IDEA and Players

ベンチャー企業で働く変なエンジニアが勝手なことを書きまくるブログ

勝手ながらとあるベンチャー企業を退職しました

最近、個人的な心境の変化がありまして、とあるベンチャー企業(Collabo.co)の取締役を退任しました。

個人同士の活動としては丸二年、ベンチャー企業という形になって一年四ヶ月。
この期間の経験を経て、私の仕事観、および人生観がだいぶ変わりました。

より具体的に言うと、物事の変化とか、未来の不確実性とか、あるいは偶発的な出来事に対して、以前よりずっとポジティブに受け止められるようになりましたね。
まあ、よりいいかげんなヤツになった、と言い換えることもできますが・・・。

もともとは臆病な性分も相まって、リスクとか、不確実な未来とかを厭う傾向が強かったのですが、ここ最近は何かをやりたいと思い始めたら、心の中ではもうどうしても止まれない自分がいるんですよ。そして、ずっと耳元で叫び続けている。
「さあ、走り出せ! いま動かなけりゃ何もかも失うんだ!」ってね。

じつは私、十年に一回くらい、そんな風にちょっとヤバめの精神状態になることがあるんですよね。
ぶっちゃけると、遺伝的にも躁鬱病の気があるらしい。これは私が結婚するときに、母親が「じつはね・・・」と教えてくれたことでもあるんですが。

人生で一度目のときは「オレは大学になんぞいかない。職業を転々としながら小説家になる!」って言い出して家族や友人を困らせました。
当時通っていた高校はわりと進学校だったんですが、突如進学しない、と宣言した息子に両親は呆れ果ててましたっけね。
ウチの母親が「プータローの専門大学があればいいですねー」などと同級生の母親に皮肉を言われ、物陰で悔し涙を流した、って聞いた時は不肖の息子ながらさすがに胸が痛んだものでした。

二度目は嫁と結婚すると決めたとき。このときもさんざん大騒ぎして周囲に迷惑をかけました。市役所の前で二の足を踏み、「やばい、なんだか結婚するのが怖くなってきた。やめていい?・・・」などと抜かす嫁の手をムリヤリに引っ張って、婚姻届を出したのも今となって良い思い出。
人の目も気にせず、銀座のど真ん中で号泣し、その結果、全身の痙攣発作を引き起こして身動きが取れなくなったり・・・、どうもこう書くと、交感神経に何かしらの異常が疑われても仕方がないな、私。

で、今年です。

たしかに今年はなんかヤバかった。年明けの頃から心が、魂の何処かがずっとざわついておったのですよ。
何かを変えないといけない。まさに「ガンガン行こうぜ」状態ですよ。でも何を?

今年に入ってから今までやったことのないことに次々とチャレンジしていこうと決めたのも、多分その盛り上がりの一環だったんじゃないかしらん、と今更ながら納得気味。
前職では技術者としての役目を期待されていた訳ですが、プログラミングすることで解決できる問題って、まあ当然そのベンチャーが目指している領域にもよるんですが、特に今回のビジネス領域ではごくわずかじゃないか、と感じ始めていたことも要因のひとつでしょう。

ビジネスが提供するサービスは必ずしも製品そのものとイコールではないし、企画やらマーケティングやら営業やらその他諸々が機能して初めて、プログラミングの結果としての製品が意味をもってくるわけですよ、当然ながら。
プログラミング、というかIT技術がもたらす純粋な価値ってなんだろうと考えてみると、高速・大量・正確に尽きるんじゃないか、と。ゲームとか違うじゃんとか言われそうだけど、あれはユーザの「体験」を大量に生み出す仕組み、と考えるとそう間違いでもない。

ビジネスがもたらす何かしらの"価値"に正しく照準が合ってさえいれば、IT技術はそれにさらなるスケールメリットを与えることができる。
でも照準を合わせるべき価値を見つけ出すことは本当に難しいことだし、逆に見つけさえすれば後はただスケールすればいいって話でもある。
いや、そのスケールメリットを作り出す過程だって相当な苦労が必要なので、こういう言い方は乱暴すぎなんですけど。

ともあれ、コーディングをする以前にやらなけりゃならないことが現実世界にはゴマンとあるってことと、ベンチャーで働いていると、そのあたりにも自然と問題意識を持つようになるってことが言いたい訳ですよ。たとえ、プログラマーであってもね。

で、そういう意識を持っていればいろいろ考えるし、学びもする。そして、技術以外のこともやってみたくなる。というか否が応でも必要性に目覚める。
そんな風に自分の中の様々なウェイトが変わってきた結果、次に変えるべきは自分自身の行動や仕事の仕方であり、または自分の身の置き場所であろうと、そう結論づけた次第です。
とは言え、べつにプログラマーをやめるわけじゃないし、何がどう変わるのかって確たることは何も言えない有様ではあるんですが。

さて例にもれず、今回もまた多方面にご迷惑をかけることになりました。また、家族にも心配をかけました。
この場を借りて伏してお詫びするものです。

あと、次の就職先の心配をして下さった皆様、本当にありがとうございます。
折角ではありますが、いろいろ考えがあり、少なくとも一ヶ月は個人的な活動に費やすつもりです。
・・・嫁よ、許せ。

そんなわけで・・・

(嫁が)落ち込んだりもするけれど、私は元気です。