IDEA and Players

ベンチャー企業で働く変なエンジニアが勝手なことを書きまくるブログ

Startup Weekendは起業家の夢を見るか? 第一日目

さてやさて。
性懲りもなく、またもや参加して参りましたよ。Startup Weekend Tokyo, May 2013 in 渋谷!

前回二月に初めて参加した時は右も左もわからない私でございましたが、二回目ともなるとアレ、多少は経験者の余裕が身に付くと思いきや、むしろ前より訳のわからない方向に走り出してしまった次第。
しかしまあ、そのあたりの経緯については後述するとして。

じつは、SWT開催当日を迎えるまでの間、DoorKeeperでずっと以前から予約を入れていたものの、精神的にブルーになっておったのですよ。仕事は山積みだわ、アイデアは浮かばねーわ、嫁が不機嫌だわ、足が水虫だわ、とまあ不安要素がいくつもあった上に、なにしろこのStartup Weekendという"祭り"、体力・精神力の消耗がハンパでないことは分かっていた訳ですからね。
当日直前まで、いっそキャンセルしちゃおうかしら、と本気で考えたくらい。

それでもなんとか気力勇気を奮い起こし、会場に向かった私でした。
そして、その場所に一歩、足を踏み入れた途端。会場の空気に全身が包まれた途端に、よみがえってきたエナジィイイイイ!!!

体の奥底から湧き出てきた熱量で、ブルーな気分なんてあっという間に吹っ飛んでしまいました。
いやー、知らぬ間に体は覚えていたんですね、そこがどういう場所なのか。
そして、これからの三日間、どれだけ興奮に満ちた体験が待っているのかということを。

というわけで、今回も思いのまま心のままに、SWT体験記をつづってしまいます。

秘密結社というアイデア

今回はですねー、ほんとーに直前まで何も考えていなかったのですよ。

前回は優勝こそはできなかったものの、決勝プレゼンまで持ち込むことができたので、今回はピッチしなくてもいいかなー、とも考えておりました。なんというか、どこかのチームの1メンバーになって、何かの役割をコツコツと真面目にこなす、まあ、そういう体験もありなんじゃないかと思っておったのですよねー。
光栄なことに何人かの方に、一緒にチームやらないか、と声をかけてもらったりして、それでもいっかなー、と。

とは言え、せっかく参加するSWT、花のピッチに参加しないというのも野暮ですわいな。
そこで日頃からシコシコと書き溜めているEvernoteのアイデア帳を開き、何か良さげなモノはないかと探したところ、目に留まったのは「自分の周囲から情報を消す」というアイデア。

今の社会、効率よく情報を集めるとか、簡単に情報にアクセスできる、というのはもはや大した価値ではないと思うのですよね。
むしろ情報があふれかえっているから、「Gunosy」とか「Naverまとめ」みたいに情報を"ふるい"にかけようとするサービスが出現しているわけです。
じゃあ、その一歩先を行くサービスと言えば、むしろ情報を人間に"届けない"サービスなんじゃないかと。

・たとえば、 ブラウザを開いても、自分に必要な情報以外はすべて透明度10%くらいで表示させるとか。
・メールはかわりに受け取ってくれて、一週間ごとの要約だけ伝えてくれるとか。
・各種SNSも周回してくれて、要約を作成してくれると共に、「現在、藤井はアンプラグド中です。週末になったら確認しますので、それまでいいね!やコメントはお待ちください」と告知してくれるとか。

まー、そんなふうにですね、人々を世の中の騒々しい情報から切り離し、情報疲れを癒し、真に人間らしい生活を取り戻させる、そんなサービスなら新しいんじゃないか、と考えたんでございます。

ところが、ピッチに参加する人数を聞いた途端に、すぐに考えを変えましたよ。
なんとその数、67人!!

そして私がピッチする順番は36番目。一人あたりのピッチの持ち時間はたったの一分。

おうふ・・・。
「情報を消す」というアイデア。
これはこれで悪くないと思うんですが、一分間でその魅力とか価値とか説明しきれるかというと、ちょっとインパクトが弱い気がしたのですよね。
67人分のピッチをただ延々と聞かされ続ける会場の皆さんの、その心の中に最後まで残ることができるのかどうか。
ぶっちゃけ、ピッチは相手に興味をもってもらえるか、それがすべてです。そこで、急きょ作戦を変更。
ピッチ開始10分前に決めたアイデア、それは「秘密結社」でした。

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※これが後に世を騒がせた「Wifi仮面」、その誕生の瞬間である(嘘)。

このアイデア、というより、ほぼコンセプトしかない状態でピッチに挑む私もどうかしていますが、話の中身はともかく言葉のインパクトだけならば全ピッチの中でダントツ!!(のはず)
それもそのはず、もしもアナタが血の通った人間であるならば、「秘密結社」と言う言葉に興味がそそられないはずはないでしょう!

フリーメーソン、黒手組、薔薇十字団、鷹の爪・・・。

激動の歴史の影には、つねに彼らの姿がありました。電信柱の向こう側から、教室の扉の影から、じっとこちらを見つめる内気なあの子のように、彼らの存在は我々人類の脳裏にそれは深ーく刻まれておるのです。
そう、すなわち、秘密結社は人類にとって永遠のキラーコンテンツと言っても過言ではないのですよ!!

FacebookTwitterといったSNSの台頭で私たちはお互いに簡単につながることが出来るようになりました。
 しかし、そのぶんだけ人間関係が希薄になったんじゃないでしょうか?
 Facebookで友達になった人のために死ねますか?
 私たちにはもっと濃密な人間関係やコミュニケーションが必要のはずです。

 PathみたいなクローズドSNSなどまだ生温い!!
 ぼくが提案するのは、もっとディープでシークレットなSNS、すなわち秘密結社です!

 秘密結社ですから、ごくありきたりなWebサービスみたいなやつはやりません。
 秘密のカードを相手に手渡したらようやく友達申請ができるような、やたらとメンドクサクて意味ありげでなくちゃダメです。
 ・・・が、ほとんど何も考えていないので、一緒にこのアイデアを磨いてくれる仲間を募集します!!」

大体、このようなことを言いましたが、つかみは十分という感じ。秘密結社、という単語を聞いて皆様、笑っておりましたからね。
そして投票の結果、見事ピッチに勝ち残ることに成功!!

くっくっく・・・、我が策にぬかりはないわっ!!
ちなみに獲得した八票のうち三票は自分で入れた分だってこと。もちろん良い子のみんなにはナイショさ。

チーム作り

さて、ピッチで勝ったからには、この三日間をともに戦い抜く同志を集めなくてはなりません。
そう、今回も楽しい楽しいチーム・ビルディングの時間がやって参りました!

たとえアイデアが良かったとしてもチームが成立しなければ、このStartup Weekend、何も始まらないのですよ。まあ、このあたりは本物のスタートアップとまるで同じですね。というわけで、仲間募集のかけ声にも自然と気合いが入るというもの。

「えー、ひみつけっしゃー、ひみつけっしゃー。秘密結社はいらんかねー。
 あ、そこのデザイナーのお嬢さん! ぼくと一緒にこのチームをやらないかい? いい秘密結社があるよー!」

うーむ。秘密結社なのに、我ながら、なんてオープンな勧誘なんだ(笑)

しかし仲間を集める時は、とにかくこちらから積極的に働きかけ、情熱をアピールすることが何よりも重要です。とにかく情熱、情熱、情熱。えーい、暑苦しい。

ともかくですね、本当にチームを作りたければ、誰かがちょっとでも興味を持って自分の前に立ち止まってくれた時点で、即座にその腕をつかみ、二度と離さないくらいがちょうどいいんですよ。

「おおっ! アナタは秘密結社向きの顔をしてます! ぜったいウチのチームに入るべきですよ!」
「いや、ちょっとぼくは他のチームも見てから・・・」
「いーからいーから。さあ、秘密結社で行こう!」

と、相手の迷惑そうな顔もなんのその。

そういえば、嫁と結婚した時もまったく同じ手を使って、無理やり市役所に引っぱりこんだのだっけ・・・。
いやー、情熱ってホントにいいものですねっ!!

そんなこんなで、秘密結社という永遠のテーマ、そのサービス開発のために集結したチームメンバーの顔ぶれは、やはり目的も相まって危険な香りに包まれましたよ!

ユーヤさん

真っ先にチームへの参加を表明してくれた19歳の大学生。
というか、いいのか? 最初のキャリア形成が秘密結社で!?
柔和なマスクからは想像できませんが、彼の心の中では、きっと現代社会に対する言いようのない怒り、憎しみ、言いがかりが渦巻いているのでしょう! わかります、わかりますよ! だって私も昔はそうでしたもん!

それにしても、これほど有望な学生を秘密結社に駆り立てるなんて・・・
大丈夫なのか、日本!?

ナオさん

浜松からの刺客。
その昔、訪れたマチュピチュで偶然にも暗黒の力を身につけ、世界中の秘密機関に命を狙われることになった男。
修羅場を知っているだけに、チームが危機に瀕した際でも、その落ち着きっぷりは並ではない。
世を忍ぶ現在の仮の姿は、営業も企画もそつなくこなすナイスガイである。

特技は、他人のMacBookを自分の物とすり替えること。

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※ユーヤさん(左)、ナオさん(右)のツーショット。二人ともさわやかな笑顔ですが「クックック・・・オレたちの力で、世界を混沌のるつぼにたたき込んでくれるわっ!!」と話しています。

タロさん

ラストサムライ
徹底的に鍛えられた論理思考力、分析力によってつねにチームの議論をリード。まさに切り込み隊長的存在。
その研ぎすまされた舌鋒もさることながら、サッカーで鍛えられた右足から繰り出される真空波の威力絶大。

じつは誰よりも平和を愛する男だが、藤井の魔の手によってチームに参加する羽目に。

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※タロさんの姿。クールな顔をしていますが、写真の見えないところでずっと藤井に蹴りを入れています。

マサヤさん

営業テロリスト。
危険思想の持ち主で、(インパクト的に)世界中に爆弾を仕掛けることを夢見るロマンチストである。
目的実現のために様々な知略を繰り出し、また行動するパワープレイヤー。

「世の中のヤツらをビックリさせてやりましょうよ!」と語るときのマサヤさんの目はマジにやばいっす!(笑)

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※マサヤさん。落ち着きたっぷりの顔ですが、この間もずっと「爆弾、爆弾・・・」とつぶやき続けていました。

セッチーさん

真のハッカー。
黙々と作業をこなしながらも、ときどき矢のように鋭い一言をチームに投げかけてはまた作業に戻る、ということをやってのける。
チーム結成後、最初の15分間でやったハッキングで藤井の個人情報、性癖、その昔ロッカーに隠した給食の残り、などは一通りチェック済み(たぶん)

それにしても、この人がプロトタイプの開発を一手に引き受けてくれなかったら、一体どうなっていたことか。

f:id:fujiitakuya:20130518232109j:plain※セッチーさん。温和な表情ですが、「ちっ、この使えねーバカどもがっ!!。やはりこのチーム、オレの力が必要だなっ!!」と不遜に言い放っています。

オデンさん

謎の妖精。
食事時になるとどこからともなく現れ、チームの進捗状態を頭に、料理を腹に納めてはどこへともなく去っていく。
その目がすべて開かれるとき、この世界は終わるという・・・。

あー、ところで仕事の締め切りは大丈夫だったんですかねー?

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※オデンさん。大仏のようですが、その正体は妖精です。

一日目のまとめ

というわけで、腹を抱え大笑いしながらも無事、チーム・ビルディングに成功したわけでした。
その名も「チーム・マンダラ」!!
うーん、怪しい。怪しすぎるぜ!

本当はもう一人、メンバーがいてその方がチーム名を考えてくれたのですが、翌日から姿を見せなくなったので文章からは割愛させていただきました。きっといろいろと冷静に考え直してしまったのでしょうね、人として。
ともあれ、チーム名をつけてくれたもう一人の仲間にも、この場を借りて感謝を捧げます!

秘密結社という危険なアイデア。
そして、そこに集った6人の男たち+妖精。

我々がStartup Weekend Tokyoの残りの二日間をどのように過ごし、何を考え、何を見出したのか。
また日を改めてお伝えしようと思います。

まて、次週!

Startup Weekend Tokyo二日目の所感

現在、参加中のStartup Weekend Tokyo二日目が終了。
後日あらためてちゃんとブログに書こうと思っていますが、取り急ぎ今日の雑感を書き出しておこうと思い立ちました。

まず今回、我々のチーム「マンダラ(笑)」の皆に私から提案した三つのルールについて。

チーム・マンダラの三つのルール

Call first name or nickname.

濃密なコミュニケーションを実現するために、早期にフレンドリーな関係を築かないといけません。
互いに遠慮して表面的なコミュケーションに終始してしまえば、なんの成果もあがらずにただ時間だけが過ぎてしまいます。
そこで、相手の呼び方からルール決めしちゃいました。
日本人は(私を含め)基本的にシャイな人種なので~。

面白さ > ビジネスモデル

最初のアイデアに対し現実世界での検証を重ねていくとたくさんの反証が上がるもの。
だからと言って手堅い(と思われる)、しかしどこか卑小なビジネスモデルに安易に逃げるのはいかんと思うんですよ。

どんなに実現性が高そうなビジネスモデルであっても、実際に事業化しようとすると、とてつもない困難が伴います。
自身が面白いと思えないアイデアでなければ、絶対にその負荷に耐えられない、と思うんですよね。

なので、何があっても面白さは捨てない。
その上で、実現性の高いアイデアを必死になって考えましょうと決めました。

成果とはチーム

Startup Weekendの54時間で素晴らしいアイデアを考え出し、顧客検証も上々で審査員の方々からも大絶賛! めでたく優勝を勝ち取り、その場で投資家から声をかけられて一直線に起業しました・・・となれば素晴らしいのですが、もちろん現実はそんなに甘くないです。

54時間以内でできることには当然限界があって、たったそれだけの時間を費やしたからといって事業が成立すると考えるのはナンセンスです。
しかし、つい昨日までは見ず知らずだったメンバーがチームとして機能し、同じゴールを目指して走り抜けることができたとしたら、それは立派な成果だと思うんですよ。
というのも、スタートアップ企業にとって唯一不可欠なリソースは、"チーム"だと私は固く信じているので。

イベントの最終日、自分たちのチームが「GoodでCoolなチーム」となっていること。
それこそが自分たちが目指す最重要なゴールだ、と皆で決めました。

進捗状況

ルールを決めた結果、チームの仲間たちは終始一丸となって、まさに今、成果を出しつつあります。
何度もピボットしながらタフな議論を重ね、まるで先の見えない霧の中を這い進むように、気持ちを切らすことなく前進を続けたチームの仲間たちに感謝!

明日は最終日。ここからのラストスパートを緊張感を切らすことなく走り抜けたいですね!

Talknoteという会社とベンチャー企業で働くということ

最近、Talknoteという会社で働き始めました。
とは言っても、まだバイトの身分、言わば、お試し期間中なのですが。

以前の日記にも書きましたが、先月、ほぼノープランでCollaboというベンチャー企業を退職してからは、一ヶ月は個人的に色々やろうと決めていて、そのために嫁やら家族やら事情を説明していたので、別の会社に移ろうとは正直考えていなかったのですよね。
というか、一人で起業してしまおうか、とも思っていたくらいですからね、私。

それなのに、どうしてTalknoteで働くことを決めたかというと、いくつか理由があります。

Talknoteが"伸びている"会社だから

参考記事:"社内SNS「Talknote」利用社数が5000社を突破ー直近2カ月で1400社を獲得した秘訣は「アナログ」"

ベンチャー企業を起こして何かしらのサービスを開発するだけなら別に大して難しくないんですよね。なにしろ、ただ自分たちが「いいな」って思った物を作るだけなので。でも、そのサービスの価値を世間に認知してもらって成長させるってのはものすごく難しい。そもそもサービスがまったく価値を生まないことだってままあるわけです。

ところが、Talknoteはすでに顧客を獲得して、さらに成長をしようというステージに上がっているので、そこが魅力的に見えたことは大きい。
上記の通り、ベンチャーってのはそこまで持ってくるだけでもめちゃくちゃ大変で、じっさい創業メンバーに話を聞くと、本当にものすごく大変なことを乗り越えて今この場所に立っているんだ、ってことがわかるんですよ。

そうやってひたすら滑走路を走ってきた後、いままさに離陸しようとしている会社に参加できるってのは、ラッキーだし、楽しそうだし、将来的に得しそうだし、とまあ、いろいろと夢と希望が膨らんでくる。
・・・というか、ベンチャーで働く理由なんて、未来(自分個人、そして企業が実現しようとしている価値の両方)に対する夢と希望しかないと思うんですけどね。

でも本当は、もっと早い段階から艱難辛苦をメンバーと共有しておきたかった気もします。
まあ本当に大変なことなので自分が実際にそれをやれたかどうかはわかりませんけども。でも、そこから始めるのが本来のベンチャーだし、そこの苦労を分ち合わずして参加ってのも、どことなく申し訳ない気もするのですよ。

「あーアレは大変だったねー。死ぬかと思ったねー」とか仲間と一緒に言い合いたいわけですよ。そういう苦労を共有することでしか築けない人間関係というものが世の中にはあるのでね。

とはいえ、今後もいろいろと大変な課題が待ち構えているはずなので、そこで実力を発揮してメンバーの皆に私の価値を感じてもらう。
そうやって、この気持ちは償っていくしかないでしょうねー。
うわー、がんばろー。

社長から誘われた

二つ目の理由が小池社長が熱心に誘ってくれたから、というすっごく単純な理由。
でも、こんなことが世の中、けっこう大事な気もします。

「Talknoteにはファンでいてくれるお客さんがすごく多いんです。これからどんどん伸びていく。でも、開発者リソースが足りていなくて機会損失も多い。そこを何とかしたい。藤井さんが来てくれたら、Talknoteはもっと良くなります」

って口説かれたんですが、ここで重要なのはTalknoteの現状の問題も正直に明かされていて、同時に私が必要とされている理由もまた明確な点です。
そこに問題があるなら、解決してやりたいのがエンジニアという生き物なのでね。
じゃあ、お手伝いしましょうか、という流れになったのも無理からぬこと。

さらに言うと、私はいつも自分の手で何かしらのサービスを作り出したいと思っていて、そのためにこそSIer業界からベンチャーに移ってきたわけです。
で、そのために、もう自分一人で起業してやろうか、などと思っていたくらい。

でも小池さんは、
「たとえ、どんなに優れたアイデアでも今のままの藤井さんに成功させることはできませんよ(断言)」
などと腹立たしいことを言うわけですよ。まったく年下のくせに失礼なヤツだ!(笑)

もしも小池さんがその後に続いて、
「絶対に失敗するから起業なんて止めて、Talknoteに来た方が人生お得ですよ」
みたいなことを言っていたら、私はTalknoteに行こうとは絶対に思わなかったでしょうね、間違いなく。

でも、実際に出て来たのは、
「自分の手でサービスを作りたい。その気持ちはわかります」
という言葉。

「でもただの自己満足じゃなくて、本当に価値のあるサービスを作りたいなら、もっとノウハウや資金が必要になりますよ。本当にサービスを作りたいなら、成功しないと意味がない。Talknoteに来てくれたら、我々のノウハウを全部見せます。それを全部藤井さんが盗んでから起業したらいいじゃないですか。そうすれば成功確率が絶対に上がりますよ」

なんだろ、この人の殺し文句は。
そこまで言われたんだから、「じゃあお願いします」って私が応じたとしても仕方がない話ですよ。ね?

しかし、なんだなー。人間が単純にできておるなー、自分(つくづく)。

Talknoteというサービス

最後の理由は、Talknoteが人間同士のコミュニケーションを重視している会社であり、サービスであるからですね。
コミュニケーションとベンチャー企業の関係については、いろいろ思うところが多すぎて、また別の機会に書くとして。

人間同士のコミュニケーションというのは本当に大事で、これが不足しているせいで成功するはずのプロジェクトが上手くいかなかったり、ある日突然社員が辞めたり、つまらないことで喧嘩したりする訳です。
先日なども、嫁とちょっとした喧嘩をしたんですが、そういった喧嘩の後に二人で話してみると、原因は単なるコミュニケーション不足でした、ってことがすごく多い。

まず、お互いが相手に対して、共通の認識ができているはずだという思い込みがあって、その前提で会話しようとする。
表面上の会話は成立しているんだけど、前提の共通認識が出来ていないので、ピントのずれた反応しか得られない。
その結果・・・。

(俺) なんでそんなにつまらねーことをイチイチ聞くんだ! うがー!
(嫁) どうして私の言ってることを理解してくんないのよ! むきー!

となるわけですよ。
で、冷静になってお互いの認識を深堀りしていくと、ああ、ここが共有できていなかったね。その前提があったから、こういうことを聞いていたのね、今なら気持ちがわかるぜ、スイートハート(うひゃひゃ)、となることがしばしば。

夫婦でさえこうなるのに、これが会社となれば言わずもがな。

企業が取り組もうとしている問題の解決には、絶対にチームの力が必要なわけですよ。何しろ人間、一人じゃ何もできませんので。
そして、コミュニケーションのないところにチームは存在しません。
特にベンチャー企業では、良いチームが作れるかどうか、が成否をわけるといっても良いでしょう。

そして、私が考える良いチームの条件は三つ。

・高スキルの個人
・同じ目標
・お互いへの信頼

このすべてを兼ね備えなければ、それは良いチームとは言えないでしょう。
そして、特に2番目と3番目を維持、そして醸成するために必要な物こそ、コミュニケーションだと思うわけです。

Talknoteという会社は、当然ながら、この辺りに対してものすごく意識が高い。
なにしろ毎日の朝会では、メンバーが各自、自分の身の回りであったハッピーなことを報告し合う、というコーナーまであるくらい徹底している。

自分はエンジニアという職業のせいか、チームを作ったり、チームの中で働くということを、とても重要視しているんですよね。
それに、最近の自身の経験もあって、コミュニケーションを良くしないと、世の中は何も良くならないや、ということを身に染みて実感してもいるわけですよ。
その辺りが、Talknoteという会社のビジョンとマッチしたというわけ。

それにしても、元々は非コミュだった自分が、コミュニケーションについて語る日が来るとは。
まったく、世の中というものは油断なりませんなー。

今後のことについて

ベンチャー企業で働くってことは、けっして楽なことじゃありません。
給与水準も普通の会社より低く、仕事は大変だし、自分でいろいろと考えなければならないことも多い。

私の中のベンチャー企業の定義は、ずばり「夢と希望しかないブラック企業」というもの。
ブラック企業って言葉、あんまり好きじゃないんですけどね。最近は、安易に使われすぎだと思うので。
そんなに会社が嫌なら自分で起業すればいいのに、とつい思っちまう。

そんなに大変なのに、じゃあどうしてそこで働くのか、と問われれば、自分がひねくれ者だから、と答えるしかありません。
というか、ふつーに進学して、ふつーに就職してたら、そもそも私、ここにはいないのでね。
ここに至る人生のすべては、ひねくれ者であり続けた結果だと思うんですよ。

安易に、その他大勢に流されたくない、という感じ。

今の自分。そして、今の世の中に対する不満。

そういった情熱を吐き出す先が自分には必要で、ベンチャー企業はそのための場所を自分に与えてくれるんですよ。
だから、大変だけど、ものすごく楽しい。

最近よくベンチャー企業をONE PIECEの登場人物になぞらえるのを耳にするのだけど、ベンチャー企業=海賊ってのはすごくピンとくるイメージ。*1
実際、世の中に対するある種の反逆心がないとやってられないし、ベンチャー領域に移ってきて出会った人たちはそういう気質の人がすごく多いと感じます。

あと、お給料について。
大体、私の中では、何かしらの価値を世の中に届けた結果として、お給料がいただけると思っているので、会社の売り上げがない状態で高い給料を望むとか、そういう論理がよく分かりません。
そのお金、一体どこから出ているんでしょうね。天から降ってくるのか、地面から湧いてきたのか。
はたまた社長の貯金か、それともどなたかの投資金か。でもそれ、元はと言えば、人様のお金です。

もちろん人間というモノは不便な物で、霞を食って生きていけるわけじゃありません。
日本ってホント物価が高いです。一定のお給料がいただけないと命が危ないです。
というより、嫁に絞められます。怖いです。

それに、私も人の子。
一定の欲望は持ち合わせているので、最終的には豊かになりたいのですよ。少なくとも嫁に苦労をかけない程度にはね。
でも、そのための原資として使えるのは、自分の人生、すなわち時間だけです。

普通の企業で働く、ということは、言うなれば、自分の時間を売ってお金をいただくということです。
原則は、等価交換が基本。ここが企業が得するだけの状態なら、まあそれはさすがにブラック企業の汚名は免れないでしょうけど。

ベンチャー企業で働くということは、自分の時間を投資して、その企業の未来を買うということです。
だから、現時点での給与とか待遇とかはあまり問題じゃない。
もちろん、いいにこしたことはないけども、それよりも会社に将来性を感じることの方が大切。

それに最近気がついたのは、ベンチャー企業の、ドロ戦にも似た仕事が、自分はけっして嫌いではないということ。
まあ、どの会社でも開発をやっていると、たまにそれに似た状態になることがあるので、そこで鍛えられたのかもしれませんけどもね。
同じ苦しみなら、夢と希望があるほうがやりがいがあるというもの。

さて、明日からまた仕事。
仕事は山積み。想像すると手のひらに変な汗をかく。そして、思わずニヤニヤ笑いがこみ上げてくる。

我らは海賊。
船の行く先が素晴らしい世界だと信じ、陽気に笑い、戦うのみ。

*1:それにしても、自分はどのキャラクターに該当するのだろう? フランキーか、ブルックあたりか。自分のパンツを脱ぐべきか、相手のパンツを見せてもらうべきか、それが問題だ。

残念なベイジアンフィルタと感情モデルと"人間讃歌"の素晴らしさについて

失敗談というか、残念な話を世間から集めたいと思い、方法を模索していた今日この頃。

  1. 身の回りの人に聞いて回る。
  2. WishScopeなどの既存のサービスを活用して募集する。
  3. 絨毯爆撃的にテレアポして聞き回る。
  4. どっか別のサイトからパク借りてくる。

といくつか案を練ってみたのですが、1などは集められる数に限りがあるし、2もやってはみたものの、そして予想以上に収穫はあるものの、それでも絶対量が足りていないと感じている次第です。
3などは都内某区のハローページを入手したものの、何の脈絡もないのにテレアポしても成果が上がるとは思えません。そして、他人様に迷惑をかけることへの良心の呵責と浴びるであろう罵詈雑言による精神的ダメージへの不安のためボツ。

で、残る4についてです。
当初は、2ちゃんねるTwitterから良さげな投稿を持って来れないかなー、とも思ったわけですが、そもそもそれって著作権の侵害に当たるじゃない、とツッコミをいただき(いや、最初から気づけって話ですが)、ちょっとその辺りについて調べてみたのですよ。

これを見る限り、2ちゃんねるからの転載は完全にNGですよね。やっているところは多数あるようですが、まあ、まとめ系サイトをもう一個作るようなことをしても仕方がないし、それは本来の目的とも違うので除外。

Twitterの方はと言うと、こちらの記事によればツイートの投稿内容は本人に帰属するものの、「しかし、他ユーザーが、コピー、複製、処理、改変、修正、公表、送信することを無償で許可したものとします」とあるので、各ユーザさんに対し節度と誠実を心がければ、まあ大丈夫だろうと思ったわけですよ。

とりあえずは、専用のアカウントを用意して、残念話に類するツイートを日々Retweetして回るだけでもいいかなー、と考えたのですが、では大量のツイートの中からどうやって失敗談を見つけるか、と来ればそれはもうベイジアンフィルタだろう、と、まあプログラマという獣が世界の中心で叫んだのですよ。ベイジアンフィルタ、つまりスパムメールを振り分けるために使われるプログラムのことです。

かじった程度の知識しかないんですが、じつは前々から書いてみたかったのですよ。ベイジアンフィルタ
というわけで実際にやってみたのが下記。

  • Twitterから日本語のツイートだけを集めてきてDBに保存。

TwitterAPIを使えば楽々とできますね。 

  • ツイートを失敗談とそうでないものを振り分ける。

この振り分けたツイート群がそのまま学習データとなるので頑張り所。
ここは手作業だし、大量にこなす必要なのでけっこう大変。
なので、専用のWeb画面を作ってチャキチャキとこなしました。
※今思うとCIにしても良かったな・・・。

ちなみに今のところ、3000件以上は振り分けましたが、心が折れかけた・・・。

  • 振り分けたツイートを形態素解析して、単語ごとにどちらに振り分けられたかの回数を記録する。

形態素解析MeCabを使いました。いつもお世話になってます。

  • 学習データを元に、残りのツイートに対して失敗談である確率を計算してみる。

お手軽ナイーブベイズで。ナイーブベイズの実装についてはいくつも記事があるので、言及しません。
とりあえず、ゼロ頻度問題を回避するためのスムージングをどうするかがポイントかな、と。

一番手っ取り早いのが「加算法」ですが、精度が悪くなるし、この記事「単純グッド・チューリング推定法 (Simple Good-Turing Estimation) とは何ぞや?」を読んだら「単純グッド・チューリング推定法」を使ってみたくなったので、私はこちらで。
記事で説明されている数式は読んだけど、一部がよくわかっていない。数学、もっとやっときゃよかった・・・orz
ともあれ、上記の記事に掲載されているR言語Rubyに書き換えて使いました。一部、R言語っぽい処理をするためにStatSampleというGemを使ってます。

# encoding: utf-8
# See: http://d.hatena.ne.jp/Fivestar/20080702/1214965996
module Bayesian
  module Discounting 
    class Base
      attr_reader :r, :nr, :n
      
      def initialize(r, nr)
        @r  = as_float_scale(r)
        @nr = as_float_scale(nr)
        @n  = (@r * @nr).sum
      end
      
      def discount_frequency(numerator,denominator)
        [numerator.to_f,denominator.to_f]
      end
    
      private
      
      def as_float_scale(v)
        case v
        when Array, Statsample::Vector
          v.map{|v1| v1.to_f }.to_scale
        else
          raise
        end
      end
    end

    class SimpleTuring < Base
      
      def discount_frequency(numerator, denominator)
        [map_of_term_frequencies[numerator.to_f],denominator.to_f]
      end
      
      def term_frequencies
        @tf ||= begin
          dcr  = renormalized_discount_coefficients
          r * dcr
        end
      end
      alias :tf :term_frequencies
      
      protected
    
      def map_of_term_frequencies
        @map_of_term_frequencies ||= begin
          map = {}
          map[0.0] = nr[0] / n
          r.to_a.each_with_index do |r1,i|
            map[r1] = tf[i]
          end
          map
        end
      end
      
      def renormalized_discount_coefficients
        dc    = switched_turing_estimate
        nr0   = nr[0]
        
        # summation of probabilities
        sump  = (dc * r * nr).sum / n
        dc.map{|dc1|
          (1 - nr0 / n) * dc1 / sump
        }.to_scale
      end
      
      def switched_turing_estimate
        dct   = turing_estimate
        dc    = dct
        dclgt = liner_good_turing_estimate
        rsd   = standard_deviation_of_term_frequencies
        for i in (0..r.size-1)
          dct1    = dct[i]
          dclgt1  = dclgt[i]
          r1      = r[i]
          rsd1    = rsd[i]
          v       = ((dct1 - dclgt1).abs * r1 / rsd1)
          if v <= 1.65
            dc1 = dct.to_a.slice(0,i)
            dc2 = dclgt.to_a.slice(i..-1)
            dc = (dc1 + dc2).to_scale
            break
          end
        end
        dc
      end
      
      def standard_deviation_of_term_frequencies
        rsd = []
        seqs = (2..nr.size+1).to_a
        nr.each_with_index do |nr1,i|
          nr2 = nr[i+1]
          break unless nr2
          seq = seqs[i]
          rsd << seq / nr1 * Math::sqrt( nr2 * (1+nr2/nr1))
        end
        rsd << 1
        rsd
      end
      
      def liner_good_turing_estimate
        @liner_good_turing_estimator ||= begin
          rc  = corrected_term_frequency
          lgt = rc._vector_ari('/', r)
          lgt
        end
      end
    
      def turing_estimate
        @turing_estimator ||= begin
          nrb = [ nr.to_a[1..-1], 0 ].flatten.to_scale
          t1  = (r+1)._vector_ari('/', r)
          t2  = nrb._vector_ari('/', nr)
          ret = t1 * t2
          ret
        end
      end
      
      def diff_each_frequencies
        @diff_each_frequencies ||= begin
          d = []
          r.each_cons(2) do |v1,v2|
            d << v2 - v1
          end
          d
        end
      end
      
      def corrected_diff_of_frequencies
        d = diff_each_frequencies
        if d.size > 2
          t = d[1..-1]
          q = d[0..-2]
          da = [t,q].transpose.map do |ti,qi|
            (ti + qi) * 0.5
          end
          [1, da, d.last].flatten
        else
          [1, d].flatten
        end
      end
      
      def zipf_of_frequencies
        df = corrected_diff_of_frequencies
        ret = nr._vector_ari("/", df )
        ret
      end
      
      def regression_coefficient_of_frequency
        zr      = zipf_of_frequencies
        log_r   = r.map{|v| Math::log(v) }.to_scale
        log_zr  = zr.map{|v| Math::log(v) }.to_scale
     
        ds      = {'x'=>log_r, 'y'=>log_zr}.to_dataset
        mlr     = Statsample::Regression.multiple(ds,'y')
        ret     = mlr.coeffs['x']
        ret
      end
    
      def corrected_term_frequency
        coef_x = regression_coefficient_of_frequency
        ret = r.map{|v|
          v * ((1 + 1/v) ** (1 + coef_x))
        }.to_scale
        ret
      end
    end
  end
end

R言語、今回はじめて触ったんですが、さすが統計解析用らしく配列処理がクールですね。
Rubyだと、eachやらmapやらとループ処理が多くなりがち。

まあ、ともあれこのような手順を踏んでツイートを自動抽出してみようとしたんですが、どうもイマイチよくない。
なぜか?

  • 「吐きそうやし」とか「眠い・・・」とか端的なツイートが引っかかる。

短いツイートの方が必然的に分類しやすいので、こういったツイートが多くひっかかるんですよね。
あと単語の繰り返し系とかもそう。

まあ、これは単語とは別に語彙数のカウントを取っておいて、語彙数でも確率を計算する、ということで回避しました。

  • ネガティブなツイートが引っかかる。

あと、当然と言えば当然ですが、あまりにネガティブなツイートが引っかかってしまうんですよね。
・・・というか、Twitter、死にたいヤツが多すぎるだろ・・・!(笑)

誰かに養われながら少しずつ衰えて孤独死するなら、少しでもマシな状態で若くて、友達に悲しまれる間に死にたい。

とかね、あまりに後ろ向きなツイートを集めても、面白くも何ともないのですよ。
とは言え、同じ「死にたい」ネタでも中にはこんな秀逸なやつもあるのでなかなか侮れない・・・。

母親「すーぱーそに子の添い寝シーツが届いたよ。ダンボール開けたよ」
19歳男性「死にたい」

ちなみに理想とする残念ツイートは下記のようなヤツ。

旦那が橋で丸いきれいな石拾ってじっと見つめてた。
しばらくして携帯を出して時間確認すると携帯を川に投げ捨てて 石をポケットにしまった後に膝から崩れ落ちてて思わず笑った

今日日本橋行ってたまたまBLコーナーあったから友達に「ちょっと聖闘士星矢Ωあったら教えてね」って言ったら「こんなところに男と居ったら腐女子に妄想されそうで怖いからいやや」って言われたけどぶっちゃけ俺みたいなブサイクとお前みたいなフツメンで掛け算するぐらいなら床と天井でやるわと

舅さんが、引きこもり、と言う言葉をなかなか覚えられないらしく、メールの度に「また閉じこもりか?」とか「立てこもってないで〜」とか書いて来る。
色々勘違いしているようだが概ね正しいので放ってある。

あなたたちの命の輝きに、ぼくは思わず胸が熱くなりますよ。
いや、マジで。

さて、この問題はどうやって解決すべきかなー、アレコレ考えた挙げ句に思いついたのが感情モデルを導入することでした。
感情モデルとは、人間の感情をわかりやすく表現した体系のことで、心理学の用語。
自分が調べた感情モデルの中でも特に魅了されたのは、Plutchikの感情モデルでした。
これは感情=色と見立てた色相環のようなもので、その発想といい、図形といい、じつに美しい。

Plutchikの感情モデルでは、

[喜び(joy) - 悲しみ(sadness)]
[受容(trust) - 嫌悪(disgust)]
[恐れ(fear) - 怒り(anger)]
[驚き(surprise) - 期待(anticipation)]

という対となる感情の組み合わせと、それぞれの感情の強度で人間の心を理解しようとしています。
これをツイートの判定に適用できないか、と。

参考URL: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%84%9F%E6%83%85%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7

で、ぱっと思いつくやり方は次の通り。

・まず、サンプルのツイートを上記の感情軸それぞれに対してどちらに分類されるかを判定する。
 => これが感情モデルの学習データになる。例によって手作業。ぐったり。

・このツイートを形態素解析して、単語ごとに分類回数を計上すると、単語ごとに感情の重み付けができる。
 => 感情辞書の作成。

・感情辞書に従って残念ツイートの学習データの感情分布を計測する。

で、語彙数、単語の種類、感情の分布によってツイートの合否判定を行う、と。

でもまあ、この程度のことならすでにダレかが研究しているんじゃないかと思ったところ、やはりちょっと調べたらゴロゴロとそんな事例があるんですよ。
たとえばこちらのようにすでに感情辞書を作って公開している人もいたりするくらい。

プロの研究者が思いっきり専門的で高度なことをやっているのを見て、そんな領域まで足を突っ込むべきかと正直、二の足を踏みました。
つまり、この方向性で精度を出そうとすれば、かなり専門知識や時間のコストがかかりそうだ、という予感ですね。で、どうしようかなー、と。

あと、もうひとつ。
自分の中でもしっかりと定義が固まっていなかったんですが、自分が抽出したいツイートって、ネガティブだけどポジティブ、といった矛盾をはらんだものだと気がついたわけです。つまり、ある一つだけの感情に寄ってない。

今日の英語の勉強全くしてないんだよね(´・ω・`)
うちくらいだろうなぁ(´・ω・`)
まぁ、最初っから1番下って決まってるし、そこで頑張るのみ!!!!!(`_´)

上記のようなツイートってネガティブ=>ポジティブという心の動きがあって、だからこそ読む側からすると好感が持てるんだけど、こういったツイートを、単語の出現頻度ではもちろん、それが感情の出現頻度に置き換わったとしてもたぶん捉えきれないよね、と今更ながらに気がついたわけです。
人間ってそんなに単純じゃないよね、もっと複雑で、でもそれが自然なことなんだ、と。

ま、当たり前の話なんですが、プログラムに没頭しているとその作業が楽しくて、たまに忘れてしまうんですよね。世の中のごくフツーのことがプログラムでは一番むずかしい、という事実に。
投稿している人の年代も境遇も様々で、かつ「残念だけど面白い」といういかにも人間的なツイートを抽出っのはちょっと無理難題すぎた。反省。
ま、玉石混交でよければ、ざっくりとしたものは作れはしますけどね。

考えてみると、スパムメールとか

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とか

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というようなツイートを見ると、どこか昆虫的なんですよ。
定型的で、感情の動きが少ない。だからこそプログラムでわりと簡単に識別できるんですが、人間が感じる面白さっていうのは、そのパターンが崩れたときが現れるんですよね。

つまりは・・・

人間讃歌は「勇気」の讃歌ッ!!
人間のすばらしさは勇気のすばらしさ!!
いくら強くてもこいつらスパムは「勇気」を知らん!
ノミと同類よォーーーーーッ!!

──────────『ジョジョの奇妙な冒険』より

ってことですね。
ちょっと遠回りだったけども、そういう気づきが得られたことで良しとしますか。

リバース・ブランディングとUI/UXと伝書鳩とおじさんの話

どうも風邪をひいたらしく頭がぼーっとするわ、体の節々が痛むわ、という春の嵐的な季節感を体中で感じていた今日この頃。
仕方がないので、ヤンミ・ムンの「ビジネスで一番、大切なこと」を読みながらゴロゴロしていたら、IKEAの話が出てくるじゃありませんか。

IKEAと言えば、お客がバカでかい家具を自力で組み立てなければならない、というアレです。
我が家でも何度か家具を買いましたが、壁いっぱいの巨大な本棚を私一人で汗水垂らしながら組み立て、その夜、全身を襲った筋肉痛と言ったら何とも格別な味わいでございました。

さて、IKEAみたいな企業をリバース・ブランドと呼ぶそうですが、これをココ最近、チマタをにぎわすUXD(ユーザエクスペリエンス・デザイニング)と関連して考えるとなんとも面白い。何しろUXDの基本は「おもてなしの心」と言われているんですからね。おもてなし、という発想から言うと、お客に家具を組み立てさせて筋肉痛にさせるIKEAってどうなのよ、と直感的には思う訳ですが、でもIKEAを支持しているお客さんがゴマンといらっしゃる。

やはり一部には強烈な不満を覚える客もいるようですが、それでもIKEAには独自のブランド価値があり、かつ熱心な支持者を獲得することに成功しているのは間違いない訳で。

UI/UXと言うと、本当はいろいろなレイヤーを分けて議論しなければならないはずで、深いレイヤーでは「ユーザにどんなサービスイメージを伝えるのか」「どんな体験を提供するのか」みたいな割と本質的な問いになるので、ブランディングとかマーケティング抜きでは語れないところがあるわけですよ。
一方で、浅いレイヤーだと製品の「見映え」「使い勝手」という風に、デザインとかUI設計といった領域になり、どっちかというとUI/UXって言うと、ここら辺にフォーカスされがち。

でも、それだけだと表面的な付加価値でしかなくて、サービスの本質的な価値とはなりえないんですよね。
そりゃあ、もてなし上手の仲居さんさえいれば、旅館も料理も温泉もいらない、とはならんのですから。

サービスの本質的な価値できっちり競合との差別化ができていないと、ただUI/UXを頑張ります、と言っても仕方がないわけですよ。むしろ皆で頑張れば頑張るほど、業界全体が過剰適応して、結局はコモディティ化の泥沼に突っ込んでいくことになりかねない。

当ホテルのベッドはカールトンよりフカフカです。
いやいや、こちらはオーシャンビューが楽しめます。

コモディティ化の悲しいところは、企業側がどれだけ血のにじむような努力して、熾烈な競争を勝ち抜こうとしても、むしろ結果的には業界全体に対する顧客側の感動がどんどん薄まってしまう、という点に尽きると思うんですよね。そして顧客は、個々の企業とかサービスとかに注意を払わなくなり、サービスのカテゴリ全体に対して自分のポジションを決めてしまう。そうなると、サービスの作り手がどれだけ声高に自分たちの価値を主張しても、顧客は目もくれない。
アルプスの水に、六甲の水。天然水です、深海の水です、酸素入りです、ミネラルが多いです云々。

さて、ここまで考えて、自分の専門分野であるWebやアプリ領域を振り返ってみると、どうしても気づいてしまうことがあるんですな。
つまりは、当然ながら我々は自分たちのサービスの"形"として、Webアプリやらスマホアプリやらを考えるわけですが、その時点ですでにコモディティの沼に片足突っ込んでいるわけですよ。
もうね、この世にどれだけのWebサービス、あるいは、アプリがあるのか、と。
ぼくたちのアプリ、あっちのアプリより使い勝手がいいんです!ってのはもうその時点で勝負の仕方を間違えている気がしてなりません。

そこで、伝書鳩ですよ。
これから新しいサービスを発想する場合、まずサービスの形は伝書鳩にすると決めておくといいんじゃないかと。インターネット不要、電気代、および通信料不要。くるっくー。
たまーに鳩が道に迷ったり、豆を要求したりと、多少は不便な点もあるかもしれませんが、それでもユーザが使ってくれるほどのサービスをまずは考える。

もちろん伝書鳩ってのはモノのたとえ。
たとえば発想の仕方として、鳩の代わりにおじさんをユーザの元に派遣するという形でもいいのですよ。
そのおじさんがユーザの要求に応じて、調べ物をしたり、質問に答えてくれる、とかそんな感じ。まあ、たまーにおじさんが道に迷ったり、豆を要求したりと、多少は不便な点も(以下略)

そうやってサービスの価値を考えてから、その価値の伝送路を、Webアプリにするか、スマホアプリにするか、伝書鳩にするか、おじさんにするか、もう一度考え直すと。

スマホ、スマホと言われているけども、今そこらにあふれている製品の"形"から出発していたら、新しいモノなんて生まれませんよねー。
まずは自分の中で時計の針をいったん戻し、ほとんど何もないところから発想しなおすと、画期的なモノが生まれるんじゃなかろうか、とつらつら考えた春の夕べでありました。
どっとはらい

ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業

ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業

勝手ながらとあるベンチャー企業を退職しました

最近、個人的な心境の変化がありまして、とあるベンチャー企業(Collabo.co)の取締役を退任しました。

個人同士の活動としては丸二年、ベンチャー企業という形になって一年四ヶ月。
この期間の経験を経て、私の仕事観、および人生観がだいぶ変わりました。

より具体的に言うと、物事の変化とか、未来の不確実性とか、あるいは偶発的な出来事に対して、以前よりずっとポジティブに受け止められるようになりましたね。
まあ、よりいいかげんなヤツになった、と言い換えることもできますが・・・。

もともとは臆病な性分も相まって、リスクとか、不確実な未来とかを厭う傾向が強かったのですが、ここ最近は何かをやりたいと思い始めたら、心の中ではもうどうしても止まれない自分がいるんですよ。そして、ずっと耳元で叫び続けている。
「さあ、走り出せ! いま動かなけりゃ何もかも失うんだ!」ってね。

じつは私、十年に一回くらい、そんな風にちょっとヤバめの精神状態になることがあるんですよね。
ぶっちゃけると、遺伝的にも躁鬱病の気があるらしい。これは私が結婚するときに、母親が「じつはね・・・」と教えてくれたことでもあるんですが。

人生で一度目のときは「オレは大学になんぞいかない。職業を転々としながら小説家になる!」って言い出して家族や友人を困らせました。
当時通っていた高校はわりと進学校だったんですが、突如進学しない、と宣言した息子に両親は呆れ果ててましたっけね。
ウチの母親が「プータローの専門大学があればいいですねー」などと同級生の母親に皮肉を言われ、物陰で悔し涙を流した、って聞いた時は不肖の息子ながらさすがに胸が痛んだものでした。

二度目は嫁と結婚すると決めたとき。このときもさんざん大騒ぎして周囲に迷惑をかけました。市役所の前で二の足を踏み、「やばい、なんだか結婚するのが怖くなってきた。やめていい?・・・」などと抜かす嫁の手をムリヤリに引っ張って、婚姻届を出したのも今となって良い思い出。
人の目も気にせず、銀座のど真ん中で号泣し、その結果、全身の痙攣発作を引き起こして身動きが取れなくなったり・・・、どうもこう書くと、交感神経に何かしらの異常が疑われても仕方がないな、私。

で、今年です。

たしかに今年はなんかヤバかった。年明けの頃から心が、魂の何処かがずっとざわついておったのですよ。
何かを変えないといけない。まさに「ガンガン行こうぜ」状態ですよ。でも何を?

今年に入ってから今までやったことのないことに次々とチャレンジしていこうと決めたのも、多分その盛り上がりの一環だったんじゃないかしらん、と今更ながら納得気味。
前職では技術者としての役目を期待されていた訳ですが、プログラミングすることで解決できる問題って、まあ当然そのベンチャーが目指している領域にもよるんですが、特に今回のビジネス領域ではごくわずかじゃないか、と感じ始めていたことも要因のひとつでしょう。

ビジネスが提供するサービスは必ずしも製品そのものとイコールではないし、企画やらマーケティングやら営業やらその他諸々が機能して初めて、プログラミングの結果としての製品が意味をもってくるわけですよ、当然ながら。
プログラミング、というかIT技術がもたらす純粋な価値ってなんだろうと考えてみると、高速・大量・正確に尽きるんじゃないか、と。ゲームとか違うじゃんとか言われそうだけど、あれはユーザの「体験」を大量に生み出す仕組み、と考えるとそう間違いでもない。

ビジネスがもたらす何かしらの"価値"に正しく照準が合ってさえいれば、IT技術はそれにさらなるスケールメリットを与えることができる。
でも照準を合わせるべき価値を見つけ出すことは本当に難しいことだし、逆に見つけさえすれば後はただスケールすればいいって話でもある。
いや、そのスケールメリットを作り出す過程だって相当な苦労が必要なので、こういう言い方は乱暴すぎなんですけど。

ともあれ、コーディングをする以前にやらなけりゃならないことが現実世界にはゴマンとあるってことと、ベンチャーで働いていると、そのあたりにも自然と問題意識を持つようになるってことが言いたい訳ですよ。たとえ、プログラマーであってもね。

で、そういう意識を持っていればいろいろ考えるし、学びもする。そして、技術以外のこともやってみたくなる。というか否が応でも必要性に目覚める。
そんな風に自分の中の様々なウェイトが変わってきた結果、次に変えるべきは自分自身の行動や仕事の仕方であり、または自分の身の置き場所であろうと、そう結論づけた次第です。
とは言え、べつにプログラマーをやめるわけじゃないし、何がどう変わるのかって確たることは何も言えない有様ではあるんですが。

さて例にもれず、今回もまた多方面にご迷惑をかけることになりました。また、家族にも心配をかけました。
この場を借りて伏してお詫びするものです。

あと、次の就職先の心配をして下さった皆様、本当にありがとうございます。
折角ではありますが、いろいろ考えがあり、少なくとも一ヶ月は個人的な活動に費やすつもりです。
・・・嫁よ、許せ。

そんなわけで・・・

(嫁が)落ち込んだりもするけれど、私は元気です。

ビジネスコンテント・ジギョつく@福岡に応募する!「残念.me」敗戦記

思い立ったが吉日、とはよく言ったもので。
2013 Feb, Startup Weekend TokyoのFBグループ上で告知がされていた流れで、サイバーエージェント様主催のジギョツク@福岡に自分たちのビジネスアイデア「残念.me」を応募してみたのですよ。
いや、だってね、SWTの審査で最も笑いを取っていたアイデア、その名も"ウンコでつながるSNS「UNCONNECT」"も応募するって聞きまして。
「UNCONNECT」が応募するんなら、「残念.me」だって応募して悪いはずがない!と、対抗意識を妙に刺激されてしまったわけです。
この「UNCONNECT」について私、SWTの審査時にはびみょーに"笑い"で競り負けていたこと、根に持っていたりなんかして。

ところで「UNCONNECT応募!」の報が届いたのが、なんとその締め切りの前日のこと。
なにくそ遅れを取ってなるものか、と、慌ててエントリーシートを作成、なんとか応募に漕ぎ着けたまではよかったんですが、こともあろうに我らのエントリーのことが社内(つっても私を含め、三人しかいないんですが)に知れ渡るというアクシデントが発生。
つまりは、うちの社長と、デザイナーなんですが、この二人、なんとそれぞれ自分たちも応募する、と言い出しやがる。

おい、ちょっとまて、仕事はどうすんだ? 社長!
それに、デザイナーのO女史・・・貴様はSWTでオレと同じチームだったじゃねーか! ここはオレと一緒に「残念.me」を応援するのが筋じゃねーのかYO!
・・・などと言っても、この二人が素直に聞くはずもありません。

「いやー、今度こそは私のアイデアで勝ってみせますわー」と余裕のO女史。
「いやー、企画でぼくが負けるなんて絶対ありえんわー」と自信の社長。

そんな大阪弁二人組に、ぐぬぬ、となる自分。

なんなのだ、こいつらの厚かましさときたらっ・・・!!!
思わず、この二人の頭の中に「遠慮」とか「控えめ」といった美しい日本語を叩き込んでやりたい衝動に駆られましたが、ガチ標準語の心優しい私めにそのような蛮行、当然ながら及ぶべくもありません。

えーい、くそ、勝手にしやがれってんだ!!

第一次選考

そんなこんなでいちおー応募をしたものの、正直あまり期待はしていなかったんですよね。
だって、「残念.me」ですよ? あなた?
言うなれば、これは就活している学生がですね、会社の面接に↓な格好をして出向くようなものです。

まともなビジコンなら、こんなアイデア、真っ先に落としにかかるに決まってます! それが世間ってもんでしょーがっ!
そんなわけで、「もしかしたら今度、福岡に出張するかもしれんけどー、まあ、まず審査に通らないと思うけどねー」と嫁にも軽ーい感じで伝えておくにとどめ、特にスケジュールの調整もしていなかったわけであります。

と・こ・ろ・が

大変お世話になっております。
ジギョつく@福岡運営事務局の渡邊と申します。

運営事務局にて厳正な審査を行った結果、
一次審査を【通過】とさせて頂きましたので
ご連絡させて頂きます。

なんですと? 通過!?
おいおいおいおい! マジかよ!? 大丈夫なのか、サイバーエージェント!!(失礼なヤツ)

ともあれ想定外の事態に、思わず動揺、そして興奮する私たちチーム一同。
ふと見ると、一人で暗い顔をしているO女史の姿が。

「おかしい・・・私のアイデアが一次審査を通らないなんておかしい・・・きっと審査で握りつぶしておいて、サイバーエージェントでパクる気に違いない・・・そうにちがいない・・・」

あらまー、落ちていたんですかー。それはお気の毒でしたねー(棒読み)。
「私のアイデアが通らないのはどう考えてもお前らが悪い」状態のO女史の一方で、うちの社長はどうなったのかというと・・・

通りやがった。あっさりと。
マジか、こいつ!?

というわけで、三人しかいない我が社において、二人の案が一次審査を突破するという異例の事態が発生。
さらに言えば、残りの一人は、私のチームの一員でもある訳で・・・いわば全員が当事者という有様。
こんなぼくらで本当にいいんですか、サイバーさん! こんなぼくらを呼び寄せて、大丈夫なのか、福岡!?

あ、ちなみに、「UNCONNECT」は落ちました。
その結果に、サイバーエージェントの良心を見たの私だけではないはず。ぬははははは。

出発準備

そんなわけで、ビジコン開催当日の3/15(金)は、我が社の休業が決定した次第であります。・・・いや、違った。これも我々の重要な仕事なんです。我が社の存在を日本中に知らしめる、その重要な一歩を福岡に刻むのです。
そう、これが仕事でなくて何でありましょうか!・・・べ、別に福岡のもつ鍋が食べたいわけじゃないんだからね!

さて私、本当はその翌日3/16(土)は楽しみにしていた大江戸Ruby会議に参加する予定だったんですが、断腸の思いでキャンセル申請。
そしてSWTで行動を共にした仲間たち、チーム「Shippai on the go」の面々と共に、プレゼンの準備に取りかかったのでした。

さらには福岡へ向かうための航空チケットの確保。
と、ここで飛行機のチケット代と、福岡に飛来したPM2.5のニュースによって、福岡行きを断念したのがO女史。

「優勝賞金が50万円で、たとえ優勝しても5人チームなら一人当たり10万円。あかん、交通費を取り戻すには期待値が低すぎるわー」
・・・なんという現実的、かつ冷徹なそろばん勘定。君の体には、ロマンという血は流れていないのか!?

そして、もう一人、なぜか東京にやってきて、ちゃっかり我が社の事務所で寝泊まりしている大阪出身の大学生、ジュンさんもまた脱落。
理由は、すでに内定している会社の講座があったのを忘れていた、とのこと。しかも飛行機チケットを買った後に気がついたらしい。そして、LCCなので払い戻しもできず・・・。
なんという見事な失敗! 君こそ我が「残念.me」チームのホープだ!!w

というわけで結局、福岡入りするのは、私、ヒロさん、ユーヘーさんの3人に。

一方、うちの社長は特にプレゼンの準備をするわけでもなく、徒に日々を過ごすばかり。
挙げ句には「いやー、いかん、応募したアイデアでは勝てん気がしてきた・・・」などと弱気なことを言う始末。
ふっふっふ、この勝負、もはや戦わずして勝ったも同然。待ってろ、オレたちの50万!

そして、とうとう当日に。
朝の福岡空港に降り立った我々を出迎えたのは、東京よりもだいぶ春めいた風景、そして吹きすさぶスギ花粉とPM2.5。
はーっくしょい。

戦いの火ぶた!

というわけで、いよいよビジネスコンテスト、ジギョつく@福岡の決戦の火ぶたが切られたのでした。
最終選考に残ったのは、全部で6チーム。さてさて、栄光の賞金50万円は一体、誰の手に!?


※イベントについて説明するサイバーエージェントの渡邊さん


※6チームの発表内容とその順番。4番目の「ボーケンたん」がうちの社長のアイデア。5番目が我らの「残念.me」という順番。

さて、トントン拍子に各チームの発表が終わり、やがてウチの社長の出番となりました。
どうやらこの男、元々応募した自分のアイデアに見切りをつけたらしく、自社で開発中のサービス「ボーケンたん」についてプレゼンすることに決めた模様。まあ、社長としてはむしろ当然と言える決断ですが、え、でも、ちょっと待てよ。ねえ社長、そのアイデア、我が社の秘蔵っ子じゃありませんかっ!!!
「ボーケンたん」ってサービス名の案だって、もともと私が出したんですよ! ねえ、ちょっと!


※自社で開発中のサービス「ボーケンたん」についてプレゼンするうちの社長

社長の手慣れたプレゼンもあって、審査員からの反応は上々の様子。
そりゃ、この一年ほどの間、我が社で念入りに練ったアイデアだけあって、ビジョン、実現性、収益性の絵がしっかりと描けているわけですよ。まさにビジネスコンテントにお誂え向きのプレゼン内容。

ヤバい、こいつはヤバい。
以前ブログにも書きましたが、ぶっちゃけ「残念.me」には、これは、と言えるような収益モデルは確立できていないんです。その点、ビジネスコンテストでは致命的に不利といえるでしょう。

しかし、戦いとは、すなわち最後まであきらめないこと。
それこそ「残念.me」のモットーですから。


※残念.meについてプレゼンするヒロさんとユーヘーさん

飛行機の中も、会場に着くまでも、ずっとずーっとプレゼンの練習をしていたヒロさん。そしてユーヘーさんを舞台に送り出し、私は写真撮影係へ。
なんで、お前がプレゼンしないのかって? そりゃあ、私よりずっと上手にできる人がいるからです、当然!

狙い通りに笑いを取りながらも、つつがなくプレゼンは終了。やったぜ、ヒロさん!
そして、次に審査員からの質疑応答の段となりました。
まず最初に、九州大学の五十嵐さんから一言。

「うーん、このサービス、あってもいいけど別になくてもいいよね」

あー、またか。この言葉。SWTでも言われたなー。

そりゃ、「残念.me」がなくても生きていけます。ぶっちゃけ、誰も困りはしません。

でも、今の現代社会って、見渡せばそんなものばかりじゃないですか?
そのブランド品、必要ですか? 笑いって必要ですか? 音楽はどうですか?

でも文化って、もともとそういうムダなものから始まると思うんですよね。
音楽も、マンガも、映画も、小説も、Webも、ゲームも。
生存に必要な条件が労せずして満たされる現代社会じゃ、そういったムダがないと人間は生きていけないと思うんです。
私たちが作り出そうとしているのは、そういった文化のひとつ、人々を幸せにできればいい、と願って作るムダなんですよ。

・・・とまあ、同じ質問に出会うたびに頭の中ではいつも同じことを考えるんですよね。
でもなかなか、その場でスパっと答えられないのが問題ですな、自分。

そして、次に株式会社サイバーエージェントベンチャーズ代表取締役の田島さんから次のような質問が。

「普通の人は、SNSでわざわざ自分のネガティブなことを出したくないんじゃないか。少なくとも自分はセーブしてしまう」
一様にうなずく審査員一同。

私の考えでは、たとえばFacebookTwitterのような代表的なSNSはいわば街中の大通りのようなものなんですよ。
そこをパジャマで闊歩するような人は皆無とは言いませんが、まあ稀でしょう。つまり、ユーザは多かれ少なかれ、各SNSの中で設計され、醸成された雰囲気、その文脈(コンテキスト)に合わせて行動するはずなんです。
つまり、SNS上でネガティブな自分をさらしたくない、というのはこの原則によって知らず知らず自分の行動を束縛していることの現れだと思う訳です。

私たちがこれから作り出すべきサービスは、そういった大通りにとってかわるものではなく、その大通りから伸びる枝道、裏通りとなるはずです。そして、その枝道の中にそれぞれの文脈を与えてやれば、ユーザはまた違った行動をするはず、というのが「残念.me」の根本にある仮説です。

つまり、FacebookTwitterではやらないことも「残念.me」の中ならユーザはやってくれるはずなんですよ。サービスをそういう風に設計しさえすれば。

そして何より、功なり名を遂げた大人たちが積極的に自分たちの失敗をさらすことが、若い人たちに勇気を与え、行動を引き起こすはずだ、という価値。
堂々と自分の失敗について語ることができるのは、ちんけなプライドではない、本当の自信を持った人間だけだという証明。
そういった積極的な行動文化を生み出すことが「残念.me」の究極的な目標なんですよ、皆さん!
だから、ネガティブなんて言ってないで、ぱーっと自分の失敗、さらけ出しちゃってくださいよ!

「『残念』というキーワードを武器に、世界をめった斬りにしてやりたいんです!
 『カワイイ』、『ヘンタイ』の次に、国際社会で認知される日本文化は『ザンネン』ですよ!
 『残念.me』の次は『残念.jp』を作って、残念な日本について世界中に向けて勝手に発信してやります。そうして、日本が中途半端に引きずっている成功体験を片っ端からぶっ壊してやりたいんです!」

・・・などと鼻息荒く説明したら、皆様、笑っておりました。いや、ぼくはマジだったんですけどね。

そういった力説の甲斐もあってかどうかは分かりませんが、田島さんからは「メディアとしては面白い。十分にバズる可能性がある!」とのお言葉が。
うおお、うれしいぜっ!!

まあ、そんなこんなで私たちのプレゼンタイムも無事(?)終了したのでありました。

審査発表!

すべてのチームのプレゼンが終了して、いよいよ審査発表となりました。


※いよいよ審査発表!

優勝したアイデア、それはやはり「ボーケンたん」でした。
あー、やっぱりねー。悔しいやら、嬉しいやら、なんだか複雑な気分・・・。

「彼女と福岡に遊びに来たついでにコンテストに出たので、まさか優勝できるとは思っていませんでした(てへぺろ)」
とは、うちの社長の言。

このとき、私を含め、他の出場者全員が心の中で、ぐぬぬ、となったのは間違いないでしょう。
まったく、こんなことなら福岡に来れないよう、社長を東京の事務所に縛り付けておくべきだった、と悔やんでも後の祭り。

まあ、最終的にうちの会社が勝ったわけだから別にいいんですけどね・・・。

戦いの後

今回、優勝以外の賞はないんですが、私たち「残念.me」は自分たちで勝手に第二位だと決め込みましたよ。
・・・というか、もしも残念賞があれば絶対、それウチらのだし!(断言)

ともあれ熱き戦いの後、ぼくらのチームは夜の街に繰り出し、残念会を開いたのは言うまでもありません。
名高い歓楽街の中州をほっつき歩き、怪しいお兄ちゃんたちに声をかけられ、怪しいお店の看板に後ろ髪引かれながらも、優勝賞金を逃したぼくたちにできるのはせいぜい屋台のラーメンをすすることくらい。
いや、ちゃんと名物のもつ鍋も食べましたけどもね。

福岡のまだ肌寒い夜空の下、しかしぼくらの心は折れるどころか、むしろ未来への確かな手応えを感じておったのです。
自分たちの熱量の高まり、がむしゃらに走り出してやりたいという衝動を。

なにしろ、我らの「残念.me」。
たとえ負けたとしても、その時点でネタ的にはすでに勝っているという、黒魔術的なアイデア。
誰も我々を打ち負かすことなどできはしないのです。少なくとも、自分たちがあきらめてしまう以外には。

何度でも失敗し、何度でも立ち上がり、そうしてまた明日に向かって歩き始める。
また、もう一度、それをやるだけのことですから。

今回のジギョつく@福岡、そういった自分たちの気持ちを確かめる、良い機会になったと言えるでしょう。
関係者の皆様にあらためてお礼を申し上げます。

そして、最後にこれだけは言っておきたい。

チキショーーーーーーーッ!!!(心の叫び)