IDEA and Players

ベンチャー企業で働く変なエンジニアが勝手なことを書きまくるブログ

"コミュニケーション"は全体最適のための手段という考えかた

最近、なかなかブログを書く気になれなかったんですが、思うところがあってまた筆を取・・・、いや、MacBookAirを開くことに。
なにしろ、ここのところずっと考えていたことの大半は、おもに仕事の状況やらのアレコレだったので、あまり外向けのブログに書くようなことじゃなかったわけでございます。
いや、当たり障りのないことを書こうと思えば書けたんでしょうが、そんなことに脳細胞の数パーセントでも振り分けるなんて、時間の無駄、人生の無駄以外の何物でもないじゃありませんか。

でも最近は、(少なくともブログとして書ける程度には)頭がだいぶ整理されてきたので、その辺り、自分の心のバックアップも兼ねて書き留めておこうと思い立った今日この頃。

自分たちが開発しているサービス、Talknoteは「いい会社をつくる」ことをモットーにした社内向けコミュニケーションツールなわけですが、じゃあどうやってコミュニケーションから「いい会社」を作るのか、この"どうやって"の部分について、もっと深堀りしていく必要があると前々から感じていたわけです。

もちろん、この点については社内でも前から議論はあり、それなりに衝突もあった訳ですが、その甲斐もあってココ最近ようやく自分でも腹落ちできるほどに言語化できたのが、まさに表題のソレ。

ぶっちゃけ「いい会社」ってだけじゃ、あまりに漠然としていてそのままでは空をつかむようなキーワードですからね。
たとえばTalknoteを使って会社内の雰囲気が良くなるとする。それがゴールなのか?と問われると、やはりノーと答えざるを得ない。なぜなら会社ってのは社会に価値を提供することと引き換えに利益を生み出す、という大前提があるわけで、それを抜きに「いい会社」を語ることはナンセンスでしかないわけです。
社長や社員のみんなが和気藹々と仲良く仕事をしているけど、万年赤字の会社。そんなの、リアリティありませんからね。

と言って、たとえば社内の雰囲気はギスギス・ドロドロで、社員は毎日残業ばかりでも給料はスズメの涙、でも会社としての業績は絶好調って会社が「いい会社」なはずもない。
(ま、リアリティという面では、これほど現実味のある話もないところが人生の愉快なところではありましょうが)

自分個人の思想としてはそういった会社を安直に「ブラック会社」と断じることに抵抗を感じるのだけど、まあ、その手の会社は、結局は組織が脆弱のままという点と、人間性に対する理解やらセンスやらが欠如しているという点で、未来はそう明るくはないだろうとは考える次第。

Talknoteを使って顧客はどうやって「いい会社」を手に入れるのか?
やれ業務の効率化だ、いやインナーブランディングだ、とかそーんな議論がこれまでも何度かウチの会社内で沸き起こったりもしたんですが、結局「コレだ!」と言えるような結論がなかなか出てこなかったんですよねえ。

たしかに業務の効率が上がることは悪いことじゃないし、社員が会社のことを好きになって、一丸となって仕事ができることも大切なことです。

でも結局、我々がやりたいことは、そのうちのどれかひとつではない。

立場も価値観も違う人々が集い、共通の目的のために「会社」という複雑なシステムを作り上げる。そういった物をブーストしようってのがウチらのサービスの理念なのに、ある特定の立場の人の利用目的を満たすことや、特定の利用シーンだけにフォーカスするってのは何か違う気がする訳ですよ。ま、そうしたほうがサービス作りとしてはいろいろと割り切れて楽なんですけどもね。

というわけで表題の「全体最適」な訳ですよ。
業務の効率化にしろ、インナーブランディングにしろ、それは部分最適であって全体最適じゃない。部分最適を追求すると、時に全体最適を損なうことがあるってこと、組織の上のレイヤに関わっている人なら当然わかっていることですが、Talknoteというサービスが提供するべき本質的な価値はコレなんだ、と気がついた時、思わず「おー」と自分でも驚きの声が漏れたんですな。それまでずっと考えてきたことが頭の中でパパパっと一本の紐で結ばれたような、そんな感じ。

コミュニケーションによって「いい会社」を作るとはどういうことか。言い換えるとそれは、会社がその社会的目標を達成するための全体最適をコミュニケーションの円滑化によって生み出す、ってことになるわけです。
全体最適、という言葉はまだ多分に抽象性を含んでいるので、現実の製品なり、施策なりに落とし込むためにはさらにブレイクダウンを重ねる必要がありますが、進むべき道はコレだ!という確信はもはや揺るぎありません。
社員満足度を高めたり、業務の効率を高めたりすることも、結局は会社全体を最適化するための一手段としてあるわけで、それ自体が目的なわけじゃない。
人と人が相互に関わり合うことが前提の組織において、全体最適を実現しようとする際に必ず必要となるもの。それこそ、コミュニケーションというものじゃないかしらん。
(これは会社という単位だけでなく、国家とか、社会とかの次元でも同じことが言えるけども)

しかし、この前提に立つと、サービス作りは自ずと困難を極めること請け合いです。
なぜならば会社ってのは本当に千差万別だし、それぞれの全体最適に至る道筋も当然バラバラ。我々のたったひとつのサービスでそれらに立ち向かうってんですから。

でもま、困難であったとしても不可能ではない、というのが自分の考えですけどね。
この辺りをどう突破していくのか、まさに今いろいろと試行錯誤中ではあるので、もう少ししたらまたブログに書くかも。

ともあれ、これからもまだまだ楽しめそうだ、この人生はさ!