考えの整理をかねて久々のブログ更新。
最近よく考えていることのひとつに、組織なり集団なりで不確実な状況で意思決定を行うためのコミュニケーションとはどのように行われるべきか、ということがありますが、これって企業なら(不確実な状況には事欠かないベンチャー企業の場合は特に)必ずついて回る問題じゃないかしらん。
例えば、ある朝ベッドで目覚めると、突如として私の頭の中でドーパミンがドパドパとあふれ返り、天啓のごとく素晴らしいアイデア(と、自分では思っている)が舞い降りてきたとしましょう。で、ただちにチームの仲間たちに向かって自分の超絶Coolなアイデア(と自分では確信している)を意気揚々と披露する訳ですよ。
でも、
オレ「やあ、みんな! この素敵なアイデアを聞いてくれ! これさえあれば問題解決。顧客もオレたちもハッピーになれるぜ!」
チームの仲間たち「ワオ、君ってなんてCoolなんだ!! すぐにでもそれに取りかかろう!!」
・・・とはならないですよね、当然。
このアイデアの部分を、企画とか、戦略とか、何かしら不確実性を前提としたものに置き換えてもらえれば、似たようなシーンってわりと企業内で発生しうると思うんですがいかがでしょう。
仮に自分一人で行動しているのであれば、そのアイデアを実際に試してみて上手くいくかどうか好き勝手に試してみればいいわけです。
まあ大抵の場合、無惨に失敗するでしょうが、個人の責任の範囲ならばいくら失敗しようが誰にも迷惑はかかりませんしね。
でも、チームとして行動する場合、ことはそう簡単ではなく。
大抵はチームメンバの皆様から「なぜそのアイデアが有用なのか」から始まり、「どれくらいコストがかかるのか」「そもそも実現できるのか」といった質問が情け容赦もなく浴びせかけられることになるはずです。
こういった質問に真摯に答えていくことは必要だし、そこから発生する議論もアイデアをブラシアップするためには有用なものではあるんですが、その反面、一見するとバカげたようなアイデアを潰しがちになるので、議論を積み重ね、尖ったアイデアを磨き続けた結果、カドが全部取れて奇麗に丸くなりました、って結果を生み出すことにもなりかねない。
議論をどんなに重ねても結局、最後は「やってみないとわからない」という結論に行き着くので、だからやってみる必要があるわけですが、実際に行動に移すってことは、チームのリソースを消費するってことでもあるので、それなりにコンセンサスを取らなくてはそもそもチームとして動かすことができない。
で、ここで発生するのが「説得」という作業。
そもそもそのアイデアが有用なのか、発案者の本人を含め誰も分かっていない。
そして、手痛い失敗をすることも当然ありうる。
しかし、自分一人では実現できないので、チームメンバーに協力してもらう必要がある。
こういった状況で、チーム内ではどのようなコミュニケートを行うべきか。
もしも独裁的なリーダーであれば「うるさい! 黙ってやれ!」と命令すれば済むことかもしれませんが、そういったマネジメントスタイルは一時的には効果を発揮しても、組織的、長期的に考えるとむしろ弊害の方が多いと思うので、そもそも選択肢には入れません。
考えられる一般的な方法としては出来る限りポジティブが根拠を示して、相手の理解を得ようとする努力することだけども、50名100名の組織ならともかく、10人以下のチームで、しかもタイム・イズ・マネーがそのまま宿命となるようなスタートアップ企業じゃ、そんな説得作業に時間や労力が消費されることは許されないわけですよ。
で、こういった不確実なことを素早く、かつチームとして実践するためには、そもそも説得が発生しないための仕組み作りが必要なんじゃないかと。
ざっと思いつくポイントは下記の三つ。
・不確実なことをする必要がある、という共通の理解。つまりは、リスクテイクへの理解。
・限られたリソースを不確実な目的に割り当てるためのルール。
・その実行結果の共有(失敗した場合を含めて)
たとえばGoogleの有名な20%ルールは、こういった問題意識に端を発していて、その結果として制度化されたものではなかったかとも思えてくるんですよね。(最近じゃ、20%ルールはやらないらしいけど)
エリック・リースの「リーン・スタートアップ」では実験を素早く行い、素早く学ぶことの大切さが書かれていたけども、あの本を読んだだけではチームとしてどう行動すべきかまではわかりません。
あるいは、その辺りの問題を解決するためには、ルールを作ることではなく、”文化"を生み出すことが必要なのであって、一冊の本では到底書き切れん問題なのかもしれませんけども。
ましてや、ブログの1エントリではとてもとても(笑)
というわけで、思索の尽きない秋の夕べでございました。
どっとはらい。