が年配の男性でなかったら誤解を受けてしまいそうです・・・。

そんなわけで、早速Twitter上でインタビューの申し込みを敢行!

待つこと数時間・・・、なんとTwitter上で返信が!

ごもっともです・・・。
すいませんでしたっ!!
 

街中インタービュー、その後

そうこうするうちに、インタビューに向かった二人が無事、生還しました。しかし、その表情はどこか暗い。
二人がしてくれたインタビュー結果についてまとめると、大体、こんな感じ。

・サラリーマン風のお兄さんに突撃!
 なんか二十代くらいの男性。明らかに迷惑そうな感じ。
 「SNS、使ってますか〜?」って聞いたら「使ってない」と言う。マジか!?
 「自分の失敗を他人に話したいと思いますか〜?」「思わない」
 「最近、友達とかから失敗談を聞いたことありますか〜?」「別に」
 「他人の失敗にお金を払ってあげてもいいと思いますか〜?」「思わない」
 ありがとうございました。

・女性二人組に突撃!
 なんだかお互いの関係がよく読めない感じの、女性の二人組。
 話しかけようとすると、「今、忙しいから!」と断られた。
 ありがとうございました。
 
・人当たりの良さそうなおばさんに突撃!
 北海道から娘さんのところに遊びにきたらしい。
 自分の失敗について他人に話してもいいと思いますか?と聞いたら、相手によるけど身近な人にならかまわない、とのこと。
 また、このおばさん、実際に最近あった自分の失敗談について話してくれました。なんという、いい人でしょう!
 「なんのために自分の失敗を人に話すんですか?」という質問には、「なんとなく共感とか、同情してもらえれば嬉しい程度」という返答。
 そして最後、「他人の失敗に対する同情の気持ちとして、お金を払ってもいいと思いますか?」という質問に対しては、こんな意見が。
 
「なんでもお金で解決しようとしてはいけない。人として、それは間違っている」

 真剣に叱られてしまいましたw でも、じつに真っ当なご意見ですね!
 ありがとうございました。

・中学生の女の子に突撃!
 なんか人待ち風中学生の女の子。
 ・・・というか、このご時世、この年頃の女の子に話しかけるなんて・・・。Hiroさん、Junさん、あんたら勇者だよ!
 「Facebookとかやっている〜?」という質問には、「やってます」との答え。中学生でも、Facebook!?
 さらに質問しようとしたところで、どこからともなく現れた、お出迎え用の黒塗りBMWが女の子の前に停止。 ・・・怖っ!!!
 Hiroさん、Junさんの二人は撤退を余儀なくされました。
 ありがとうございました。

アンケート調査結果

さらにインターネット上で募集したアンケート調査の結果がこの頃になると段々明らかに。
大体、調査結果をまとめると以下のような感じになりました。

・自分の失敗を公開しても良いか?
 半数以上の人が別にかまわない、と思っていました。まあ、内容によると思いますが。

・失敗を話すとき、相手にどういう反応を期待しているのか?
 共感してもらえれば嬉しい、という意見が多かった。一部、相手の学びになればいい、という意見も。
 
・他人の失敗にお金を払ってもいいと思うか?
 ほぼ全員が「思わない」。

調査結果を踏まえると、禁断の黒魔術「めぐみ」モデルはこれっぽちも機能しそうにありません。
うーむ、日本人の心は美しいなー(遠い目)

メンタリング

さて、Startup Weekendの二日目には、メンターの方々と面談する機会が各チームごとに与えられます。つまり、ビジネスアイデアについて直接、いろいろと意見がもらえるわけですね。
このメンターの方々がじつに錚々たる顔ぶれで、「失敗を共有して笑い飛ばす」というふざけたアイデアにどんな反応が返ってくるのか、いささか不安になりました。
これまでのカスタマー・バリデーションの結果を考えると、なおさら憂鬱な気分に。


※メンタリングを受けるチーム「Shippai on the go」の面々

ともあれ、自分たちのアイデアをメンターの皆様に説明してみましたよ。
すると・・・。

「そんなもの、FacebookTwitterでやればいい」
「そういうサービスは別にあってもいいけど、無くても困らない」
「学びのための失敗共有ならまだわかるけど、共感と言うとただ、おたがいの傷をなめ合っている感じしかしない」
「失敗に対する寄付というのは、日本の文化にそぐわない。いっそイスラム圏の20億をターゲットにするくらいじゃないと」

見事なまでにフルボッコw
メンターの皆様、貴重なご意見、本当にありがとうございました。

迷い、そしてピボットの誘惑

メンターとの面談、および、カスタマー・バリデーションの結果を受けてしょんぼりとするチーム一同。
だめだ、やはり「めぐみ」モデルは無理だったんです。となると、また一からビジネスモデルを考えなおさなくてはいけません。さようなら、「めぐみ」・・・。

「やっぱり"共感"の軸だとマネタイズは無理なんじゃ・・・」チームの中の誰かが、ぽつりと言いました。
すっかり弱気になっていた私も、その言葉に力なくうなずくしかありません。

「そうだな・・・。やっぱり、無理だ・・・」と、私。「ごめん、オレが悪かった・・・。すまないけど、もう一度最初から考え直してみよう。"学び"の軸でどんなビジネスが作れるのか、みんなで考えてみよう」

と、またまた方向転換を決める私。まったく無責任なヤツです。

「やっぱりターゲット層はしぼったほうがいい。就学生は必死だから情報を求めているはず」
「OBから就職活動の失敗談を聞けるならニーズが高いのでは?」
「面接時に、お互いに気をつけるべき情報を交換し合ったらどうだろう?」

その頃には再度、チームに再合流したO女史を含めて、みんなから次々と意見が出されました。そして、30分もしないうちに「就職活動している学生向けの情報交換サービス」というビジネスの青写真が完成。
じつに"ワークしそう"なビジネスモデル。さっきまで散々悩んでいた事がまるで嘘のように、あまりにもさくっと出来上がったので、チーム一同、呆気にとられたようにホワイトボードを見つめました。

「これ、上手くいきそうじゃない?」「うん、何の問題も感じられないな」などと、口々に言います。その点について、私も同意せざるをえませんでした。

私はチームのみんなの顔を見回すと、「じゃあ、みんな、このビジネスに賛成だな? だれも反対しないんだな!?」と聞きました。仲間たち全員が一様にうなずきます。
「よし、わかった、じゃあ、これで・・・いや、やっぱりダメだ」と、私。
その言葉に、は?という表情を浮かべる仲間たち。
私は思わずホワイトボードを殴りつけながら、言い放ちました。「このアイデアはクソだっ!!」
私にはどうしても受け入れられませんでした。さながら、テスト用紙に書き込まれたような模範解答のような、そのアイデアが。
誰も反対しようのないほど理路整然として、クレイジーさのかけらもないアイデア。

間違いなくこれだけはハッキリ言えます。
そんなもの、クソに決まってます。

覚悟、そして奥の手

そろそろ日が暮れ始め、あと数時間もすればSWTokyo二日目が終わります。そんな中、私たちのチームで決まっている物と言えば「残念.me」というサービス名だけ。
残り時間を考えると、もう後戻りは許されません。さんざんブレまくった私ですが、もう「共感」から照準を外す気はありませんでした。
マネタイズをどうすべきかはさておき、「共感」を軸とした場合のサービスがどのような形になるのか、おおよそイメージすることはできます。そこで見切り発車的に、MVP(Minimum Viable Product)の作成に着手することに。

ここでO女史がDesingerの本領を発揮。すさまじい早さでWebのデザインを組み始めます。
私とYuuheiさん、Hacker組はコーディング作業。
それらの作業と平行して、Hastlerのお二人、Hiroさん、Junさんには、とにかく共感ベースで収益を上げるアイデアがないか、ブレストして考え出す、という難題が与えられました。


※ブレスト中のHiroさん、Junさん

禁断のビジネスモデル(またか!?)

どんどん時間が過ぎ去って行く中、私たちの焦りが募っていきます。
しかしそんなときにこそ、道は開かれるというもの。やがて、Hastler二人によってひとつの画期的なアイデアが出されました。
それは人類が太古より恐れ、かつ求めてやまなかったもの。すなわち、18禁です。

要は、ちょっとエッチな体験談も集めて、それらは有料コンテンツにするというアイデアです。
しかもお値段は一ヶ月、たった100円ぽっきり。おこづかい制のお父さんにも朗報です!

これだ、間違いない!
世のチェリーボーイが、先人たちの失敗を聞きたくないはずがない!
「大丈夫、オレだってこんな失敗をしてきたんだぜ・・・」みたいな話が聞けるとしたら、どれほどの若者たちの心を救えるでしょうか?
ちなみに、私も26才まで童貞だったクチですが、その当時にこんなサービスがあれば絶対に課金していましたよ!(断言)
そして、昨今の日本の少子化問題、さらには、年々、男性の童貞人口が増加している社会情勢を鑑みれば、これほど成長が見込めるビジネスはちょっとないんじゃないか!
参考資料:未婚者、童貞36.2% 処女38.7%

しかし、当然ながら反対意見も出されました。「そんなサービス、恥ずかしいよ!」とね。
沖縄出身のYuuheiさんなんかは、前回参加したStartup Weekend Okinawaの結果に満足していなかったらしく、今度こそはという思いで今回参加されていたわけですが、そこで発表するのが「童貞のための失敗共有サービス(あはーん)」とあってはさすがに名折れと言うもの。いや、気持ちはわかります。

私はそんなチームの仲間を奮い立たせるために吼えました。
「てめーら、空を飛びたくねーのかよっ!! 一緒に飛ぼうっ!! このStartup Weekend Tokyoでっ!!!」

結論が出ました。
私たちの「残念.me」、その誕生の瞬間です。

「・・・いやあ、この結論にたどり着いちゃうこのチーム、すごくないですか?」
その日の夜、別れ際に残したJunさんの言葉が今でも忘れられません。

徹夜作業

アイデアは固まったものの、MVPであるWebサービスを明日のプレゼンまでに完成させなければなりません。
幸い、O女史がWebデザインをあらかた完成させてくれていました。他のチームのデザイン作業も手伝っているというのに、この仕事の速さ。さすが、マネタイズ女王!
あとはアプリケーションを実装するだけ。ここはHackerの腕の見せ所というものです。

「藤井さーん、後はよろしく頼んますねー。徹夜でやって下さいねー。私は、きっちり眠るんで!」と、O女史。
そして、HackerであるYuuheiさんも含め、他の仲間たちもあっさり帰宅することを決定。ちょっと待て、オレ一人で全部やれってか!?

でも、いいんです。自分で言い出したアイデア、最後は自分でケツを持つ。これこそケジメ、というものです。
エンジニアとして、まさに本望と言えるでしょう。
夜が更けていく中、愛用のMacbook Airと向かい合いながら、何度も自分にそう言い聞かせる私でありました。


※徹夜でコーディングする私の姿。(もちろんイメージ画像)

(最終日に続く)