IDEA and Players

ベンチャー企業で働く変なエンジニアが勝手なことを書きまくるブログ

Talknoteという会社とベンチャー企業で働くということ

最近、Talknoteという会社で働き始めました。
とは言っても、まだバイトの身分、言わば、お試し期間中なのですが。

以前の日記にも書きましたが、先月、ほぼノープランでCollaboというベンチャー企業を退職してからは、一ヶ月は個人的に色々やろうと決めていて、そのために嫁やら家族やら事情を説明していたので、別の会社に移ろうとは正直考えていなかったのですよね。
というか、一人で起業してしまおうか、とも思っていたくらいですからね、私。

それなのに、どうしてTalknoteで働くことを決めたかというと、いくつか理由があります。

Talknoteが"伸びている"会社だから

参考記事:"社内SNS「Talknote」利用社数が5000社を突破ー直近2カ月で1400社を獲得した秘訣は「アナログ」"

ベンチャー企業を起こして何かしらのサービスを開発するだけなら別に大して難しくないんですよね。なにしろ、ただ自分たちが「いいな」って思った物を作るだけなので。でも、そのサービスの価値を世間に認知してもらって成長させるってのはものすごく難しい。そもそもサービスがまったく価値を生まないことだってままあるわけです。

ところが、Talknoteはすでに顧客を獲得して、さらに成長をしようというステージに上がっているので、そこが魅力的に見えたことは大きい。
上記の通り、ベンチャーってのはそこまで持ってくるだけでもめちゃくちゃ大変で、じっさい創業メンバーに話を聞くと、本当にものすごく大変なことを乗り越えて今この場所に立っているんだ、ってことがわかるんですよ。

そうやってひたすら滑走路を走ってきた後、いままさに離陸しようとしている会社に参加できるってのは、ラッキーだし、楽しそうだし、将来的に得しそうだし、とまあ、いろいろと夢と希望が膨らんでくる。
・・・というか、ベンチャーで働く理由なんて、未来(自分個人、そして企業が実現しようとしている価値の両方)に対する夢と希望しかないと思うんですけどね。

でも本当は、もっと早い段階から艱難辛苦をメンバーと共有しておきたかった気もします。
まあ本当に大変なことなので自分が実際にそれをやれたかどうかはわかりませんけども。でも、そこから始めるのが本来のベンチャーだし、そこの苦労を分ち合わずして参加ってのも、どことなく申し訳ない気もするのですよ。

「あーアレは大変だったねー。死ぬかと思ったねー」とか仲間と一緒に言い合いたいわけですよ。そういう苦労を共有することでしか築けない人間関係というものが世の中にはあるのでね。

とはいえ、今後もいろいろと大変な課題が待ち構えているはずなので、そこで実力を発揮してメンバーの皆に私の価値を感じてもらう。
そうやって、この気持ちは償っていくしかないでしょうねー。
うわー、がんばろー。

社長から誘われた

二つ目の理由が小池社長が熱心に誘ってくれたから、というすっごく単純な理由。
でも、こんなことが世の中、けっこう大事な気もします。

「Talknoteにはファンでいてくれるお客さんがすごく多いんです。これからどんどん伸びていく。でも、開発者リソースが足りていなくて機会損失も多い。そこを何とかしたい。藤井さんが来てくれたら、Talknoteはもっと良くなります」

って口説かれたんですが、ここで重要なのはTalknoteの現状の問題も正直に明かされていて、同時に私が必要とされている理由もまた明確な点です。
そこに問題があるなら、解決してやりたいのがエンジニアという生き物なのでね。
じゃあ、お手伝いしましょうか、という流れになったのも無理からぬこと。

さらに言うと、私はいつも自分の手で何かしらのサービスを作り出したいと思っていて、そのためにこそSIer業界からベンチャーに移ってきたわけです。
で、そのために、もう自分一人で起業してやろうか、などと思っていたくらい。

でも小池さんは、
「たとえ、どんなに優れたアイデアでも今のままの藤井さんに成功させることはできませんよ(断言)」
などと腹立たしいことを言うわけですよ。まったく年下のくせに失礼なヤツだ!(笑)

もしも小池さんがその後に続いて、
「絶対に失敗するから起業なんて止めて、Talknoteに来た方が人生お得ですよ」
みたいなことを言っていたら、私はTalknoteに行こうとは絶対に思わなかったでしょうね、間違いなく。

でも、実際に出て来たのは、
「自分の手でサービスを作りたい。その気持ちはわかります」
という言葉。

「でもただの自己満足じゃなくて、本当に価値のあるサービスを作りたいなら、もっとノウハウや資金が必要になりますよ。本当にサービスを作りたいなら、成功しないと意味がない。Talknoteに来てくれたら、我々のノウハウを全部見せます。それを全部藤井さんが盗んでから起業したらいいじゃないですか。そうすれば成功確率が絶対に上がりますよ」

なんだろ、この人の殺し文句は。
そこまで言われたんだから、「じゃあお願いします」って私が応じたとしても仕方がない話ですよ。ね?

しかし、なんだなー。人間が単純にできておるなー、自分(つくづく)。

Talknoteというサービス

最後の理由は、Talknoteが人間同士のコミュニケーションを重視している会社であり、サービスであるからですね。
コミュニケーションとベンチャー企業の関係については、いろいろ思うところが多すぎて、また別の機会に書くとして。

人間同士のコミュニケーションというのは本当に大事で、これが不足しているせいで成功するはずのプロジェクトが上手くいかなかったり、ある日突然社員が辞めたり、つまらないことで喧嘩したりする訳です。
先日なども、嫁とちょっとした喧嘩をしたんですが、そういった喧嘩の後に二人で話してみると、原因は単なるコミュニケーション不足でした、ってことがすごく多い。

まず、お互いが相手に対して、共通の認識ができているはずだという思い込みがあって、その前提で会話しようとする。
表面上の会話は成立しているんだけど、前提の共通認識が出来ていないので、ピントのずれた反応しか得られない。
その結果・・・。

(俺) なんでそんなにつまらねーことをイチイチ聞くんだ! うがー!
(嫁) どうして私の言ってることを理解してくんないのよ! むきー!

となるわけですよ。
で、冷静になってお互いの認識を深堀りしていくと、ああ、ここが共有できていなかったね。その前提があったから、こういうことを聞いていたのね、今なら気持ちがわかるぜ、スイートハート(うひゃひゃ)、となることがしばしば。

夫婦でさえこうなるのに、これが会社となれば言わずもがな。

企業が取り組もうとしている問題の解決には、絶対にチームの力が必要なわけですよ。何しろ人間、一人じゃ何もできませんので。
そして、コミュニケーションのないところにチームは存在しません。
特にベンチャー企業では、良いチームが作れるかどうか、が成否をわけるといっても良いでしょう。

そして、私が考える良いチームの条件は三つ。

・高スキルの個人
・同じ目標
・お互いへの信頼

このすべてを兼ね備えなければ、それは良いチームとは言えないでしょう。
そして、特に2番目と3番目を維持、そして醸成するために必要な物こそ、コミュニケーションだと思うわけです。

Talknoteという会社は、当然ながら、この辺りに対してものすごく意識が高い。
なにしろ毎日の朝会では、メンバーが各自、自分の身の回りであったハッピーなことを報告し合う、というコーナーまであるくらい徹底している。

自分はエンジニアという職業のせいか、チームを作ったり、チームの中で働くということを、とても重要視しているんですよね。
それに、最近の自身の経験もあって、コミュニケーションを良くしないと、世の中は何も良くならないや、ということを身に染みて実感してもいるわけですよ。
その辺りが、Talknoteという会社のビジョンとマッチしたというわけ。

それにしても、元々は非コミュだった自分が、コミュニケーションについて語る日が来るとは。
まったく、世の中というものは油断なりませんなー。

今後のことについて

ベンチャー企業で働くってことは、けっして楽なことじゃありません。
給与水準も普通の会社より低く、仕事は大変だし、自分でいろいろと考えなければならないことも多い。

私の中のベンチャー企業の定義は、ずばり「夢と希望しかないブラック企業」というもの。
ブラック企業って言葉、あんまり好きじゃないんですけどね。最近は、安易に使われすぎだと思うので。
そんなに会社が嫌なら自分で起業すればいいのに、とつい思っちまう。

そんなに大変なのに、じゃあどうしてそこで働くのか、と問われれば、自分がひねくれ者だから、と答えるしかありません。
というか、ふつーに進学して、ふつーに就職してたら、そもそも私、ここにはいないのでね。
ここに至る人生のすべては、ひねくれ者であり続けた結果だと思うんですよ。

安易に、その他大勢に流されたくない、という感じ。

今の自分。そして、今の世の中に対する不満。

そういった情熱を吐き出す先が自分には必要で、ベンチャー企業はそのための場所を自分に与えてくれるんですよ。
だから、大変だけど、ものすごく楽しい。

最近よくベンチャー企業をONE PIECEの登場人物になぞらえるのを耳にするのだけど、ベンチャー企業=海賊ってのはすごくピンとくるイメージ。*1
実際、世の中に対するある種の反逆心がないとやってられないし、ベンチャー領域に移ってきて出会った人たちはそういう気質の人がすごく多いと感じます。

あと、お給料について。
大体、私の中では、何かしらの価値を世の中に届けた結果として、お給料がいただけると思っているので、会社の売り上げがない状態で高い給料を望むとか、そういう論理がよく分かりません。
そのお金、一体どこから出ているんでしょうね。天から降ってくるのか、地面から湧いてきたのか。
はたまた社長の貯金か、それともどなたかの投資金か。でもそれ、元はと言えば、人様のお金です。

もちろん人間というモノは不便な物で、霞を食って生きていけるわけじゃありません。
日本ってホント物価が高いです。一定のお給料がいただけないと命が危ないです。
というより、嫁に絞められます。怖いです。

それに、私も人の子。
一定の欲望は持ち合わせているので、最終的には豊かになりたいのですよ。少なくとも嫁に苦労をかけない程度にはね。
でも、そのための原資として使えるのは、自分の人生、すなわち時間だけです。

普通の企業で働く、ということは、言うなれば、自分の時間を売ってお金をいただくということです。
原則は、等価交換が基本。ここが企業が得するだけの状態なら、まあそれはさすがにブラック企業の汚名は免れないでしょうけど。

ベンチャー企業で働くということは、自分の時間を投資して、その企業の未来を買うということです。
だから、現時点での給与とか待遇とかはあまり問題じゃない。
もちろん、いいにこしたことはないけども、それよりも会社に将来性を感じることの方が大切。

それに最近気がついたのは、ベンチャー企業の、ドロ戦にも似た仕事が、自分はけっして嫌いではないということ。
まあ、どの会社でも開発をやっていると、たまにそれに似た状態になることがあるので、そこで鍛えられたのかもしれませんけどもね。
同じ苦しみなら、夢と希望があるほうがやりがいがあるというもの。

さて、明日からまた仕事。
仕事は山積み。想像すると手のひらに変な汗をかく。そして、思わずニヤニヤ笑いがこみ上げてくる。

我らは海賊。
船の行く先が素晴らしい世界だと信じ、陽気に笑い、戦うのみ。

*1:それにしても、自分はどのキャラクターに該当するのだろう? フランキーか、ブルックあたりか。自分のパンツを脱ぐべきか、相手のパンツを見せてもらうべきか、それが問題だ。